【第四次反送中惡法遊行】200万人の怒号!

香港史上最多のデモに全世界が注目

いやいやもうねぇ、香港市民のパワーたるや、これどうよ! この中で15年間揉まれてきたことを思い返せば、ある意味ゾッとするけどねぇ(笑)。200万人が一斉に「逃亡犯条例改正」に「NO!」の意思表示をしたわけで、これ簡単に200万人って言うけど、香港の人口はざっと750万人あたりだったはずなので、そのうちの200万人が繰り出したというのだから、驚異的ですよ、これホンマに! 普段は、警察の発表数の方が信憑性が高いと感じている小生だが、いくらなんでも「ピーク時で33万8千人」はないだろう(笑)。

by “BBC”

上の写真は、観光客にもおなじみの銅鑼湾(Causeway Bay)の香港そごう前なんだが、路面が見えないほどに人で埋め尽くされている。

当初、予定されていたコースは、トラムも走る軒尼詩道(Hennessy Road)のみだったが、全車線を開放してもおっつかず、並行する駱克道(Lockhart Road)も開放。さらにあふれたデモ隊はもう一本海側の告士打道(Gloucester Road)にまで及ぶ。さらには脇道にまで流れて、香港島北岸の天后(Tin Hau)から金鐘(Admiralty)の道という道は、黒い集団でびっしり身動きがとれないほどとなった。

ご覧の通りである by “香港経済日報”
MTR香港駅構内は、デモに向かう市民で埋め尽くされた by “信報”

その数、主催者発表で200万1人。送られてくる画像や映像を見る限り、まあ、間違いないだろう。1人というのは、前日、抗議の横断幕掲出作業の後、転落死した人のこと。事故か自殺か、微妙なところだと思うが、遺書らしきものも発見されたとのことなので、「抗議の自死」なんだろう。いずれにしろ「反送中」で、初めての犠牲者である。

消防が懸命の救出を行ったが、不幸にもこの後、するりとシャツが脱げて、さらに不幸なことにクッションを外れ、歩道に転落してしまった…

今回、参加者に「黒い服装で」と呼びかけられたのは、警察との衝突で負傷した人たちと痛みを分かち合うという思い、そして転落死した彼への追悼の意味を込めてのことである。日本の報道は「怒りの黒い服装」なんて、すっとこどっこいなことを書いているが、いや、ちゃいますねんて。ホント、こういう時にしか香港に注目しないから、こんな頓珍漢なことを書いたりするんだ。

さて、前日に林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が、逃亡犯条例の改正の審議を「延期」すると会見したにもかかわらず、なぜ前週の二倍に及ぶ200万人もの市民が繰り出したかと言うと、「延期ではなく撤回」を求めているからである。いくら「再開の時期は設けない」と言っても、「延期」である以上、いずれ再開されるわけで、「それはアカンよ、撤回してもらわなアカンよ!」ということだ。

by “明報”

暫緩≠撤回」。そう、市民が求めるのは「延期ではなく撤回」。さらには、

by “香港経済日報”

不撤不散」。撤回しない限りはデモはやめない、という市民の決意表明。ってことは来週もやるんかい(笑)。ええ加減、飽きられるで…。

市民が言いたいことは、まだまだある。

1)12日のデモ隊と警官隊の衝突は若者による暴動とする発言の撤回
2)警察の武力行使への抗議
3)前日に転落死した男性の追悼と政府への責任追及
4)林鄭行政長官への辞任要求

こういう仕事は非常にてきぱきこなす香港人。いつ作ったんや(笑)。普段の仕事もこれくらいてきぱきやろうぜ(笑) by “BBC”
日が暮れてもデモの波は途絶えず by “香港経済日報”
香港人の心のよりどころ「獅子山(Lion Lock)」にも、「守れ香港」の大型懸垂幕が。これを見て、意気に感じない香港人は、まず、いないだろう

デモに来れない人も、心はデモに参加している。地下鉄の車内放送は、通常は録音された女性の声だが、この日は車掌さんが自らマイクを取り「私は職務のためデモには行けませんが、私の気持ちもどうか皆さん、デモに持って行ってください、がんばりましょう、香港!」とアナウンスした車輛もあったと言う。また、沿道の店舗もデモを支援する。

by “商業電台”

人気のジューススタンド「老虎堂」では、デモ隊に氷水を無料配布。雑なテープの切り方がいかにも香港らしい(笑)。

by “商業電台”

「おとなのおもちゃ屋」も「拒絶送中」。「撤回悪法」「不撤不散」などのメッセージも掲出して、絶賛営業中(笑)。

いや、とにかく「心意気」ですよ、こういうのは。

そして、世界中が感心した光景がこちら。

当然のごとく蒸し暑かったこの日の香港。かなりの数の人たちが体調異変を訴えて、救急搬送された。うち一人は危篤だとか。で、救急車の出番となるわけだが、200万人のデモ隊は、こうやって救急車のために道を開ける。「まるで『モーゼの十戒』だ!」という賞賛の声がSNSに溢れたが、香港人は、こういうことはきちんとわきまえている。ほんの一握り、警官隊に向かって投石や火炎瓶などの攻撃を仕掛ける輩もいるが、香港の評判を落とすような真似はやめろ!と言いたい。

夜になって運行を再開したバスのために、ささっと車線を譲るデモ隊。こういうデモならば、警察はコルク弾も催涙弾も発射しないし、逮捕者なんて出るわけがない。

さて、こうやって市民が「No!」の声を上げる中、林鄭行政長官はコメントを発表。「逃亡犯条例改正」にあったって、政府の進め方には不足があったことを認めた。その結果、社会に大きな対立をもたらしてしまったとして、市民に謝罪した。それでも、自らの進退や逃亡犯条例改正の「撤回」には、具体的な言及はなかった。

そもそも行政長官の任命、罷免は、中央政府が行うもので、このおばさんがいくら「辞めたい」と思っても、自分から「辞めます」とは言えない。逃亡犯条例改正の撤回でも、最終的には北京がどう判断するか、ということで、前回も記したが「たかだか一地方都市の香港の木っ端役人」たる香港特区行政長官に、そんな権限はないのだから、答えようもない。

4月から数えて第4回目となった「反送中デモ」は、最初は1万人そこそこだった参加者が、200万人にまで達した。言うまでもなく、特区政府の対応のまずさが招いた結果だ。この先、林鄭長官は何度、謝罪の言葉を述べるんだろう?

ま、北京のなんとかっていう人は、ちょっとはビビったかな? 気分転換に北朝鮮へ行くそうだけど。

香港人、万歳!



 


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