【上方芸能な日々 落語】吉坊ノ会<24.May.2018>

落語
吉坊ノ会<24.May.2018>

恒例の「吉坊ノ会」。例年なら4月のどこかで開催されるのだが、今回は5月。本人曰くその理由は「空いてなかったから」だそうで、そこは人気の小屋のこと、さもありなんである。そんなわけか、今回は秋の予定の告知がなかった。

さてさて、なんとまあ、小生にとってこれが今年最初の落語会というのだから、自分でも驚きだ。落語も含め、「小屋」というものからちょっと遠ざかっていた時期でも、こんなことはなかった。いやいや、これはどうしたもんでしょう? と、他人様に聞いたところで仕方ない。「ちゃんとせなあかん」と強く思う…。<何をどうちゃんととするのかは、いまひとつ自分でもわかっていないww。

33202856_1817135611707399_6033517152013647872_n<ネタ帳>

『時うどん』 ‥‥ 露の眞
『佐々木裁き』 ‥‥ 桂吉坊
中入り
「動物ものまね」 ‥‥ 江戸家小猫
『船弁慶』 ‥‥ 吉坊

まず「開口一番」は都師匠の一番弟子、今年でキャリア10年の眞(まこと)から。その割には、これまで高座を観る機会が無く、今回が初めての遭遇となる。まあ、都はんの弟子だから、安心して聴けるとは思うが、結構初めての人、こちらがドキドキしてしまう。「最初に言うときますけど、私、女ですから」との、笑いでほぐす。オーソドックスな『時うどん』。キャリア10年の余裕すら感じる。よろしいね。にしても、昨今はネタ選びに季節感というもんが非常に薄れてきたもんだ。この時期に、「寒いなぁ~」言うて熱々のうどんをすする芸を見せられるのも、まあ、乙なもんですけどね…。「つろくせえへん」に続いて「釣り合わん」と重ねなければならんほど、昨今は「つろく」を使わんようになった。由々しき事態やね。

吉坊君くん、この日1本目は『佐々木裁き』で。まあ、当たり前の如く、マクラで日大ネタにさらっと触れる。こういうのは、あくまで「さらっと」やるのがいい。あんまり引っ張ると、その人の主義主張が出すぎて、「これは俺には合わん!」とか思ってしまうからねぇ。一方で、それを売りにしている人もいるけどな、こっちは笑いに来てるんやし、と思ってしまう。さて、ネタは安定度抜群。次の誕生日で37歳になるとのことだが、「なぜか5歳以下に人気」があると言うだけあってか、子供の描写がいい。子供の「らしさ」が、このハナシのカギの一つと思っているので、ここは極端すぎると厭らしいし、下手だと論外だし、意外と難しいんじゃないかなと思ったり。そこは吉坊くんなら安心だ。

中入り後の色もんさんゲストは、お江戸から来演の小猫師。三代目江戸家猫八が祖父、四代目が父という、江戸家一門のサラブレッド。この日も、会場そばの天王寺動物園であれこれと観察してきたという研究熱心ぶり。一般に鳴き声の見当がつかない動物のものまねを適度に織り交ぜ、客を退屈させない話術も手伝い、予想以上の盛り上がり。

吉坊二席目は『船弁慶』。これぞこれからの季節にぴったりの「ウォーターフロント」ネタww。いや~アナタ、色々やるね、持ってるね。
ちょっと終盤にバタついた感、無きにしも非ずだが、そもそもがドタバタネタだから、そういうもんかなと思ってしまえば、気にはならない。まあ、そこが小生のひねくれたところで、常になんとかアラを見つけてやろうという根性で聴いているから、こんなことを言ってしまっては演者に嫌われるのだ(笑)。で、実際には、喜六のヨメはんのお松なんて、「ああ、こういうおばはんなぁ、昔はおったわなぁ」と、顔かたちなんぞを容易に想像させてくれるのが、楽しい。小生、お松はんの「雷ぶり」がハナシの胆とずっと思っているヤツなんで、ここが良ければ小生的にはすべてOK。弁慶だの知盛だの、そういうエピソードを知っておれば、なおおかしく聴けるのだけど、今日びは、そこらへん難しいわな…。

(平成30年5月24日 近鉄アート館)



 


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