【上方芸能な日々 落語】桂文太ぷれみあむ落語会 in NGK ~語り草3~

落語
桂文太ぷれみあむ落語会 in NGK ~語り草3~

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今回で3回目となる、文太師匠のNGKでの独演会に行ってきた。

過去2回とも大好評で、今回も当日券をわずかに残すだけの盛況ぶり。根強いファン、それも落語通のファンをがっちりつかんでいる文太師匠の独演会、これくらい集まったのは当然の結果だろう。

と言いつつも、今回はちょいとばかりチケット争奪戦に乗り遅れてしまった小生のお席は、ギリギリ1階席だったのはラッキーだったのだが、後ろから2列目。まんの悪いことにこれが、前席の紳士がやけに座高が高く、非常に見えにくかったのがなんともねぇ、ってところ。次回はがんばろう(笑)。

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本日のお座席からの眺め。この時点ではまだ、やけに座高の高い紳士は到着していなかった。それがアナタ…(笑)
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この日も、我が地元が誇る地域寄席「田辺寄席」の幟がNGKのあちこちに


<ネタ帳>

『子ほめ』 桂りょうば
『稽古屋』 桂文太
『帰り俥』 桂雀三郎
『坊主の遊び』 文太
仲入
『崇徳院』 文太

三味線:内海英華、はやしや律子
太鼓:林家うさぎ、月亭天使
笛:桂あか枝
お茶子:井上麻衣子
題字:橘右佐喜
アナウンス:佐々木ひろみ

開口一番はりょうば。言わずと知れた、故・枝雀師匠の長男さんである。我々落語ファンには本名の「前田一知」の名に親しみがあるが、聞けば、ざこば師匠に入門してもう2年になるという。様々な経歴、人脈を持ち、それゆえにスケールの大きな人間性を持つ彼は、以前からちょいちょい本名で高座にも上がっていた。まさに門前の小僧そのまんまで、落語のレベルもかなり高い。披露した『子ほめ』もキャリア2年のものではなく、この年齢の中堅噺家と遜色ないかそれ以上のレベルだった。開口一番としては申し分なしであった。

出ぇの段階からしてもう、タオル片手の文太師。高座に上がったと同時に号泣である。「今年もまたようけのお客さんに来てもろて…」。おっしゃん、そないに泣かんといてぇ~、もらい泣きしてしまうしぃ…。と、もう小生もボロボロであった(笑)。あれこれ内容豊富な、師匠先代文枝十八番の『稽古屋』でまず一席。『色事根問』の「宇治の蛍踊り」なんぞを挟んでの爆笑もあり~ので音曲噺の醍醐味を熱演。

緊急入院のざこば師の代演で、文太師とは同期の雀さん登場。つい5日前に聴いた『帰り俥』で来たか~(笑)。もうねぇ、寸分の狂いなくマクラは5日前とまったく同じで…。5日前に「また聴かせてちょうだい」なんて言ったが、さすがにこんだけ接近してやられると、う~んってところ。同じこと思ってる客もわずかではあったがいただろう…。客席は大盛り上がりだったけど、個人的には他のネタやってほしかったよ、ゴルバチョフ!

文太師二席目は、お江戸からの移入、いわゆる贋作落語で『坊主の遊び』。ハナシの舞台は大阪の色街で。滑稽かつ哀れな女郎の姿が目に浮かびまする。寝てる内に頭剃られてしまうのが女郎やなしにイケメンやったなおおもろいのに…などと、坊主フェチ(笑)の小生は妄想するのであった(笑)。で、実際の小生の方はと言うと、やっぱり前席の座高の高い紳士が邪魔で…(笑)。

仲入はさんでトリにはもちろん文太師。当日やるまで「お楽しみ」としてネタは伏せられているので、「何をやるんかいな?」と、枕からアンテナをビンビンにして聞き入る。枕で「はは~ん」と見当つく場合と、ネタに入って「いてるかいなぁ」「まぁ、こっちゃお入り」あたりで見当がつく場合など様々だが、この日はわりとすぐにわかった。まさにキャリアの蓄積とでも言うか、そりゃもう威風堂々たる『崇徳院』で、こういう人を本格派と呼ぶのだなと納得のハナシであった。ところで、今どきの恋心多き若人は、百人一首をどれくらい覚えているのだろう? そもそも、やったことあるんやろうか?すごく心配である…。

今年も大盛況、大爆笑のうちに終わってよかったよかった。日常、メディア露出もほとんどなく、SNSで積極的に世に存在を訴えることもない文太師が、NGKを満員にするのである。これが「実力」と言うものだろう。
来年もやりますよね、吉本さん?

(平成29年6月21日 なんばグランド花月



 


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