こういうものは、まず初日を観るに限る。まあ、小生なりの理由がいろいろあるわけだが、何と言っても、「口上」は初日に観てこそなんぼのもんというのがある。そんなわけで、大阪の4月公演初日を昼、夜通しで見物してきた。いつもながら、腰痛持ちにははなはだ苦行ではあったが(笑)。
桜花満開なれども花散らしになりかねない雨模様となった。幟も呂太夫襲名を寿ぐものがずらりと並び、襲名興行に桜花ともども花を添える。
ちょっとモーニングタイムに時間を取りすぎて、あわてて劇場入り。2階ロビーは大混雑。その先には出番前にもかかわらず、ご見物衆を自ら出迎える呂太夫師のにこやかな笑顔が。「おお~、ろーさんやがな」と、スマフォを取り出そうとしたが、なんか人の流れに乗ってしまい、撮り損ねてしまう。「こういうのは初日に…」とか偉そうなこと言いながら、この始末(笑)。しかし、とっさに「ろーさん」なんて言ってしまったが…。先代のかっちょええ五代目呂太夫はんを、当時の小生は勝手に「ろーさん」って呼んでたから、当代もそれでよかろう。今後、拙ブログでは呂太夫はんを「ろーさん」と呼ぶこともあるので、ファンの方もよろしくひとつご理解を(笑)。
襲名の祝儀がずら~っと並ぶ。多分、高額の人ばかりだろう。たとえば、隣のおばちゃんが「お祝いです」言うて1万円包んだとしても、きっとここには並ばんだろう? 他にも楽屋に蘭やらなんやらお祝いもんが山ほど届いてるやろし…。などと、観劇という非日常空間で「ゼニカネ」のことを考えては、何しに来てるのか? ってとこだわな、やめとこ、そいうのは(笑)。
期間中、少なくともあと1回は行くので、細かいことはその後に回すとして、『菅原伝授手習鑑』「佐太村」における芳穂、咲寿、靖、文字久の流れが非常に良かった。特筆すべきは、抜擢された咲寿。「イメージを一新」にまでは至らないものの、それに近いものを聴かせてくれた。何かをつかみつつあるというのが、伝わってきて非常に良かった。
襲名披露口上は、越路太夫門下、五代目呂太夫門下、そして六代呂太夫門下が後列に並び、咲さんの進行、清治師匠、勘十郎はんが襲名を祝う言葉を贈った。あらためて、呂太夫はんの「愛されキャラ」ぶりがよく伝わる、あたたかな雰囲気の襲名披露口上だった。
また幕間には、四月公演初日恒例の前年度の各表彰が行われる。
☆第36回(平成28年度) 国立劇場文楽賞
文楽大賞 竹本千歳太夫
文楽優秀賞 鶴澤藤蔵、吉田勘彌
文楽奨励賞 吉田簑紫郎、鶴澤寛太郎
文楽特別賞 吉田文雀
☆文楽協会賞
太夫の部 豊竹靖太夫
三味線の部 鶴澤清丈′
人形の部 吉田簑太郎
文楽賞は毎年、順当すぎるほど順当な受賞だが、協会賞は、がんばった若手中堅が認められる賞なので、「おお!よかったな~!」って気持ちになる。
期間中にあと2回は行くと思うので、すべては千秋楽の後で。
ほな!
(平成29年4月8日 日本橋国立文楽劇場)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
1件のコメント