【上方芸能な日々@三宅坂 文楽】第4回 文楽若手会

人形浄瑠璃文楽
文楽既成者研修発表会
第4回 文楽若手会

IMG_3052約1か月ぶりの東下り。

「また、こうせつですか?」

という大方のご期待を裏切り(笑)、今回は古典芸能でやんす。文楽でやんす。

まあ、この「第4回若手会」、大阪ならば「第16回若手会」だけど、前週の大阪の日程があいにく甲子園でのホークス観戦三連戦とバッティングしてしまったので、この日、国立劇場へ向かったという次第。

『妹背山婦女庭訓』は4月の本公演で見物したばかりなので、いつもなら無理してお江戸まで行かないのだけど、今回、4月公演で端折られてしまった「井戸替の段」をやるというので、無理して行ったわけだ。やはり、ここをやらないと、どうにも「杉酒屋の段」が映えないと思うのは、多分、多分だよ、小生だけではないと思うのだが、いかがでざんしょ?

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)

文楽若手会-表面-2校-1井戸替の段
杉酒屋の段
道行恋苧環
鱶七上使の段
姫戻りの段
金殿の段

国立劇場へは行ったことはあるけど、芝居見物するのは実はこれが初めて。

劇場内は実際どうなっているのかとか、客層はどんな感じかとか、一番大事な「喫煙場所」はどこにあるのか、などなどチェックポイントがいくつもあって、芝居どころではない…、なんてことはなく、しっかり聴かせてもらった、見せてもらった。

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それこそ、小生が文楽通いを始めた35年ほど前に、すでに先代の玉男師匠とかがいつも言われていた、「東京は切符の取り合いやのに大阪は一向に切符が売れんのや」と。ああなるほど、よくわかった。チケット前売り開始日、すでにこの1席しか残っていなかった。これはほとんど奇跡みたいなもんだろう。なんという速攻の売れ行き。そりゃ玉男さんならずともぼやきたくなるわな。

IMG_3055で、その最後1席が最前列でしかも床の真横。ていうか、床の真下。太夫の顔見えへんし。三味線さん観よ思たら振り返ってさらに上向かないと見えへんし。えらい席や。こういう席は文楽劇場ではない席。まあ、これも経験か。写真で赤い矢印で示したお席がアタシのお席。もっとも、字幕が見えない分、床本と耳を頼りに浄瑠璃を聴き、人形もいつも以上によく見たという点では、マニアにはいいかもな(笑)。でも…。しんどかった。

肝心の舞台はと言うと。

なるほど若手会である。ほとんどが平成の入門。平成の入門と言っても、元年に入門していたらすでにキャリア28年。一般社会なら超ベテランの領域だが、文楽ではまだまだ若手なのだから、えらい世界である。

注目のと言うか、そのためにお江戸まで来たと言ってもいい「井戸替の段」は、小住と寛太郎。恐らく、若手最強の床だと思う。寛太郎はすでに言うまでもないレベルに達しているが、小住のこのところの奮闘、上達ぶりは目を見張るものがある。ついこの前まで、咲寿、亘とデッドヒートを繰り広げてるなと感じていたが、ここへ来て二馬身ほど差をつけた感じがする。ただ、これもあとの二人がちょっとしたきっかけで確変することだって大いにあり得るので、まだまだ3人で競って行ってほしい。

そして「井戸替」だが、やっぱりこれを飛ばして上演するのはよくない。「杉酒屋」は「井戸替」と一体でないと生きてこないと痛感した。求馬の市井での暮らし、求馬の近所の評判、丁稚の子太郎、家主茂次兵衛、お三輪の母親など「杉酒屋」ではいまひとつ霞ががっているような人物像や話の下敷きなどがよくわかるのだ。公演パンフの「これまでのあらすじ」では、こういうものは見えてこない。

床というくくりで振り返ると、小住以外は良くもなく悪くもなくというところで、印象には残らなかった。そんな中で、靖と咲寿は「ああ、稽古積んでるんよな~」というのが伝わって来た。欲を言えば、靖にはもう一つ高みを目指してほしかった。咲寿は少しイメチェンしたかな?もちろんいい意味で。

希も奮闘していたが、ここぞの場面で迫力不足を感じた。睦は上手くまとめていたけど、その分、噛み応え不足だった。

三味線は寛太郎一人勝ちになりかけていたのを、「金殿」での清志郎が睦をよくリードして、最後の場をビシッと締めていた。期待通りの弾きようだった。

人形はまさしく若手オンパレード。一番キャリアが浅い蓑悠がなかなかの存在感。父君の一輔同様に立ち姿が実に良い。蓑助師匠の指導の賜であると同時に、やはり血というものを感じる。

「井戸替」で家主の茂次兵衛を遣った紋吉も印象深い。踊りの掌の動きが、キャリアの差を感じさせた。本公演でももっといい役がつくと面白い存在なんだけどなぁ。入鹿の文哉は大きく見せようとする意識が人形によく伝わっていたし、鱶七の玉勢も大胆に遣っていてダイナミックな動きを見せていた。

芸の話は外れてしまうが、超若手の勘昇が丸刈りだった。パンフの写真とはまるで別人で、ある意味、昭和の超ベテランさんみたいな雰囲気だった。普段は頭巾をかぶっていることが多いこうした超若手、たまに素顔を見せると、何かと楽しい。これも若手会のいいところ。

IMG_3057ついでながら、お江戸の客席だが。

ご婦人の着物率は大阪よりも数段高い。20歳代とおぼしき若い観客の率も大阪より高い。かしこまって観ている人は圧倒的に大阪より多い。

普段は文楽劇場で「脚伸ばせる席や!」と喜んでいる上、これから暑くなると、ビーサンに短パンというカジュアルないでたちでだらしなく見物している小生のような人は極めて少ないと見た…。ちょっとした「文楽版ケンミンSHOW」だな、こういう観察は。

あとねえ、喫煙場所が屋外でかなり遠いってのがなんともねえ…。幕間のお食事も、文楽劇場の方がよさそう。

IMG_3054こんな子がいた。「くろごちゃん」やてwww。名札の手作り感にほっこりしてしまう。

IMG_3056同じ国立劇場でも、緑豊かな公園の中にあるこちらさんと、ラブホや怪しげなネオンの光を放つお店に囲まれている文楽劇場…。たまにこっちへ来るのもいいもんだな。と言いながら、やっぱり日帰りはきついね。往復飛行機にしてこれだから、新幹線ではなお辛いだろうな…。次からはやはり泊りにするべきかなと、ちょっと学習した。

(平成28年6月25日 国立劇場小劇場)


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