【上方芸能な日々 落語】桂文太ぷれみあむ落語会 in NGK ~語り草2~

落語
桂文太ぷれみあむ落語会 in NGK ~語り草2~

文太師匠がNGKで初めての独演会として『桂文太 ぷれみあむ落語会 in NGK』を開催、立ち見も出る大盛況に終わってから、早や1年。
「また来年もやらせてもろてよろしいか?」と客席に問うと、万雷の拍手が歓迎の意を表したこともあってか、今年もまたNGKで文太師の落語をたっぷり聴ける運びとなった。昨年は若手時代からの盟友、笑福亭鶴瓶と、盲導犬育成に尽力する歌手の中村美津子をゲストに迎えたが、今年は落語一色に染まる会。ゲストは桂米團治と文太氏師の弟弟子の文三。今年は落ち着いて落語を楽しめそう(笑)。

Print会のタイトルにこそ「独演会」と謳ってはいないが、本人が三席務めるのだから実質は独演会だろう。

まあこの日は、どうにもこうにも朝からわーわーと色んなことがあった一日で、
「こりゃもう今日は無理やな…。文太はん、ごめん!」と諦めかけいたのだが、落語の神さんは我を見捨てず、きっちり18時に余人に代えがたい特殊な業務(笑)を終えることができて、堀江の某所からNGKまではしゅしゅっと行ける距離なんで、19時の開演に余裕で間に合った。仕事場がミナミだと、演芸場や文楽劇場が近くてよろしいな。これで大阪球場と南海ホークスが健在ならなお…。まあ、そこは申すまい。

IMG_2996NGKの2階ロビーは勿論、1階エントランスも文太師と田辺寄席の幟がズラリと並んで、田辺の人間としては実に爽快な気分になる。
桂文太あっての田辺寄席、田辺寄席あっての桂文太。こんなわかったようなことを言ってる小生だが、最近は田辺寄席にはちょっとご無沙汰。これではいけませんな(笑)。

昨年は早いうちから完売となっていたようだが、この日はわずかながら当日券も出た模様。とは言え、中に入ってみれば、1階席はぎっしり満員、2階席もかなりの入りとなっているようで、お客の数は申し分なし。今年も盲導犬と落語を楽しもうという人たちも多し。

二番太鼓が鳴って、いよいよ開演。
トップバッターは、この人自身でも独演会が開けるほどの実力者なのに、兄弟子の晴れ舞台に前座をとの心意気なのか、先代文枝一門の弟弟子、文三が登場。開口一番の前座ネタ『動物園』を爆笑させながらも非常に整理整頓された形で。看板噺家とは言え、そこはきちっり前座の分をわきまえたやり方で。

座席からの眺め文太2続いてお目当て、文太師登場でまずは『伊勢参宮神賑』。何やら仰々しい題名だが、要は『東の旅』である。今日はその中から『七度狐』で。

『東の旅』もまた、前座がいわゆる「叩き」をしながテンポよくやるネタだが、こういうベテランがやると、そんな軽いネタに聴こえてこないから不思議なもんで、そりゃもうほとんど「大ネタ」な『東の旅』なのである。が、そうは言うものの、「そないに大層な芸やおまへんで」って感じで、気楽に聴かせてくれるのもまた、文太師あたりならお手の物という、そんな『七度狐』だった。

二人目のゲスト、米團治登場。う~ん、多分、米團治襲名以降初めてかな? まあ、小米朝時代からそんなに遭遇してないから、初めてでも不思議ではない。二世落語家のあれやこれや、襲名のあれやこれやを、先般、鬼界入りなされた三代目春團治とのエピソードを交えながら笑いを取る。ネタの『七段目』は、、、、はてさてどんな感じやったかな(笑)。

IMG_2999再び文太師。江戸ものをこっちに持って来て上方仕様に料理しなおしまた~、っていう、文太お馴染みの「贋作」で。客席入り口に『贋作あいうおえおコレクション』、『今様いろはセレクション』というネタ集が展示されていたけど、これはなかなか興味深いものだった。まだまだ聴けてないネタ多し。やっぱり田辺寄席の出席率上げなあきまへん(笑)。

『松島心中』、おもろいハナシではあるけど、どうも終盤がワサワサとしてしまったかなと感じたのは、今回だけではないので、小生の性に合わないのかはたまた、そういうお話よということで結論付けていいのか…。そこは敢えて判断を急ぐ必要もないかなと。

≪ネタ帳≫IMG_3002

トリはもちろん文太師。背景が田辺寄席を思わせる松羽目に変わる。出囃子が「なんか聴いたことあるな…」と思ってたら、場内大きな手拍子起きる。小生、小学生のころから寄席通い小屋通いしているが、出囃子で手拍子なんて初めてだな。おまけに文太師までノッて手拍子打ちながら出てくるし、高座の上でしばらく立ったまま嬉しそうに手拍子してる(笑)。で、文太師も「出囃子で手拍子なんて初めてですわ」と。「知ってまっしゃろ、『牛乳石鹸の歌』。なんでそうしたかって? なんか楽しいから」やて。十分に楽しうござりました。

ネタは『寝床』。ストーリーもオチもまったく同じなのに、「文太の『寝床』」となるのはやはりキャリアとワザのなせるところ。なんというか、余計な贅肉そいだにもかかわらず、切れ味のあるという、ダイナマイト・キッド(知ってる人だけ納得してくれればOK)みたいな感じ。ほんのわずかなパーツの組み換えで、「あ、こういう『寝床』もありやな」というような。ええ『寝床』でした。翻って我が寝床は犬クンにいつも占拠されて、オチで泣く丁稚の心持なり(笑)。

また来年もNGKで楽しいひとときをお願いします!

bunnta 2016

(平成28年6月8日 なんばグランド花月)


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