第11回大阪アジアン映画祭
特集企画《Special Focus on Hong Kong 2016》

『レイジー・ヘイジー・クレイジー』
（港題＝同班同學）

今年のアジアン映画祭は、前半に台湾作品、後半に香港作品が集中する日程だったからか、予定が比較的組みやすかった。と言っても、「仕事？それ何ですか？」みたいな感じで、生業を犠牲にせざるを得ない日もあり。もうそこはそれ、年一回のことだからと自分に甘く、上映会場へ走るしかないというもの。こういう時でないと観ること及ばぬ作品が目白押しなのだから…。
この日三本目となった作品は、香港の『レイジー・ヘイジー・クレイジー（＝同班同學）』。さすがに1日三本ともなると、腰が…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

港題　『同班同學』
英題　『Lazy Hazy Crazy』
邦題　『レイジー・ヘイジー・クレイジー』

現地公開年　2015年
製作地　香港
言語　広東語
香港電影分級制度本片屬於第Ⅲ級，18歲以上人士收看（＝18禁）

評価　★★（★5つで満点　☆は0.5点）

導演（監督）：陸以心（ジョディ・ロック）

領銜主演（主演）：郭奕芯（アシーナ・クオック）、廖子妤（フィッシュ・リウ）、麥芷誼（コイ・マック）

演出（出演）：王宗堯（グレゴリー・ウォン）、邵音音（スーザン・ショウ）、徐天佑（ツイ・ティエン・ヨウ）、蒼井そら

女の子が裸でウロウロしたり、モロにあれやってるシーンが何度も出てきたりするという、まさに「第Ⅲ級」、香港で一般的に言う「三級片」、要するに「18禁」の映画である。ストーリーもなんかよく理解できないままにエンドロールの時を迎えていたって感じ。
昨年の大阪アジアン映画祭でも、「三級片」の香港映画『セーラ』が上映されたが、あちらはまだ筋立てがよく理解できたし、邱禮濤（ハーマン・ヤウ）監督の意図がよく伝わって来たけど、う～ん、これはねぇ…。
とは言え、この上映が本映画祭で1回限りということもあってか、早々に完売という盛況ぶり。他のお客さんたちはどんな感想を抱いたんだろうか…。

10代の女の子3人の恋愛、援交、嫉妬、裏切りなどが濃厚に描かれているのだが、もはやおじちゃんにはこうした世界は理解の範疇を越えている。「ああ、俺も年取ったなぁ…」と、観念するしかないのかな（笑）。

何度も何度も裸の（時にスッポンポンの）シーンを演じた、若い主演女優3人の熱演は見上げたものだし、昨年の『点対点』『全力スマッシュ』に引き続いて、今年も大ベテランの邵音音が登場し、脇を固め、徐天佑のメイド喫茶の執事役がピッタリすぎで笑ってしまい、何と言っても 反日破壊活動激化の折にも「日本は大嫌いだが蒼井そらだけは別だ」と大陸男子たちに言わしめた、あの蒼井そら が登場という、個々の役者には見どころも多かった。

彭浩翔（パン・ホーチョン）監督の秘蔵っ子と言われる陸以心（ジョディ・ロック）監督の初監督作品というふれこみもあって、期待していただけに、かなり肩透かしを食らった感強し。

上映終了後、主演三人のうち来阪していた郭奕芯（アシーナ・クオック＝左）、麥芷誼（コイ・マック＝右）が、大阪弁で言うところの「ちょか」の典型たる邱忠業（ジャム・ヤウ）撮影監督が登場し、舞台挨拶。現在は大阪に居を移している邱忠業のテンポの良い日本語で楽しく進行。

とにかく女の子たちの裸のシーンが多いこともあって、撮影には厳しい陸以心監督だが、「監督をはじめ、出演者が3カ月以上一緒に住んで、気持ちが一つになれるように配慮してくれた」と麥芷誼は感無量の表情で語る。
また邱忠業は、「彭浩翔（パン・ホーチョン）監督はヘンな人ですよ～」と客席の笑いを誘いながらも、「全裸シーンの撮影では同氏の提案でスタッフ全員裸になって撮影したんですよ～！」と、裏話公開。皆裸って（笑）。

彭浩翔監督は、昨年の大阪アジアン映画祭で公開された『香港仔（＝アバディーン）』を最後に、活動の軸足を大陸に移した。その意図はわからないが、彼の薫陶を受けた陸以心は今後どんな香港映画を撮っていくのか。もうちょっとおじちゃんにわかる作品を作ってね（笑）。

この後、サイン会が開かれたので、「ちょか」な邱忠業と広東語で話したくて、行列に加わる。麥芷誼が大学生時代に付き合ってた女子とあまりにもクリソツだったってのが、正直な理由だが（笑）。

（映画祭出品作に付き、甘口評、辛口評は割愛）

《同班同學》Lazy Hazy Crazy 預告片

（平成28年3月11日　シネ・リーブル梅田）

Leslieyoshi

在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。

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