【今年読んだ本 2015】披露するほどではないですが。

もう今年も終わりですな…。
個人的には、相も変わらずその日暮らしな1年でありましたが、まあ、こんなもんでありましょう。凡人の日々などというものは。
では、だれも期待はしていないでしょうが、一応、拙ブログの恒例ということで、今年の読書歴を。

波の音が消えるまで 上巻』 沢木耕太郎
新潮社 1,728円 1月5日読了

波の音が消えるまで 下巻』 沢木耕太郎
新潮社 1,728円 1月14日読了

わたしがいなかった街で』 柴崎友香
新潮文庫 594円 1月22日読了

絶対貧困―世界リアル貧困学講義』 石井光太
新潮文庫 594円 1月30日読了

人間、やっぱり情でんなぁ』 竹本住大夫、樋渡優子
文藝春秋 1,836円 2月2日読了

文楽のこころを語る』 竹本住大夫
文春文庫 691円 2月12日読了

贋物・父の葬式』 葛西善蔵
講談社文芸文庫 1,365円 3月1日読了

PK』 伊坂幸太郎
講談社文庫 572円 3月6日読了

週末香港 マカオでちょっとエキゾチック』 下川裕治
朝日文庫 734円 3月10日読了

香港無印美食―庶民のマル味ワンダーランド 茶餐庁へようこそ!』 龍陽一
TOKIMEKIパブリッシング 1,620円 3月13日読了

いちばん長い夜に』 乃南アサ
新潮文庫 767円 3月25日読了

サラバ! 上』 西加奈子
小学館 1,728円 3月31日読了

サラバ! 下』 西加奈子
小学館 1,728円 4月6日読了

花ざかりの森・憂国―自選短編集』 三島由紀夫
新潮文庫 594円 4月18日読了

夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎
創元推理文庫 842円 4月24日読了

仮縫』 有吉佐和子
集英社文庫 648円 4月29日読了

一芸一談』 桂米朝
ちくま文庫 886円 5月11日読了

バイバイ、ブラックバード』 伊坂幸太郎
双葉文庫 680円 5月17日読了

今戸心中―他二篇』 広津柳浪
岩波文庫 605円 5月25日読了

祈りの現場』 石井光太
サンガ 1,944円 6月9日読了

極貧球団』 長谷川晶一
日刊スポーツ出版社 1,728円 7月19日読了

鏡子の家』 三島由紀夫
新潮文庫 907円 7月20日読了

本当は日本が大好きな中国人』 福島香織
朝日新書 886円 7月26日読了

仙台ぐらし』 伊坂幸太郎
集英社文庫 583円 7月29日読了

舟を編む』 三浦しをん
光文社文庫 670円 8月3日読了

ジャイロスコープ』 伊坂幸太郎
新潮文庫 594円 8月8日読了

英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 施光恒
集英社新書 821円 8月15日読了

何者』 朝井リョウ
新潮文庫 637円 8月20日読了

命売ります』 三島由紀夫
ちくま文庫 734円 8月24日読了

泣いたらアカンで通天閣』 坂井希久子
祥伝社文庫 648円 8月26日読了

覇帝フビライ 世界支配の野望』 小前亮
講談社文庫 864円 9月2日読了

旅の闇にとける』 乃南アサ
文春文庫 724円 9月10日読了

七時間半』 獅子文六
ちくま文庫 907円 9月20日読了

寝ても覚めても』 柴崎友香
河出文庫 799円 9月28日読了

遺体―震災、津波の果てに―』 石井光太
新潮文庫 594円 10月2日読了

すかたん』 朝井まかて
講談社文庫 745円 10月16日読了

フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎
新潮文庫 594円 10月25日読了

ときぐすり』 畠中恵
文春文庫 637円 11月9日読了

ひなた』 吉田修一
光文社文庫 555円 11月13日読了

陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1』 佐伯泰英
双葉文庫 700円 11月16日読了

寒雷ノ坂─ 居眠り磐音江戸双紙 2』 佐伯泰英
双葉文庫 700円 11月21日読了

花芒ノ海 ─ 居眠り磐音江戸双紙 3』 佐伯泰英
双葉文庫 700円 11月24日読了

新装版 鍵』 乃南アサ
講談社文庫 734円 12月1日読了

御不浄バトル』 羽田圭介
集英社文庫 475円 12月6日読了

閻魔の世直し: 善人長屋』 西條奈加
新潮文庫 594円 12月13日読了

武士道ジェネレーション』 誉田哲也
文藝春秋 1,620円 12月22日読了

巨人軍の巨人 馬場正平』 広尾晃
イースト・プレス 2,000円 12月27日読了

やはり小生は相当な暇人なようで(笑)、48冊も読んでしまっていた。
あまり暇人に思われるのも癪に障るので、来年は減らそうと思うけど、さてさて、思惑通りになるかどうか。

この48冊から、印象深かった10篇を選んでみると。

『波の音が消えるまで 上・下』
★物語の始まりが、香港返還前日のマカオ、それもリスボアのカジノのバカラの台から始まるというのが、うれしい。案の定、いきなりひこまれてしまう。まだ海外のカジノが進出していなかったころの、猥雑なあの空気が、チップを張る制限時間終了を告げるチャイムの音が、たばこの煙で霞がったような光景がよみがえってきて、いまからすぐにリスボアでバカラに興じたい気持ちに。

『サラバ! 上・下』

★普段はナントカ賞の作品に飛びつかないが、『サラバ!』への食いつきは意外なほどに早かった。受賞前に購入してずっと「積ん読」状態だったが(笑)。「これって、かなりの部分は作者西加奈子の『私小説』なのかな?」と思うも、本人は否定。主人公、圷歩(あくつ・あゆむ)が魅力的なのは当然として、取り巻く人々の「行く末」が気になって、あっと言う間に上下一気読み。

『極貧球団』

★太平洋クラブライオンズ最初の年、昭和48年、小生は小学4年生。派手なユニフォームに変身したライオンズが眩しかった。大阪球場は西鉄時代同様に三塁側のライオンズファンから埋まって行き、熱気も三塁側が勝っていた。あのころすでに大阪球場の「常連」だった南海ファンの小生にも懐かしく思い出される「貧乏球団」ライオンズ奮闘記。

『鏡子の家』

★三島作品はテンポよく読み進めてきたが、これは非常に手こずる。600ページを超す二部構成の長編。第一部は地の文が多いからか、なかなか進まない。第二部は主人公の鏡子を取り巻く4人の男たちに大きな変動が起きるからか、意外とスムーズ。それぞれの男たちは、他の三島作品の主人公にどこか通じるものがあるし、もしかしたら、三島自身を投影した姿なのかも。

『舟を編む』

★小生も雑誌や年鑑本ではあるが、編集、広告営業、数字管理、工程管理などを任されていた時期があった。辞書とは異なるフィールドだけど、本を作る過程の面白さ、苦労、そして世に出てからの「怖さ」も痛いほどわかるので、主人公・馬締君ほか学生アルバイトに至るまで、登場する人たちを愛おしく感じながら読む。

『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』

★何と言っても、「日本語の正しい読み書きもまともにできない日本生まれ、育ちの日本人」の誰もが、英語を駆使してグローバルに活躍できるようになるなんて幻想を国が抱かせてはなりませぬ。英語の前に、正しい日本語の読み書きを徹底して習得させること。そして、必要とする人が必要な時に必要なだけ、英語を身につければ、それでよいではないか。

『命売ります』

★「エンタメ系」の三島由紀夫は面白い。終盤の展開は、三島自身が「もうここらで物語にケリをつけるか」な感じがしないでもないが。「命を売る」ことに「生きる道」を見出してしまったのが、そもそも主人公・羽仁男の間違いだったのか? 最初の自殺未遂以来、「死」というものに見放され続けている男、羽仁男のその後に思いをはせると、やはり「死」に見放されながら生きていくのだろう。

『すかたん』

★江戸時代の天下の台所、大坂の青果業界事情や、今につながる大坂のうまいものづくしあれこれは、おもしろくためになる。何より!我が町、田辺が誇る「田辺大根」が、いよいよ大阪の名産として市に出るまでの物語が、田辺の人間として誇らしい。朝井さん、よくぞ田辺大根を小説の題材にしてくれました!ありがとう!そして、田辺の人間は、大阪人は、必ずこの作品を読むべし!!

『居眠り磐音江戸双紙1,2,3』

★NHKの時代劇で、なんとなく観ていたのがハマってしまい、磐音の大ファンに。早く原作も読みたいと思っているうちに、今になってしまう。原作も面白い。磐音役に山本耕史というのは、うってつけだなというのがよくわかるし、その他のキャスティングも実に原作を読み込んでのことなんだというのがわかる。50巻に及ぶ長丁場、長く付き合える親友に出合ったような気分に。

『巨人軍の巨人 馬場正平』

★幼いころ、週刊漫画本の表紙は、長嶋、王、大鵬そしてジャイアント馬場の繰り返しだった。当時、最強だった馬場のレスラーとしての輝かしい経歴以前のほろ苦い青春の日々を、丁寧な取材と新資料の掘り起こしで世に送る一冊。当時のプロ野球の「二軍」の立場や状況も知ることができる。野球好きもプロレス好きもそのどちらでもない人も、一気読みしてしまうはず。

御開帳待ちの「積ん読本」が現在18冊。
これをクリアするだけで、半年くらいは本を買わなくて済む「机上の計算」だが、そうもいかないだろう。毎度言うように本との出会いは「天の配剤」。買ってみて、読んでみてわかる。その本をいずれは読むことになっていたんだということに。

年末、急激に冷え込んできました。
どうぞ、よき新年を。

新年進歩!


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