【上方芸能な日々 文楽】嶋大夫引退公演

明けましておめでとうございます。

新年のあいさつが十日戎の日になってしまいましたが(笑)、大阪人はこのお祭りが終わるまでは正月気分でおりますから、お許しを。

さて、毎年のことながら、新年一発目のブログは文楽の初春公演から。

嶋大夫懸垂幕今年は残念なことに、まことにもって残念なことに、小生の大好きな豊竹嶋大夫師匠の引退公演となってしまった。

昨秋、めでたく人間国宝に認定されるも、それが「引退へのご祝儀」みたいな形なってしまい、結局、人間国宝・嶋さんの舞台は、この大阪と2月の東京の2回しか目にして耳にすることが叶わなかった。

引退の理由について、ご本人は引退会見やその後のインタビューなどで触れておられないことから、様々な憶測が文楽ファンの間で飛び交っているが、ご本人が「辞め時」を悟ったからの引退であり、もうそれについて外野があれこれ詮索するのは止めにしてもらいたいものである。そりゃまあ、あれもこれもと色々頭に浮かんでくるのもわかるけど、そこはもうそれとして、気持ちよく花道を送ってあげたいと思うのである。

仮に、住さんの引退みたいな、ある意味、メディア(及びどこかの前市長)が作り上げた「ドラマ性」を求めているとしたら、大きな間違いだと思う。文楽の芸人は、そういうこととは無縁のところで生きてきた人たちだし、今後も恐らくそうだ。

IMG_252930分の幕間。いつもより早めに開演前ブザーが鳴り、席に戻ると着々と嶋大夫引退披露狂言『関取千両幟』の準備が進んでいた。
門弟の呂勢大夫曰く、「引退公演は功成り名を遂げた上での事であり、おめでたい事ではありますが、門弟は大樹を失った小鳥も同じ」。ファンも同じ思いである…。

新春公演のあれやこれはまた、次回にでも。

(平成28年宵戎 日本橋国立文楽劇場)


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