【上方芸能な日々 落語】第369回「上新庄えきまえ寄席〜BUNTOらくごワールド2015」

落語
第369回 上新庄えきまえ寄席
BUNTOらくごワールド2015

1年ぶりの「上新庄えきまえ寄席」への参戦である。

昨年8月11日、午前中まで台風が襲撃しており、確か会場の春日神社到着時にも、一瞬だけ横殴りの大雨だった記憶がある。

で、今回も、台風こそ来てないけど、夏の後半らしく、どうにもお天気が落ち着かない。特に午後3時ごろから4時ごろまで大阪市内は、滝のような土砂降りで、「こういうのは昔の大阪ではありえなかったなあな」どと思うも、「永い地球の歴史の中で、こういうことも時にはあろう」とも思う。何でもかんでも「温暖化」で話を片付けてしまう世の風潮もまた、どうかと思うよ、俺は…。

2015.8.17

前から二列目の良席と言えば、よかったねってところだが、お座布の上で約2時間半はきついよ、大概。いいえいな、座ってるときはよろしい。正座で2時間でも3時間でも平気です、小生は。ただねえ、立つときが大変で、気合もろとも、「いっせいの~!」といかないことには、よろけてまうのである。ホンマ、歳は取りたくないもんだ(笑)。

さて、名ビラをご覧いただきたい。「月亭」の下に余白アリ。ここに、月亭文都師匠の三番弟子の芸名が隠されているのである。その名を知るは、文都師と名ビラを書いた橘右一郎師の二人だけというから、これはもうその三番弟子君、初高座で落語やること以上にドキドキしてるんやないやろうかと、心中を察してあげたりするが、こっちも興味津々で名ビラを見つめる。

昨年のこの会は、二番弟子の秀都の初高座でもあった。この子の場合は、事前に秀都と発表されていたから、「で、どんな子やろ」とか「で、どんな腕前やねん」とか、要するに落語にだけ興味を抱いておればよかったが、今回は加えて「で、芸名は?」という興味も。さてさて…。

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<ネタ帳>
『動物園』  三番弟子(初高座)
『桃太郎』  月亭秀都
『仔猫』  月亭文都
仲入り
『転宅』  月亭天使
『月宮殿星都』  月亭文都

出囃子に乗って登場する三番弟子。ほ~、こういう顔してるのか。さっそく、名ビラを覆っていた紙をはがす。「都来」。読めない三番弟子(笑)。「え~っと、これは…。『とらい』ですかね? いや…、、『とーく』ですか? ああ、『とらい』ですか」と、初高座早々に笑いを誘って、ここに「月亭都来(つきてい・とらい)」が誕生。それほど緊張もうかがわれず、『動物園』を。

一年前の秀都のときもそうだったが、「お前、落語するのん初めてちゃうやろ」な高座。後で文都師も明かしていたが、やはり関大。やはり「落語大学」。なるほどなるほど。
*我が関西大学では、「落語研究会=おちけん」ではなく、「落語大学」が正式名称。

なぜか(笑)丸坊主の秀都は『桃太郎』。まあ、いろいろと評してやるのは、まだ可哀そうな段階。来年どうなってるかで、なんとなくではあるけど、どういう道を歩んでいくのかが想像できるかも。もうちょっと早いかな、その段階来るのは。

文都さんは『仔猫』。おなべの田舎言葉が楽しいが、実は凄惨な話。でもオチは転じてあっけらかん。しかし、高座だけど、緋毛氈で隠しているけど、おそらくは折り畳みの会議机が正体だと思う。「うわぁ、脚折れるで」と、話もさることながら、そっちに冷っとする場面も(笑)。動きの大きい熱演であればこその「冷っ」である。にしても、オチの「かぶる」は難しくなってくるね、これからさらに。節分の「丸かぶり」くらいしか使わなくなってしまったもんね…。

天使の『転宅』、オチは「語る」で。振り返ってみると、そうでもなかったのだけど、女性二人の話しっぷりが行き過ぎていた感も。落語やってる本人が女性だから、これは仕方ないのだが、どうしても男の登場人物が負けてしまう印象。このへんのネタの選択が難しいのかな。おきばりやす!

『月宮殿星都』は、数ある「旅もの」ネタの中でも、天空への旅を扱った奇想天外なネタ。地獄への旅を扱った『地獄八景亡者戯』が、演者にも客にも人気ネタなのに、こちらは意外にもやる人が少ないとか。それゆえに、いくらでもアレンジが利き、入れ事満載で話が進んでいく。下手すると、「何の話やったかな」とお客が路頭に迷うだろう。そこは文都師なら、「安心と信頼の『月宮殿星都』」となる。

文都一門もこれで弟子が3人に。こうなったら、毎年、この会に合わせて新弟子をデビューさせるというのは、いかがでしょうか(笑)。

(平成27年8月17日 上新庄春日神社集会所2階)


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