【上方芸能な日々 文楽、素浄瑠璃】第26期文楽研修生発表会

人形浄瑠璃文楽
第26期文楽研修生発表会

以前にも申し上げたと思うが、文楽の研修生は基本的に2年間の研修を経て、試験に通れば技芸員になれるとのこと。
現在の文楽技芸員で研修制度を経て文楽の世界で活躍している者は、多分、半数を超えたんじゃないかと思う。

今、研修を受けている研修生は、平成25年4月から27年3月まで2年間の研修期間を終えた後、文楽協会に所属し、幹部技芸員に入門して舞台に出演することになる。

この間の研修費用は自己負担なし。内容は、義太夫、三味線、人形実技、琴、胡弓、日本舞踊、作法、人形浄瑠璃史、上方文化史、院本講読、稽古見学、公演見学、舞台実習などというわけで、小生のような古典芸能おたくは、「自己負担するから研修受けさせて~」と思うのだが、あいにく、年齢制限があり、23歳以下とのこと…。

只今研修中の26期生の「 中間試験」とでも言うべき「研修生発表会」に行って来た。

「無料ご招待」ということもありまして、毎回、競争率が高うございますが、幸運にも前回25期生発表会(平成24年1月)に続いて抽選に当たりッ! 外れた人、ごめんね~。

会場の文楽劇場小ホールは150人ほどのキャパ。行くのが遅かりし由良助というわけでもなかったのに、後ろから2列目しかお席ございません。

で、最後列には師匠方や記者さんら「視線の鋭い」皆さんが並ぶので、背中が射抜かれそうな心持。
なんと申しましても、ほぼ真後ろに住大夫師匠でありますから、こりゃもう、研修生並みにドキドキいたしまする(笑)。

『二人三番叟』
研修生二人は三番叟の「足遣い」で登場。
普通の公演では、「手摺」前方は板張りになってるから、人形遣いの足の動きは見えないけど、発表会では研修生の動きが見えるようにということか、スケスケになっている。こうして見ると、改めて主遣い、左遣い、足遣いのそれぞれの動きがよくわかって、見る方も「研修」になる。
で、師匠方は当然ながら研修生の遣い方を観察するわけだけど、小生なんかも「見なきゃいかんかな?」なんて気分になるんだが、そんなんわからんし、「よう8カ月そこそこで、ここまでのことできるようになったな~」と感心することしきり。

素浄瑠璃
『菅原伝授手習鑑』寺入りの段
太夫が研修生。すでに「太夫でござい!」って貫禄ある彼でした。
こちらは人形の遣い方とは違い、ちょいとは耳が肥えておるもんだから、なんとなくではあるけれど「チェックポイント」なんかが見えてきたりする。それがチェックすべき点なのかどうかは、後ろの席の住さんにたんねてみなわからんけど、そんな恐れ多いこともできず「はは~ん」とか偉そうに聴いていた次第。ごめんな、研修生君。で、彼もまた人形の二人同様、短期間でようこれだけ語れるようになりやったな~と、感心どころか感動さえも覚えるのでありまする。

前回は大阪出身者がおらず、寂しさを感じたが、今回は一人が大阪出身者。
まあなあ、市の補助金の問題で揺れてはいるけど、文楽という芸能自体は一向に揺れてはおらず、今後も文楽は文楽であり続けるわけで、不安もあるだろうけど、それは芸界に飛び込むからにはジャンルは違えどどこも同じ。

研修発表会に3人というのは、ちょい寂しい。せめて5人。次の募集の際にはぜひ、大阪の子たちも文楽の門をたたいてほしい。古典芸能を次代に伝えてゆく一翼を担ってほしい。それもまた大阪人としての生き方の一つやと、思うで。

さて、前回25期の研修生は、すでに舞台で活躍しています。
■人形
吉田玉峻(たまとし) 玉女門下
吉田玉延(たまのぶ) 玉女門下
■三味線
鶴澤燕二郎(えんじろう) 燕三門下
鶴澤清允(せいいん) 清介門下
三味線の二人はツレ弾きで床に顔を出しています。ふたりともイイ顔で弾いてますよ!
人形の二人も頭巾で顔はみえないけど、足や後見で頑張ってることでしょう。

研修発表会で見た研修生が舞台で活躍しているのを観るのは、嬉しいもんですな…。って、俺もずいぶん年取ったな(笑)。

(平成26年1月28日 国立文楽劇場小ホール)


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