【睇戲】『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』(港題=寒戰)

『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』
(港題『寒戰』)

睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

1995年5月に香港生活が始まったころは、友達も無くヒマだったのと、できるだけ広東語に触れる機会を増やしたい、そしてマスターしたいということもあって、土日ごとに「睇戲」していたんだ、俺。

香港の映画は、多くの場合、普通話と英語の字幕が付く。基礎的な普通話(北京語=世間一般に中国語とされている言語)は、なんとかついて行けるし、英語も文字で追えばなんとか理解できるから、字幕を見逃すなと見つめながら、映画を見ていたのが懐かしい。

香港在住以前から香港映画は大好きで、そもそもが『Mr.Boo!』シリーズにハマってしまったのが、事の始まりで、許三兄弟はもちろん、周潤發、梁朝偉、張國榮、李連杰…と、ジャンルは様々なれども、香港映画は相当数見てきた。

世の中は移り変わり、あんなにたくさんあった香港の戲院(映画館)は、あっという間にVCDやDVDに駆逐され、景気の悪化、韓流の台頭、ハリウッドや大陸への人材流出など、様々な要因から純然たる香港映画の製作本数も一気に減って行く。同時に、小生の「睇戲」の場も、家庭内で海賊版へと、変わって行く…。

恐らく、香港の映画館で香港映画を見たのは、1996年の張國榮主演『大三元(邦題:恋する天使)』あるいは、同年の黄秋生主演『伊波拉病毒(邦題:エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウィルス)』が最後かもしれない…。いや、『古惑仔』シリーズだったか? 要するに、香港生活に慣れて、映画以外の楽しみ(たとえば週末に深圳へおねーちゃん遊びに行くとかww)をたくさん見つけてしまった、ということだ。

今回、久々に、香港の戲院(映画館)ではないけれど、映画館で香港映画を睇戲した。香港映画の王道というべき警察モノ。そこにICAC(汚職取締署)も絡んでくるから、これはもうド真ん中すぎるだろう。「第32回香港電影金像奨(=香港アカデミー賞)」で9部門受賞と圧勝した作品である。これは見たいね! 相当期待していたんだ、実際に…。

大阪での封切り初日、香港映画ファンに優しい「シネマート心斎橋」へ。昔からそうだけど、成龍(ジャッキー・チェン)の大作以外の香港映画が、全国一斉ロードショーになることは極めて稀である。無い!と言いきってもいいくらい。単館ロードショーのそれも短期の公開を見逃してはならない…。なんで最近、また香港映画に目覚めてしまったのか、わからないのだけど…。そういう周波がきたのかな…?

港題 『寒戰』
英題
 Cold War
邦題 『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』
製作年 2012年
製作地 香港
評価 ★★☆ (★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督): 梁樂民(リョン・ロクマン)、陸剣青(サニー・ルク)

領銜主演(出演): 郭富城(アーロン・クォック)、梁家輝(レオン・カーファイ)、李治廷(アーリフ・リー)、彭于晏(エディ・ポン)、楊采妮(チャーリ・ヤン)、林家棟(ラム・ガートン)、錢嘉樂(チェン・ガーロッ)、徐家傑(アレックス・ツイ)

客串(特別出演):劉德華(アンディ・ラウ) *「香港四大天王(80~90年代の香港4大アイドル)」の郭富城と劉德華の映画共演は、10数年振りじゃないか?

【辛口評】
大ヒット作『無間道(インファナル・アフェア)』シリーズまでとはいかなくとも、そこそこに期待した作品だったが…。香港で好まれそうなストーリーに仕上がっているし、俳優もよいメンツが揃っているにも拘わらず、かなり消化不良。シリーズ化を臭わせるというか、「シリーズ化決定!」みたいなラストシーンは、かなり白々しい。これが2012年香港興行収入No.1のメガヒットを記録し、金像奨で圧勝するのだから、やっぱり香港映画は低調なのだろう…。繰り返すが、いい俳優が揃っているのに、もうちょっとやりようがなかったのかと、なんとも残念な一作。

【甘口評】
香港人大好きの警察モノ。爆発あり、銃撃あり、カーチェイスありの大活劇! 謎の失踪、警察内部対立と和解、身内犯行説に内部告発?、さらにはICAC(汚職取締署)まで登場し、最後は「続きもあるよ」な締めくくり。これぞ、香港映画お得意のパターン、見なきゃ損だよ! しかし、この前まで郭富城が丸刈りだったのに、いつの間にか梁家輝が丸刈りになっていて、息子役の彭于晏まで丸刈りに(笑)。なんだ?この潮流は?

【予告編<”敢えて”広東語バージョン>

(平成25年11月9日 シネマート心斎橋)





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