【SARS10年を回顧-6】*旧ブログ

SARS回顧も6回目となりましたが、まだまだ続きますョ(笑)。

3月下旬。あちこちで集団感染が発生し、中でも淘大花園(アモイガーデン)のそれは、刻一刻と深刻度を増して行きます。

それらと比例するように、社内では、香港人女性スタッフたちがナーバスになってゆきます。仕方ないですね。会社が入居するビルの中でも、下層階の店舗、上層階のオフィスでも感染者が発覚して、SARSが身近なところまで迫っていると思うと、そりゃ仕事どころじゃありませんわな。

会社の売り上げもこのころから、急激に落ち始め、4月、5月なんかは、前年70%ダウンとかもう、笑うしかないという状況。それでも30%でもあるだけましで、業種によっては、ほとんどゼロなんてもありました…。

飲食店には「結業=店じまい」するところも、一気に目立ち始めます。みんな外出しないのだから、当然の成り行きでした。

レストランも、この通りガラガラでして…

【3月27日】
■政府は「検疫及防疫条例」を適用し、SARS患者ないしその関係者が他人と接触することを法的に制限するように検討中であると発表。目的は、SARSの拡散防止。<遅い!!遅すぎる!!!

■WHOは広東省の肺炎と世界に広がっている肺炎は同じ種類と指摘。

■医管局・高永文署理行政総裁は、本日より病院での訪問規制を施行。SARS患者への見舞いは禁止。病院では電話を提供、電話での見舞いはOK。

■香港中央図書館は、職員がSARS感染のため、今日閉鎖、消毒作業。

■教統局・羅范椒芬常任秘書長は、全ての学校を休校にするかどうかは、社会感情と実際の需要を考慮して合理的な答えを出すと語った。

■学校児童の保護者グループが政府本部へ抗議デモ。「さっさと全学校を休校にしろ!」と激怒。教統局は決断を渋る。

■MTR(地下鉄)と九龍バスは明日28日より、「必要とする乗客」に対してマスクを配布する。MTRでは2万個のマスクを発注。各駅で配る。乗客は窓口で貰える。MTRCでは、次の発注品は来月初旬にならないと届かないとしている。九龍バスもカスタマーセンターでマスクを準備中。早ければ明日から配布。

■昨日、集団感染のあった牛頭角・淘大花園在住のMTR・湾仔(Wanchai)駅職員がSARS感染。同駅は一時、封鎖され消毒を実施。

■マカオ政府はイミグレーション職員と警官にマスクを供給。

■新たに多くの学校、幼稚園が自主休校に。休校する数は約100校。

■龍運バスの運転手1名がSARS感染。

■董建華行政長官は、新たなSARS対策を自ら発表。
*発表1
あさって(29日)から、大学以外の全部の学校は4月6日まで休校とする。期間は変更することがある。
*発表2
31日より、衛生署署長は「検疫及防疫条例」に基づき、SARS患者と接触した人1080名に対し、10日間、指定の診療所へ毎日出向くことを命ずる。それ以外は必要なき場合の外出を控えるように指示する。
*発表3
29日より、香港に入境する全ての人は自分の健康状況を検疫問診票に記入する。衛生署は職員を入管に派遣し、必要に応じて対応する。

■衛生福利及食物局・楊永強局長は、29日よりSARSと診断されたすべての患者をマーガレット病院に集めて治療すると発表。この時点で、79名が既に治癒し、一部は退院。また今日、14名の学生がSARS感染と確認されたことも発表。

■シティバスは、28日より乗客にマスクを配布する。1万個を準備

■行政長官事務所・林煥光主任は、30日から食環署をはじめとする政府の部門が、政府建築物と公共施設などをすべて毒清掃すると発表。

■香港大学微生物学系の袁国勇教授は、SARSウイルスは空気中で3時間の活動能力を持つため、指で目、鼻、口をいじる癖のある人は感染しやすいと警告。同教授は、消毒方法として、70%のアルコールを濡れティッシュに含ませて拭く事で、間違いなくウイルスを消毒できると述べた。洗剤を含んだ濡れティッシュでも消毒効果はあるが、間違いない効果があるのは70%濃度のアルコールであると結論付ける。

■衛生署は、今日までに合計367件のSARS症例を確認した。この日は51件。うち6名は医療機関職員、22名が淘大花園の集団感染。フィリピン人女性が1名クイーン・マリー病院で死亡。

政府、ようやくSARSを法定伝染病に認定 3月27日付け香港政府官報に、「厳重急性呼吸系統綜合症=重症急性呼吸器症候群(SARS)」を香港条例 第141条「検疫及防疫条例」で指定する法廷伝染病とする旨公布あり。また、「防止傳染病蔓延規例」により、医師がSARS患者を発見した場合は、必ず衛 生署署長へ報告する旨命令を発した。

■ローリングストーンズのスポークスマンは、香港のSARS流行の影響により、あす28日と29日に予定されていた香港公演を中止すると発表。

【3月28日】
■2月18日から3月3日にかけて、感染が広がったメトロポールホテルに、日本人70人と日本在住外国人7人が宿泊していたと、厚生労働省が27日、発表した。香港の衛生当局から通報があった。

■MTR(九広鉄道)とバス2社は今朝から乗客にマスクを配布。しかしマスクを求める行列はみられず。乗客のひとりは、マスクは不要だと語り、別の乗客は、MTR(地下鉄)が配布しているマスクは、薄いガーゼのもので、保護作用は期待できないから不要だと言う。

■シンガポール政府は、さらに4名のSARS患者を確認。既出の患者の家族1名と、医療機関職員3名。世界中で1300名のSARS患者が報告されており、うち54名は死亡。

■新界東地区病院網総責任者であり、またウェールズ病院長(Chief Executive)でもある馮康氏は27日夜、体調を崩し、同病院で検査。発熱があり、SARSの疑いあり。

■香港中央図書館は、2日閉鎖の後、今日から再開。職員は全員マスク着用、消毒作業は進行中。

■マーガレット病院の救急センターは、29日午前0時より業務を停止。各病院に入院中のSARS患者をすべて同病院に収容して集中管理するため。

■中文大学でまたひとりSARS感染の学生が見つかる。沙田の中大校舍での全授業の休講が決定。4月7日から再開。

■米疾病対策センター(CDC)は27日、アジアを中心に広がっているSARSについて、米国内でも21州で51人が発病した疑いがあると発表した。カナダのオンタリオ州でも26日までにSARSの患者が27人に達し、州当局が非常事態を宣言した。

■国際ラグビー連盟(IRB)は4月5、6日に予定されていた北京セブンスを、SARSが香港から中国に広まるリスクがあるため、中止を決定。「香港-北京間の航空機内でSARSウイルス感染が広まる可能性を否定できない」というWHO最新情報を受けたもの。なお、今週の香港セブンスは「オープンエアでの肺炎感染のリスクは小さい」との政府アドバイスを受けて予定通り実施。

■日本の厚生労働省はメトロポールに泊まっていた日本人の追跡調査はしないと表明。潜伏期間が過ぎている&プライバシーの尊重のため。

■香港8大学も学校閉鎖を決定。8校長が会議し、29日より4月6日までの閉鎖を決定。職員は平常どおり勤務。科技大学は月曜に予定されていた試験を中止。

■WHOは、上海でSARS感染者4名を確認。うち2名は医療関係者。

■金鐘(Admiralty)の政府合同庁舎13階の政府産業署の職員1名がSARS感染。

■香港科研製葯聯は、来週には香港に400万個のマスクが届くので、安心してほしいと市民に呼びかけ。

■機会平等委員会は、雇主がSARS患者ないしその家族を解雇したら、差別行為にあたると発表。一方で、職員がSARS予防措置を拒否した場合、検疫措置に従わない場合、雇主が行動を起こすことは違法ではないとした。

HSBC(香港上海匯豊銀行)は、中環(Central)本店に勤務する女性職員が1名SARSに感染したことを確認した。この職員は集団感染が発生した淘大花園E座居住者。同僚20数名も7日間休み。本店は消毒するが、閉鎖はしない。

■北京のWHO専門家グループは、広東省の肺炎症例を研究した結果、これは世界に蔓延しているものと同一であり、SARSの感染源は広東省に違いないと発表した。このほか、今後このような事例は世界中へ発表すると中国政府が約束したという。

■衛生署では、3月21日に中国国際航空のCA111便とキャセイ航空のCX510便に搭乗した乗客に、衛生署に連絡をするよう呼びかけている。この便2の搭乗客からSARS感染者が出たため。

■台湾・疾病管制局によると、台湾でのSARS感染者10名は、台北県1人、台北市6人、宜蘭県1人、嘉義県1人、台南奇美病院1人。さらにキャセイCX510に搭乗した乗客260名(職員含まず)のうち249人は台湾人で、その他は他国の人。当局は、乗客に体調を報告してほしいと、呼びかけた。

■【台北28日 共同】台湾の陳水扁総統は28日、台北市内の総統府で台湾訪問中の田中康夫・長野県知事と会談した際、原因不明の肺炎の流行に関し「中国大陸がSARSの発生状況を隠したため、台湾を含む全世界の人々の健康に影響が出た」と述べ、中国の対応を批判。陳総統はまた、「台湾は世界保健機関(WHO)のメンバーではないが『生命と健康に国境はない』との立場に基づき、日本を含む世界各国と協力し、SARSの予防・治療面で共に努力したい」と述べた。

■不動産業者によれば、SARS騒ぎの影響で、大型マンション群の今週末の見学予約は30%以上減少。集団感染のあった淘大花園は55%も客が減ったという。

淘大花園では「脱出」する人が後を絶ちませんでしたが…
いくらなんでも、これは危険ですね。
政府はまず最初に、この「脱出」を阻止すべきだったんじゃないかと

■中国銀行の鳳徳道支店の職員が感染。淘大花園の住人。

■当局は新たに58名のSARS感染者を確認。そのうち34名は淘大花園の住人。淘大花園は26日から始まり、見知らぬ住人同士の集団感染が続いている。この日までに63名も感染。27日と28日の感染者はブロックEとDに集中している。今日の34名の住んでいるブロックは不明。

■公開大学は、学生が1名SARSに感染したため、何文田校舍を閉鎖、および校内の設備と事務所、食堂など全てを消毒すると発表。

当然と言えば、当然なんですが、ストーンズの公演中止はショックでした
楽しみにしていたライブが中止になったのとともに、そこまで香港は危険と思われていたのかということに、改めて気付かされました。

ストーンズはその後、香港に来てくれて、アタシは前から10列目くらいのところで、キースとバッチリ目が合って(勝手に思ってるw)、舞い上がってしまったわけですが(笑)。

日本からも、心配してメールやお電話をいただきましたが、どうも「香港では、道行く人々が、バタバタとSARSで倒れていく」みたいにとらわれているんじゃないかと思うようなフシがあって、ちょっと失笑してしまったもんですが…。まあ、こういう感覚も仕方ないと言えば、仕方ないですね…。


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