【SARS10年を回顧-4】*旧ブログ

2003年のSARS禍の回顧。

香港では、最初に感染者が発見されてから、1ヶ月も経過しないうちに、病院での院内感染の拡大、学校、一般企業内でも感染が拡大していきます。

新聞には、この頃から「感染者、死亡者グラフ」が掲載され始めます。

マスクの不足は、えげつない事態も巻き起こします。ゴミ箱に無造作に捨てられたマスクを回収し、簡単に色付けして売りさばく輩が続出します。これで感染が拡大したという話は耳にはしませんでしたが、たとえば高架下などの簡易屋台で「マスク安いよ~」なんて言葉に飛びつくと、高い確率でこうした「再生マスク」を掴まされてしまうので、うっかりマスクを買うわけにもいきません。

こうなったら、マスクをファッションとして楽しんでしまうしかない…
ってわけでもないんでしょうが。
色んなマスクが登場しました

日系企業では、本社から大量に工業用マスクや医療用マスク、うがい薬、手洗い用の液状せっけんなどが送られてくるところも多かったですね。
しかしながら、小生の勤務先は何もなく、東京本社と電話で話していても「じゃぁ、まぁ、気をつけてくださいね」だけ(笑)。

【3月21日】
■北角(North Point)の中学で、生徒が発熱と咳。母親が先週、SARS感染していたことが確認されたため、学校はこの生徒も感染の疑いが強いとして、教育統籌局(以下、教統局と省略)に連絡、午後から臨時休校。

広東省は、2月中旬から非典型肺炎の症例は広東省内では明らかに減少傾向をたどっており、抑制されていると強調。これまで感染して入院した患者は70%が治って退院しているとも。

新たに32名のSARS患者を確認。8名が医療関係者のほか、その他は医療関係者からの3次感染、あるいは病院の見舞い客で、ウェールズ病院と東区病院に収容された。このほか、私立医院の職員3名に病人との接触で感染した疑い。ここまででSARS患者は197名、うち38名がICUで治療を受けている。

■衛生署と教統局は香港島と九龍の校長を集め、SARS講座開催。約1000名が出席。ある学校の代表は、「今ごろ講座なんて」と措置が後手後手になっていることを批判。学校ではとっくに換気や手洗いの励行、具合の悪い学生は帰宅させるなどのSARS流行予防措置を自主的に行っていると述べている。

衛生福利及食物局・楊永強局長は目下、中国衛生部とSARS問題を討論中と発表。「中国本土での肺炎蔓延状況はすでに収まっているということだから、中国ばかりを怪しむべきではない」と発言。「なぜなら、それは道理に合わず不公平だからだと言う。また同局長は、「ウイルスは国境など関係ない。いま、世界各地でこのような症例が見られているのだから、ウイルスが何処から広がったのかは分かるはずがない」と強調。また中国衛生部と連絡を取り合い、情報交換をする所存だと語った。

■衛生福利及食物局・楊永強局長は、私立医院の職員3名にSARSの疑いがあると発表した。またウェールズ病院の救急センターが3日間閉鎖されたが、医管局はこれをさらに1週間延長することを決定。

【3月22日】
■消防処・林振敏処長は、救急隊員の1名がSARSに感染したことを確認したと発表。
■政府は最新状況を発表。SARS患者(疑い含め)は220人、そのうち217人がSARSと確認。前日より20名増加。

中国国家衛生部・張文康部長は、「中央政府と香港がSARS問題でよりいっそうの連携をとることに同意する」と述べた。張氏は、「SARSが中国本土で先に見つかったのは確かだが、それが香港に伝染したことにはならない」と述べた。中国で先に肺炎が広がったが、中国の患者の一部は香港へ行ったこともなく、香港の患者の一部も中国へ行ってはない。然るに両地で肺炎が流行しているとの見解。張部長は22日朝、香港で董建華(C.H.トン)行政長官と会見。張部長はWHOが各地の専門家を香港に招き、SARS問題を研究してはどうかと提案。WHOも同意しているという。

■タイ衛生部は、国内でSARSと疑わしき患者を確認。この人は香港からタイへ帰国したばかり。病院で治療中。

■西医工会=西洋医学医師労組・楊超発会長は、本日さらに2名の会員医師がSARSに感染したと発表。個人開業医の医師の感染例は8件に。

■香港大学微生物学系・袁国勇教授は、SARSを引き起こすウイルスの同定に成功したと発表。中文大学では数日前に非典型肺炎はパラミクソウイルスが引き起こすと発表したが、具体的なウイルスの検出には時間がかかるとしていた。

■医管局・高永文專業及公共事務総監は、SARSがとうとうオフィスでも蔓延し始めていることを発表。ウェールズ病院職員の家族が1名、自らがSARSに感染していることを知らずに出勤、職場の同僚1名が感染。

■香港大学微生物学系は記者会見を行い、いま香港で広がっているSARSのウイルスの培養成功を発表した。微生物学系・斐偉士教授によれば、このウイルスはSARS患者の肺組織から抽出して培養したものだという。

■香港大学医学院は、SARSのウイルス培養に成功したと発表。この成果は病原ウイルスの検査、予防ワクチンの製造に役立つとみられる。医学院微生学系・袁国勇主任は、同学院は既に患者の血液検査でSARS感染をすばやく確かめられる方法を編み出したと語った。また、同主任は現在行われている治療方法は正確であり、治療を受けた75%の患者の病状は好転しているとコメント。

【3月23日】
■空港管理局は、先に医療手当てを要請した3名の旅客がSARS患者であったという報道を否定。過去1週間の間に香港にきた3人の旅行者が死亡し、その病状からSARSの疑いがある、という報道があった。空港管理局の発表によると、救急車で病院へ収容された旅客3名のうち1名はドイツの航空会社、2名が中国東方航空の乗客。3件ともSARSとは関係なしとしている。

■米国でのSARSの疑いがある患者数は22人に達した。10数州に広がっている。当局はアジアから帰国し、SARSと疑わしき病状のある患者達を隔離。

■医管局・梁智鴻主席は、「オフィスでのSARS感染例について、現時点では感染から発症までの潜伏期が7日以上かどうか不明である」と発表。いま最も重要なのは、市民が病気への警戒意識を高め、健康に注意することで、もしもSARSに似た病状が出た場合は、すぐに医療機関へ行くとともに、マスクをして他人へうつさないようにすることだ、と語った。香港大学医学院でSARSの検査方法が編み出せたという件については、どのような発見も喜ばしいことで、政府は1,000万ドル(当時レートで約1億5千万円)を捻出し、SARSの治療と予防方法を研究するための資金援助をすると発表。

医管局は本日新たに、25名のSARS症例を確認。うち8名は医療機関職員。ここまでで患者は242名また、本日SARSの疑いがある患者が死亡。80歳男性で、もともと心臓病を患っていた。

■衛生署・陳馮富珍署長は、2名がオフィスでSARSに感染したという件について、感染源は不明だとした。

■米国・シリコンバレーで2名がSARS感染。この2人は香港のメトロポールホテルに宿泊したことがあり、香港府衛生署はこれについてさらに調査を進める必要があるとコメント。

■衛生署は、現段階では市民全員がマスクを着用する必要はないが、食事のときは、大皿から料理を取り分ける専用の箸を使うのが衛生面からも理想的だと呼びかける。

■教統局・李国章(アーサー・リー)局長は、本日までに学生・職員の中からSARS感染もしくは疑いがみられた学校5校の臨時休校を発表。このほか、180名以上の19歳以下の学生も1週間通学を禁止。理由は彼等の家族がSARSに感染しているため。李局長は、香港の全部の学校を休校にする必要はないと付け加えた。

■教統局・李国章局長はSARS対策として3つの措置を公布。
(1) 家族がSARS感染の児童・生徒・学生は、明日より一週間通学を控えるよう「呼びかける」。家族がSARS感染の学校職員は一週間通勤禁止。
(2) 児童・生徒・学生または職員自身がSARS感染し、発病ないし入院までに一週間未満の場合、その学校を一週間の全校休校とする。
(3) 全ての学校の教室を、希釈したオキシドールで毎日、放課後に消毒する。

この頃からでしょうか、日本国内の報道も過熱してきたのは…。
香港にいては、朝夕の日本の新聞とNHKワールドプレミアムのニュース、ネットなどでしかその様子を知ることはできませんでしたが…。

この女性とは
小生も銅鑼灣の街で何度かすれ違いましたが…

驚きました!

ちゃんと息できてたんでしょうか?
こんな人がいたりするわけですから
そりゃ、日本の報道も過熱しますわなぁ。


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