【上方芸能な日々 落語】田辺寄席*旧ブログ

5月18日の土曜日、久方ぶりに「田辺寄席」に行ってきた。
香港在住中は、一時帰国と田辺寄席の開催日が合えば、何をさておき行っていたのに、帰国後は「来月にしよ~っと」とか「あ、昨日と今日やったのか!忘れてた!」とか、実に田辺寄席に対する愛情はへろへろで、今回、なんともまあ、帰国後初めての参加であります。面目ない。
いつの間にか会場の名前も「阿倍野青少年センター」から「桃ヶ池市民活動センター」に変わってるし。この名称変更の経緯は色んなことがあったわけですがね…。

田辺寄席
第604回昼席
『新・じっくりたっぷりの会-桂米二の段』
桃ヶ池公園市民活動センター
1814734

<ネタ帳>
「動物園」桂二葉
「くっしゃみ講釈」桂米二
「向う付け」桂文太
中入り
「粗忽長屋」月亭八天
「火事場盗人」(小佐田定雄作)米二

二葉と書いて「によう」と読みます。地元やそうですから、張り切ってたやろし緊張もしてたと思いますが、とても初々しい高座で、大変好感が持てました。米二さんに入門したというのも、なんとも渋い女子ですな(笑)。

今回は「じっくりたっぷり」と米二師匠を聴く会ということで、二席御披露。
まず一席目。「くっしゃみ講釈」はポピュラーなネタで、いろんな人が高座にかけますし、八百屋で胡椒を思い出すまでのあれやこれやの騒ぎ、講釈師・後藤一山がくしゃみ連発で講談が語れない場面などに爆笑が起きるわけですが、実は、講釈師がくしゃみ連発の前に講釈を語る場面こそが味噌なような気がします。あそこが「立て板に水」の如くの講釈語りでなけりゃ、くしゃみは引き立ちませんわな。そういう点で、米二さんは盤石の「くっしゃみ講釈」でありました。

田辺寄席とともに歩む文太師匠、本日は「向う付け」。今では葬儀場の受付では「向う付け」や名刺を渡すのが普通ですが、昔は受付(帳場)の者が参列者の「御芳名」を記載していたのですな。実は小生、葬礼の場においてはいっつも「帳場」に回されます。聞けば「あんた、字ぃ、きれいやろ」ということなんですが、こういう時代の名残なんでしょう。もちろん、名刺や向う付けばかりで、帳場のアタシが御参列者のお名前を書いたという経験はありません。
来春、文都襲名を控えた八天師匠。「粗忽長屋」を聴くのは2回目だったと記憶していますが、所詮、アタシの記憶ですのであてにはなりません。この話は、単純に楽しいですな。落語の中には「う~~ん、なるほど!」と一瞬間をおいてサゲを納得するネタも少なくはありませんが、このネタのように子供でも理解できるサゲ、結末は聴いていてホッとする。安心と信頼のネタとでも言いましょうか。で、お願いだからサゲと同時に「サゲを御唱和」なさるのはおやめくださいね。たとえ小声で「こそっ」と言うたつもりでも、おばちゃんの声って「がさっ」と耳に入ってくるんです。頼みますわな、そういうのん。
米二師匠二席目は「上方落語の会」(NHK近畿ブロック)のナビでおなじみ、小佐田定雄せんせの作。ネタ名はよく目にはしてましたが、初めて聴きました。エエ感じの人情咄です。ただ、もう1回か2回聴いてみたいなあ。と言うのも、「なんかいきなりやなあ」みたいな場面も無きにし有らずで…。まあ、アタシがボーっとしてたんかもわからんのやが。
今回は文太、米二、八天とまさに「安心と信頼」のメンバーで、自分自身が久しぶりの田辺寄席ということもあってか、充実のひとときを送ることができました。田辺寄席は月に3公演。自転車で5分少々という近場なんやし、少なくともそのうち1回は行っておきたいなと、改めて思った次第でやんす。


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