【地歴部】住吉さん-住吉大社一八〇〇年の歴史と美術

大阪市立美術館で開催中の「特別展 住吉さん(すみよっさん)」を観覧してきました。

sumiyoshi

来年、神功皇后摂政11年に神功皇后が住吉の地に住吉大神を鎮斎されてより御鎮座1800年を迎える、摂津国一ノ神住吉大社の史料や御宝物の数々が展示されており、国文学、美術史、郷土史…どんな角度から見ても、大変興味深い内容となっている。
ま、そんな小難しい講釈は抜きにしても、大阪人とりわけ市内南部の人間にとっては、住吉大社は愛着を込めて「すみよっさん」と呼ぶほどに身近な大社。
それはもう「飴」を「飴ちゃん」、「粥」を「おかいさん」と呼ぶがごとく…。(ちゃうか)

ほんとうに、色んな御宝物や美術工芸品が展示されていて、解説などを読みながらじっくり観覧して回ると、4~5時間は余裕で要するでしょう。
小生はそんな忍耐力はまったく兼ね備えていないので、「図録本」を購入するわけですが、これが相当な内容にもかかわらず2200円とはお手頃。
その1800年と言う歴史からもわかるように、この図録本は住吉っさんの歴史を軸とした、日本の信仰、歴史、文学、美術を知る図鑑としても、今後、重宝するのは間違いありません。これから行く人、買ったほうがいいよ~~。

小生にとっての住吉っさんは、何と言っても「初詣」のお宮さんであります。
「天王寺駅前」駅から南海上町線(現阪堺電軌上町線)で鳥居前まで、ぎゅうぎゅう詰めのチンチン電車に揺られること30分弱。
鳥居前停留所の目の前には大鳥居。
そしてシンボルとも言うべき太鼓橋(反橋)を渡って、本殿へ。
この間、あまりの人の多さに、自分の足元=地面は一切見えないほど。
知らない間に流れで連れて行かれてるという感じ。子供だったからね…。

帰りは、南海本線で難波へ出て、出来立てホヤホヤの「虹のまち(現なんばウォーク)もしくは、またチンチン電車で天王寺へ戻って、阿倍野筋かアベチカなどでお食事…ってのが正月2日とか3日のパターンでした。
そんな家族が何万世帯もいるもんだから、冬休み明けに正月の絵なんかを描かせると、90%以上が、「太鼓橋」。
そりゃもう実に簡単。画用紙の真ん中に赤い半円を描いて、人がぶわーっといるように丸をいっぱい描いておけばいいんだから。
多少絵心のある子は、そこに鳥居とチンチン電車を描くわけですな。

で、これ実は「伝統的技法」なんですね!ちょっと驚き。
この反橋、すなわち太鼓橋ができたのが桃山時代のこと。
それまでの住吉大社は白砂青松に浜千鳥…という図柄で描かれていたが、反橋の出現により、大きく変わります。
鳥居、反橋を描く図柄「住吉形」が以降、主流というか一辺倒になります。
江戸時代の観光名所マンガとでも言うべき『滑稽浪花花名所』では、太鼓橋からすってんころりんと滑り落ちた男を周囲が笑い飛ばしているものがあり、印象的です。
恐らく、こういう滑稽画の庶民への流布により、一般にも「住吉形」が広まり、現代でも子供たちが初詣の絵を描くときの定型的な構図に影響を残しているのでしょう。

自分としては、国文学科で中古文学やってたから、歌関係や伊勢、源氏などにまつわる展示物もおもしろく、大学時代にかったるい講義だったおっさんが図録に解説文書いてたりして、「あ、こんなに偉い人だったのね」なんてのもあったりと。
ま、こんな感じで肩肘張らずに気楽に見に行ってもなんだかんだと発見があります。11月28日までやってるんで、行かれてみてはどうでしょうか。
観終わった後は、新世界で串カツでも食って、通天閣登って住吉さん上から眺めてみるとか、ね。

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COMMENT:
AUTHOR: ゆうぞう
DATE: 11/02/2010 02:12:43
超ご無沙汰をしていました。ちょうど一年前から、異動になって、ブログ更新拒否症になりましたわ。
香港離れたんですね。では、体調よければいつでも、オフ会できますね。連絡先、変わってません?
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 11/02/2010 13:50:16
To ゆうぞうさん
ほんと、超ご無沙汰ですね。
オフ会はいつでもOKですよ。
連絡先は変わりました。まずはここで告知ください!


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