<朝からとんでもない酷暑という日々が続いている「炎熱都市・大阪」。こんな日は、一日中涼める文楽劇場がおススメ!>
文楽の稿を上げるたびに「今年も早いもんで…」と書き出しているような気がする(笑)。で、実際に早いもんで「夏休み公演」である(笑)。
「体調不良者」が続出したことで、公演継続が困難となり、8月2日~5日までの休演が8月1日に発表されたことで、「再開できなければ今公演は諦めるしかないなぁ、あ~あ、入鹿の首が飛ぶとこ観られんか…」と、ちょいと諦めの境地だったが、無事に6日から再開となり、一安心。COVID-19の5類移行で、それまで「感染者、陽性者」として隔離対象となっていたものが「体調不良」で片づけられる。これもどうなんかなぁとは思うけど…。
さて、本公演の注目は、春の公演で前半部が大序からの通しで上演された『妹背山婦女庭訓』の後半部の上演である。なんと「入鹿誅伐」まで上演されるのだから、見逃せない。40年以上文楽に通ってるが、小生も初めてである。これは楽しみ!
その前にまず、第一部「親子劇場」でお子達の反応なんぞも観察しながら、気楽に過ごすといたしましょう!
人形浄瑠璃文楽
令和5年夏休み文楽特別公演 第1部「親子劇場」
「子供連れで来て、好き好んで床直下に座る親子なんぞおらんやろ」と思って、呑気にギリギリにチケット取ったら、これが意外にもよく埋まっていた。なんとかここを押さえることができたが、危ういところだった。「子供のうちから『浄瑠璃シャワー』を浴びせよう」ということではなく、単純に「とにかく前の方の席を!」ということなんだろうけどな(笑)。その割には、「満員」でもなかったが(笑)。
かみなり太鼓 作:小佐田定雄 作曲:鶴澤清介 演出:桐竹勘十郎 作調:望月太明蔵
すっかり「親子劇場」の「人気狂言」となった『かみなり太鼓』。落語作家の小佐田せんせの作だけあって、落語チックにまとめられていて、お子たちはもちろんのこと、文楽超初心者の大人も、マニアな大人も皆が楽しめる演目である。
希 靖 小住 碩
清馗 清丈 清允 清方
雷鳴が轟き、開演となる。しかし、この雷鳴の大音響、ここで必要なんだろうかと、ふと思う。まあ、雷の物語だから、お子たちにすれば不思議なことでもないんだろうけど、常に重箱の隅をつつきたがる小生のような者に構えた大人からすると、「おやおや?」というところ。困ったもんですな(笑)。
お母はんの靖太夫がよい。子供の頃、日曜お昼の楽しみだった『あっちこっち丁稚』での山田スミ子の面影を感じる(近畿限定ネタw)。番付の小佐田せんせの寄稿に、靖がこのお母はんは落語『船弁慶』の「雀のお松」でやればいいのか、と聞いてきたとあったが、靖は落語を聴くんやなと、親しみを感じた。お父はんの小住も良かったし、雷のトロ吉の希も情けな~くやっていてこれも良き。碩も寅ちゃんにうってつけ。人形陣ものびやかにそれぞれの登場人物&雷を遣っていた。
エンディングで三味線の音に合わせ、手拍子が起きたのには「おおおーー!」と思った。客席と舞台がうまくスイングしていた証拠だろう。久々に文楽を楽しく見物することができた。
✨舞台写真公開✨
『かみなり太鼓』より一場面📷
天神祭の日、太鼓屋さんの寅ちゃんのおうちに落ちてきたのは太鼓を叩くのが苦手な雷さま……⁉️
天に上がるには太鼓を上手に叩いて雲を呼ばないといけません☁️
かみなりトロ吉は、無事にお空に帰れるのでしょうか🌩
公演情報は▶️https://t.co/nxkr49wLoP pic.twitter.com/BwIZ9TKNEG— 国立文楽劇場(大阪・日本橋) (@nbt_osaka) July 30, 2023
《解説 文楽ってなあに?》
解説:勘次郎 (左:勘介 足:蓑悠)
今年から、お子たちに実際に人形を遣ってもらうコーナーが復活したのだが、先ごろの「体調不良者続出で公演休止」期間を経て、コーナーは無くなってしまった。賢明な対応ですな。その分、質疑応答の時間があって、客席のお子たちからの質問に勘次郎くん、丁寧に答えていた。挙手しているがほとんど女の子というのも、面白い現象やなあ。
西遊記 作:山田庄一 作曲:竹澤團七 作調:望月太明蔵
「閻魔王宮より釜煮(かまい)りの段」
三輪 津國 亘 聖 薫
團七 友之助 錦吾 燕二郎
そもそもが江戸時代の『五天竺』なので、詞章は義太夫節だから、お子たちには「何言うてはるん?」というところだ。そこを舞台さんの必死の頑張りで、ビジュアルに訴えるんだが、それはよいとして、肝心の展開が継接ぎなんで、大人も「はて?」ってところだ。
床は三輪さん、津國さん、團七師匠が芯になって若手を引っ張るという形で、結構なものではあったし、人形もよく動けていたけど、お子たちはそれを求めているわけではない。盛り上がりが最後の宙乗りだけだったというのが、その表れだろう。ならば、『西遊記』では「宙乗り専科」と言える簑二郎さんに、小道具も含めてあと二工夫くらいはほしかったところ。
『かみなり太鼓』でせっかくいい空気になっていたのに、お子たちは、さぞや肩透かし食らったのではないだろうか。
\地獄で唐で大暴れ❗️/
この夏の『西遊記』は、三蔵法師たちとの西方への旅の前日譚。
地獄に連れてこられた孫悟空は閻魔帳に書かれた寿命を書き換え、觔斗雲で唐の皇帝と現世に戻ります☁
そして、唐の長安では……🍑
悟空の活躍をお見逃しなく✨
公演情報は▶️https://t.co/nxkr49wLoP#文楽をみよう pic.twitter.com/AuBYaXj5Yv— 国立文楽劇場(大阪・日本橋) (@nbt_osaka) July 31, 2023
(令和5年8月8日 国立文楽劇場)
小中学年でもスイスイ読める内容なので、この日質問していたくらいのお子たちなら興味の持てる内容かなと。割と小生と視点が似ていて頼もしい(笑)。 |
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。