(星島日報)
香港特区政府は7月24日、次期区議会議員選挙を今年12月10日に実施すると発表した。地區委員會界別的選舉(地区委員会界別の選挙)と區議會地方選區的選舉(区議会地方選挙区の選挙)も同日実施される。選挙の立候補届け出は10月17日開始、10月30日が締め切り。5月2日に区議会選改正案「2023年區議會(修訂)條例」に基づいて実施される。
多くの政党が立候補を積極的に検討すると表明する一方で、直接選挙区の拡大により候補者数を減らすと表明する政党もある。次期区議会の直接選挙枠の議席数は452から88に削減され、全港44選挙区から「2議席単票制」で選出される。「何、それ?」って感じ。字面から察するに、「1票で2議席を選ぶ」ってことか? 「連勝複式」みたいなんか? ややこしい…。まあ、あの手この手で民主派を排除しようということだろうな。
候補者は俗称「三會」、すなわち「地區撲滅罪行委員會(地区撲滅罪行委員会)」、「地區防火委員會(地区防火委員会)」、「分區委員會(分区委員会)」3委員会それぞれ3人の委員と、当該選挙区の選挙人の少なくとも50人から推薦を受けなければならない。その「三會」も、政務長官が議長を務める「區議會資格審查委員會」が任命する。要は、推薦が集まっても「愛国愛港」かどうかは、この政府に選ばれたメンバーによる組織が判断するので、「おや?」と少しでも思われたらふるい落とされるということだろう。
新制度では行政長官が選ぶ委任枠179議席、上述の「三會」で互選される枠176議席が新設される。郷事委員会(香港全域で26ある新界原居民による政治組織)の27議席は残される。また、新体制では区議会議長は地方民政委員に置き換えられ、副議長は存在しない。
こんな感じで、民主派には相当ハードルが高い区議会選挙。もはや「建制派(親中派を含めた親政府派)が建制派を選ぶ」と言ってもいいだろう。直接枠が大幅に削減されたことで、投票率も大幅に下がってしまうだろう。
民主党主席の羅健熙は「長年地域社会に貢献してきた一部の党員が選挙に立候補することを検討しており、引き続き党内の手続きに従うと表明している」としているが、いくつも設けられた関門を突破するのは容易ではないだろう。5月2日に区議会選改正案が可決された際に同氏は、「特区政府のこうした措置に失望している」と述べている。「任命ルートを通じて当選した議員が政府に同意するだけで、事案の説明責任を果たすことができず、市民の声に耳を貸さないだろう」と懸念している。さらに「改正の核心は、民主的に選ばれた多くの議席を減らすことだ。政府が民主的に選ばれた議席が増えるのが良いとは考えていないことを認めたということだ」と述べた。
反建制派だが民主派でもない、香港唯一の「中道派」政党である「新思維」は、直接選挙での出馬を積極的に検討していると常に表明しているが、選挙区の拡大と限られた人材を考慮すると、出馬できるのは最大で3人までかもしれないと見込んでいる。
まあねえ、すべては2019年の暴力破壊行為が元凶ですよ。あの狂乱の日々がなければ、こういうことにはなってなかったのですよ。あのさ中ににも区議会選挙は行われた。「社会が混乱している中で建制派が大敗するのは間違いないので延期するのでは」との見方もあったけど、予定通りに実施された。結果、泛民主派、伝統民主派を含む「非建制派」が圧勝したわけだけど、すでにその時点で中央と特区政府は着々と「国安法」の準備を進めていたんだろうな…。ま、そこは知らんけど。
一方で、この選挙を機にして、区議会が本来の「民生第一」の場に戻ってくれたら、それは市民にとって好ましいことではある。「歩道修繕しました」とか「陸橋にエレベーター付けました」とか「街路樹増やしました」とか「児童公園にベンチ増やしました」とか…。そういうのをきちんとやってくれれば、別に建制派でも民主派でも誰でも構わないのだ、区議会議員というのは。ほんま、ちゃんとしましょ。
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在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。