<アイキャッチ:巨大な習近平国家主席の肖像が、パレードに登場。なにせ「核心」だからこれくらい目立たなければね(South Cina Morning Post)>
70年目の国慶節、天安門広場にみすぼらしいフロート
10月1日、中華人民共和国成立70周年の国慶節。北京の天安門広場では、例年に増して華やかな記念式典が行われた。かの国の国力、とりわけ軍事力を世界に知らしめるような軍事パレードが目を引く。香港からも、例年通りに相当ショボくてみすぼらしいフロートが参加し、パレードに花を添えた(笑)。
う~ん…。これは一体、何をどう伝えたいのだろうか? 何なの、これは? 小生の解釈では、「もう、香港には何もありません。暴徒がすべてを破壊してしまいました。催涙弾や2台新調した放水車に金を使って、フロートに予算回せませんでした…」とでも言いたいのかな…。などと思ってしまうのだが、それにしてもなぁ、小学生の夏休みの工作かよ! ってくらいの出来だ。いや、そんな言い方したら、小学生が怒って来よるな、ってレベルだ。
こちらの「香港基本法」「マカオ基本法」フロートの方が、まだ言いたいことがわかる。要は習近平も語ったように「一国両制の堅持」を象徴しているということだろう。
人民解放軍諸君も一糸乱れぬ行進が、カッコいいですな。小生、結構好きですよ、解放軍。でも、いつもこの行進を見たら「クローン人間の行進かえ?」と笑ってしまう。やってる方は真剣そのものなんだろうけど(笑)。
香港の国慶節は恒例の「棺桶」パフォーマンスで
香港でも国慶を祝して、朝7時から国旗掲揚、特区旗掲揚が行われた。
このお巡りさんたちは、この後は重装備に着替えて、催涙弾ぶっ放しに出かけるんだろうか? だとすれば、激務、ご苦労さんですってところだな。
で、式典会場の周囲では、激進民主派「社会民主連線」のメンバーが、これまた恒例にのっとり、棺桶パフォーマンスを繰り広げて、警官隊とひと悶着。天安門広場に登場したわけわからん珍妙なフロートより、よっぽどメッセージ性がある。ショボいという点では、こちらの方がお話にならんくらいショボいけどな(笑)。あ、ちなみにこれ、張りぼてですよ。中身からっぽ(笑)。以前、デモの時にのぞき見して、笑ってしまった。その横で担ぎ手の梁國雄(長毛)が、苦笑いしてたけどね(笑)。
もちろん、一般市民も「慶祝國慶」のイベントを開催。ネット民の呼びかけで、こんな大きな五星紅旗を持ち出して、建国70年を心から祝う。
皆さん、一様にうれしそうで何より。しかしまあ、こんなところにステッカー貼れるなんて、これは禿頭の特権ですな(笑)。こんなおちゃめなことができるなら、小生も早く禿げたいもんですな(笑)。
「違法デモ行進」と催涙弾の国慶節
さて、こういう形で建国70周年の国慶節を迎えた人たちも。
北京の天安門広場では、巨大な肖像がパレードに登場し、喝采を浴びたが、ここ香港島の灣仔(Wan Chai)では、香港市民にこんな仕打ちを受けていた。随分とお嫌いなようだが、意外と会って語り合えば、イイ人かもしれないよ…。ってそんなはずもないだろう。あちらさんだって「こんなに自由奔放、やりたい放題やらせてやってるのに、これ以上、どんな自由が欲しいんだ!」って思っているに違いない(笑)。それにしても、壁際には多数の卵の殻。食べ物を粗末にしちゃ、罰が当たりますよ!
さて、この日は民間人權陣線(民陣)が、デモ行進の申請をしていたが、警察からは「OK」が出ず、民陣の副召集人・陳晧桓ら4人の民主派人士が、午後から民陣が計画していたコースを引き継ぎ、銅
天安門広場では、ムッチムチな逞しい下半身が目を引くお姉さん兵士たちがビシッと行進していたが…。
こちら香港では、市民が勝手にフリーダムに「行進」する(笑)。
まあ、笑っているうちはよかった。が、そうはいかないのは、毎度のことで、デモ行進後の暴力行為は回を重ねる度にエスカレートしてゆく。
銅鑼灣の「違法デモ」に呼応して、香港各地で「違法デモ」が開催される。恐らく総計で数十万人が「違法デモ」に繰り出したんじゃなかろうか。まあ、こんな状況だが、小生の香港朋友の中には「せっかくの祭日に、デモに行くのはもったいない」と、郊外へBBQに出かけたという者もいたから、ちょっと安心した(笑)。
まずは、金鐘(Admiralty)で衝突発生。わさわさと湧き出た勇武派…。と、ずっと狼藉の限りをつくす連中を勇武派と表現してきたが、このところ現地メディアの中にもこの「勇武」という二文字に疑問を呈するところも出始めており、「暴力示威者」という表現を見かけるようになってきた。ってわけで拙ブログも今後は勇武派改め、「暴力示威集団」「暴力示威者」と記すことにするから、よろしく。勇武なんてとんでもない!
最新兵器「水炮車(Water Cannon)」が、青い水を放水。前線で狼藉を働く者は青く染まり、警察の逮捕行動がはかどるということらしいが、青い暴力示威者が逮捕されているのをまだ見たことがないから、その効果のほどはかなり疑わしい…。
「違法デモ」が全港同時多発的だから、衝突も同時多発と相成る。
こうした「同時多発警民衝突」が起きるのは、あらかじめ予測されていたことなので、MTRでは午前11時から銅鑼灣駅など8駅を閉鎖したが
衝突や放火、駅の破壊行為が深夜にまで及んだため、午後11時にはご覧の通りに。荃灣線、馬鞍山線は全面運休。ここには出ていないが、LRT線も多くの駅で破壊行為が行われた上、線路内での警民衝突も頻発したことから、恐らく全面運休となっていたはず。実に、MTR全駅の半数以上に上る47駅が閉鎖される事態となった。
暴力示威集団は、概ね衝突→放火→破壊という手順で香港を混乱に陥れているが、こうした行為が、日本では(おそらく他国でも)ほとんど取り上げられていないのが、腹立たしいし、何か意図的なものを感じる。この日は、高校生が警官に「塩ビパイプ」で攻撃を仕掛けたがために、銃で撃たれたことだけがやたらクローズアップされて「香港警察、けしからん!」という空気が、日本でさえ漂っていたが、そんなもん、塩ビパイプだろうが竹串だろうが、武器を持って警官と向き合うということは、こういう結果につながることもあり得るわけで、そんな一大事でもないと、小生は思うのだが…。
思うに、恐らくこの子自身は本来は暴力示威集団ではなかったのだろう。集団に憧れたのか、あるいは思い立ったのか、暴力示威集団の後をついて回って警官に立ち向かったり、駅や銀行を破壊したりする自分に酔っていたんじゃなかろうか。このところ、年少者の逮捕件数が増えているが、そんな子たちが捕まっているのかもしれない。
ここまで来ると、香港映画の一シーンのようだ。少人数で行動する警官に、暴力示威集団は一気に襲い掛かり、たちまちボコボコにしてしまう。だから警察は自己防衛のために銃を抜き、構える。そこをメディは逃さず「見てください!警察がデモ隊に銃を向けましたよ!」と発信する。今や、黄色いベストを着た記者集団は、「第2デモ隊」だ。なんとかして、警察を悪者にしようと躍起だ。
こちらのお巡りさんは、腐食性の液体を浴びせられた。制服はズタズタに破れ、胸元が火傷のようになっているのが痛々しい。
放火と破壊の国慶節
この日の破壊行為は非道の限りだった。
破壊活動の中で、最も被害が大きいのがMTRの駅施設と、中国銀行の各支店やATMだ。さらには系列の銀行も破壊の標的になっている。放火や破壊、あるいは放水でいずれも正常な営業までには、相当な時間を要するだろう。ちなみに小生は、現地に唯一残している銀行口座が、中国銀行。まあ、放火されたからと言って、小生の口座がどうこうということにはならないが、見ていて気分のよいもんではない。
こちら中国旅行社も破壊のターゲット。この旅行会社もまた小生には懐かしいものがあって、北京五輪の馬術競技が香港で開催されたとき、観戦チケットを一社独占販売していたのが、この中国旅行社。職員のなんとなく偉そうな振る舞いに、イラっと来ながらも、チケットをゲットしたのを思い出す。
この優品360°は、ローカルのスナック菓子などを売る店。大陸人客も多いが、お土産を買うにはちょうどいい店なので、小生も重宝している。経営陣に福建系の黒社会集団「福建幇」の人物がいるとかいないとかで、破壊の標的にされている。「破壊はしても略奪はするな!」と声を掛け合って破壊しているから、大目に見てやろうという声が、香港社会では多いが、「はぁ?」ってところだ。もっとも、連中が略奪しなくても、近所のおばちゃんたちが、散乱した商品を持って帰っているようだが(笑)。
経営陣に親中派人士がいるということで、大手外食グループの「美心集團(Maxim’s)」傘下の飲食店もターゲットに。その中には「スターバックス」や日本からフランチャイズ進出の「元気寿司」「一風堂」「アローム」なども含まれており、ご覧のように木っ端みじんにされてしまう…。まあよくち密に計画された破壊行為ではあるな。事前調査が行き届いているとでも言うか。MTRだって、各大学の最寄り駅だけは、破壊行為が及んでいないし。勝手なもんだ、まったく。
デモで叫ばれている「五大訴求」では、
■撤回612「暴動」定性(6月21日の衝突を暴動と定義したことの撤回)
■承諾必不追究反送中抗爭者(デモに参加による逮捕者の釈放や不起訴)
を要求しているが、この一連の破壊行為を暴動と呼ばず、逮捕者を不起訴とせよ、ってのはどういう了見だと。もし、そうであるなら、小生が過去に見た釜ヶ崎での暴動、いわゆる「西成暴動」なんて、単なるじゃれ合いみたいなことになってしまう。今回の「暴動」は釜ヶ崎とは規模もタチの悪さも全く次元が違うのだから。
この日は、例年なら国慶節記念の花火大会がビクトリアハーバーで盛大に行われるのだが、もちろん中止が早々と決定していた。だからというわけでもないだろうが、深水埗(Sham Shui Po)では警察署に向けて、市民が花火を打ち上げた。香港では、花火、爆竹は禁止されているが、旧正月には新界や小生が住んでいた香港仔(Aberdeen)の漁船では爆竹が派手に鳴り響いていたもんだ。しかし、花火は簡単には入手できないと思うんだが…。
建国70年の国慶節は、やはり予想通りの展開となった。ま、中央にしたら「これぞ、一国両制!香港市民は自由を謳歌してます!」ってところか…。確かに、やりたい放題ではあるな…。
それにしても、あまりにも凄まじい、特別な国慶節だった…。
そして新たな火種「禁止蒙面規例」
さて、そんなやりたい放題の連中の動きを少しでもけん制しようと、10月4日、「禁止蒙面規例=マスク、覆面禁止条例」が、52年ぶりに発動された「緊急状況規則条例」に基づき、議会の承認なく発令された。当然、大反発を招き、施行決定の一報直後から、抗議のデモ行進が始まり、夜には全港で警民衝突、催涙弾がこれでもかとぶっ放され、MTRは破壊行為のエスカレートでついに全面運休に。「私了=私的制裁、私的報復」も横行し、「だれが、いつ、どんな難癖をつけられて」ボコられるかわからない状況になっている。
一般市民もマスクをして抗議の意思表示をしているが、SARSの時でも、あれほど全員がマスクをしていたわけじゃないから、これは当面、マスク業界は景気がよくなるだろう(笑)。この荒れ果てた社会に向けて、さて、この次はどんな手を打ってくるんだろう、香港特区政府は…。
当時の『蘋果日報』に載った写真。あの時は思い思いにマスクでおしゃれする余裕もあったが、今はねぇ…。薬局へ市民が押し寄せて「マスクよこせ一揆」状態になるほどマスクが不足したが、さて今回は…。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。