【反送中】香港が崩壊してゆく…。暗黒の3日間 三日目を語る前に空港のことを

「暗黒の3日間」、その三日目の話題に入る前に。

香港国際空港をデモ隊が埋め尽くし、運航業務が完全にマヒしてしまい、飛行機の離発着ができなくなったという異常事態は、日本でも大きなニュースになっているが、そんなもん、夏休みの旅行シーズンだからのことで、きっと通常時なら「だそうですよ~」と軽く受け流されるのだろう(笑)。

で、この状況をいつものように、香港メディア各社による現場からのLIVEで眺めていたのだが、騒ぎが拡大して2日目となった8月13日は、なんかもう、すごく不愉快なシーンを見せられてしまった。

「お願いだからそこを通して!」。出境ゲートへ急ぐ搭乗客をカートでバリケードを作り通せんぼするデモ隊。もはや「みっともないねぇ」としか言いようがない…

あれでは、「平和的なデモ」とはとても言えない。出境手続きへの通路を遮断し、手続きへ進もうとする旅客を「通せんぼ」したり、大陸男子2人を拘束し、結束バンドで手足を縛り、「晒し者」にして嬲り倒す。

「中国公安」の人間と疑いをかけられた男性は、ついに気絶してしまい、救急隊が病院搬送のために駆けつけたが、デモ隊は搬送を阻止。LIVEを見ていて「あれ?もしかして、この人、死んじゃった?」ってくらい、公安疑惑の男性は顔色を失い、ぐったりしていた。横たわる彼に、「私はデモ隊に扮して紛れ込んでいた中国公安です」と書かれた紙をかざし、「こいつの顔をSNSで世界に広めてやろうぜ」などと言って写真を撮る若者たち…。この光景を見て、文革時の「紅衛兵」による「つるし上げ」を思い出さずにはおれなかった。まったく同じことやってるではないか。「そこに気づいているか、お前ら?」と、聞きたくてたまらない。

結束バンドで手首を縛りあげられた「公安疑惑」の大陸人男性。この後、昏倒し救急隊到着。搬出にあたり、外国人記者が人命救助を叫ぶも、デモ隊は「道を譲るな」と…。これまた前回記した恐るべき「空気」ということだ
こういうのは、まさに文革時代の紅衛兵の手法。「中国人ではない、香港人だ!」と言うが、やってることは50年前の中国人と同じ by “中大學生報”

警察が護衛のため到着すると、一気に険悪なムードとなり騒然とする空港。なんとか「公安疑惑」の男性の搬出ができたが、今度は救急車や警察車輛の発車を阻止するなど、次第に行動が過激化してゆき、小規模ながらついに空港でも警民衝突が発生してしまった。

哀れ、捕らわれの身となった『環球時報』の記者。彼はこうなっても「あなたたちにどんなことをされようと、私は香港警察を支持している」と言ったとか言わなかったとか

この騒ぎの直後、LIVEはまたもや「大陸人」らしき男性を、寄ってたかって嬲り者にするデモ隊に切り替わる。実は彼は、撮影をしていた共産党系の大陸紙『環球時報』の記者。偽記者と疑われ、手足を結束バンドで縛られて、ズボンまで脱がされようとした。バッグの中から記者証と、香港警察を支持する市民団体のTシャツが見つかったことから、拘束継続派、救護を呼ぶ派で、デモ隊同士で意見が衝突。民主派議員2人が説得にあたり、約30分後に警官隊に救出されて、病院に運ばれた。

この日、空港で繰り広げられたいくつかの出来事は、非常に不愉快なものばかりで(たまたま、そういう場面しか見ていないからかもしれないが…)、これではまったくデモ隊を支持できないなと思った。ま、最初から支持してはいないけど。

空港デモ自体は最初は、市街地のデモ行進に参加したくても、雲上を飛んでいたり、空港を離れられない職務に就いていたりする航空関係者が、空港内の決められた場所で静かに行ったものだった。それがいつの間にか、規模が拡大し、8月9日~11日の3日間ということで、一般市民も参加して行われるようになった。その間にも、市街地では警民衝突が発生し、不法デモや道路不法占拠の者、主に小生が勝手に名付けた「先鋭化部隊」に対し、取り締まりのための催涙弾やゴム弾、布袋弾(ビーンバック弾)などが放たれ、重大な負傷を負ったデモ隊もいる。さらには、手荒い逮捕行動も行われ、警察への怒りは一層増幅した。そんな背景もあっての空港デモの長期化と拡大なのだが、結局、一般市民は1日目で去り、「先鋭化部隊」を中心とした若者が主体の「反警察デモ」と化した。

「取消」がずらりと並ぶ…。猛烈な台風襲撃のようだ

まあいい。もう徹底的にやればいいよ、デモ隊も警察も。どの道、もう香港は昔のようには戻れない。そこに導いてしまった林鄭行政長官の罪は余りにも大きいが、暴徒と言われても仕方ない行動を繰り返す「先鋭化部隊」など、若者を中心とした香港独立志向者(港獨派)や香港至上主義者(本土派)の行動も、もっと批判されるべきだと思う。

とりあえずは、空港から去れ!

アイキャッチ写真:「No Way Home!」の叫びが聞こえそうな光景。彼女の道を遮ることで、何か進展があるのか?(South China Morning Post)>



 


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