【睇戲】『王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン』(中題=狄仁杰之四大天王)

『王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン』
中題=狄仁杰之四大天王

徐克(ツイ・ハーク)の映画を観るなんて、何年ぶりかな?

なんて、考え込んでしまうほど、実に久しぶりだ。いやー、昔は好きだったんだけどなぁ…。そう言えば、もう10年以上前になるかな。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の福臨門でカンパニー・ディナーやった時、トイレに行くコース上のテーブルに、徐克がいたのよね。小生、目ざとく発見し、トイレから戻って「徐克がおったで!」と話すと、案の定、日本人スタッフは「それ誰?」って反応。一方、香港人スタッフは「おおおーーーー!」って感じで、一斉にトイレへ向かうという(笑)。そんなことを思い出す、徐克である。

さて、2019中華最強映画まつりと称して、シネマート心斎橋では、華語片3作品がこの農暦新年時期に上映される。全部観たらプレゼントもあるらしいけど、さあ、全部観るかな? 多分、観ると思う(笑)。

で、一発目、すなわち今年最初の睇戲は、徐克作品で。あまり好きなテーストではないけど、しばらく映画も観てないし、肩ならしみたいなところかな、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)も出ていることだし…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

中題 『狄仁杰之四大天王』
英題 『Detective Dee: The Four Heavenly Kings』
邦題 『王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン』
製作年 2018年
製作地 中・港合作
言語 標準中国語

評価 ★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):徐克(ツイ・ハーク)
:赤塚佳仁
音楽:川井憲次

領銜主演(主演):趙又廷(マーク・チャオ)、馮紹峰(ウィリアム・フォン)、林更新(ケニー・リン)、阮經天(イーサン・ルアン)、馬思純(マー・スーチュン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)

*以下に少しネタバレあり。これから観る人はスルーしてね*

劉嘉玲は当然として、主役陣はどの顔も見覚えがある。狄仁傑を演じた趙又廷(マーク・チャオ)と医者の沙陀忠を演じた林更新(ケニー・リン)は、随分前に観た台湾映画『ハーバー・クライシス 都市滅亡』でもコンビを組んでいたのだった。また「えらい美坊主やな」と思った阮經天(イーサン・ルアン)は『モンガに散る』に出ていたのだった。馮紹峰(ウィリアム・フォン)も最近では『おじいちゃんはデブゴン』に出ている…。と、まあそんな塩梅だ。

チラシには「実在した“中国版シャーロック・ホームズ”が挑む」と書いてあるが、これは言うまでもなく狄仁傑のこと。ロバート・ファン・ヒューリックの『ディー判事シリーズ』を受けてのコピーだろう。狄仁傑は唐代の政治家で、本作では劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が演じた武則天にも仕え、重用された人物。本作ではその関係は、なかなか微妙なものがあったが、実際はそうではなかったようだ。

狄仁傑が詰めていた「大理寺」だが、「雲南省の大理から毎日のように武則天が住まう長安へ通っていたのか?」と、一瞬思ったが、まさかね(笑)。大理寺は、現在日本で例えるなら、最高裁判所的な役所で、刑部(法務省のようなもの)、御史台(検察庁のようなもの)とともに「三司」と称されていた。まあ、こんな背景もあっての『ディー判事シリーズ』だったのかもしれない。読んだことないから、何んとも言えんけど。

【甘口評】
シリーズ三作目だが、前二作を観ていなくても楽しめる展開になっているので、「一見さん」も大歓迎。最初から終わりまで退屈する場面もなく、徐克(ツイ・ハーク)のサービス精神を感じる。

さらには、なじみの俳優陣が安定の演技で見せるので、何か安心感があった。狄仁傑役の趙又廷(マーク・チャオ)の落ち着きぶりも、そう見えさせた一因かもしれない。「中国三大悪女」の一人、武則天を劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が好演。こういうカリーナは大好きだ。美坊主の圓則を演じた阮經天(イーサン・ルアン)は、この役のために剃髪したほどの気合の入れよう。そう言えば『モンガに散る』でも彼は坊主だったっけ?

上述の史実をうまいこと反映させながら、独自の世界を創出するのは、さすが世界のツイ・ハークである。健在ぶりをいかんなく見せつけた。

【辛口評】
時代の流れ。香港の監督が、中国市場を向いて、両岸三地(大陸、香港、台湾)の俳優を使い、標準中国語で、多くの日本人スタッフも参画して「古裝懸疑動作片(時代物ミステリーアクション映画?)」を撮る。香港映画マニアとしては、相当寂しい現実。徐克お得意のワイヤー・ワークもあることはあったが、替わりにCGなど最新の映像技術がふんだんに駆使された画面は、一見、見ごたえ十分だが、132分はしんどいものがあった。せめて100分だな、辛抱できるのは…。それくらいにトイレに走ったし(笑)。

「実在した“中国版シャーロック・ホームズ”が挑む」と謳う割には、主役と一緒になって謎解きをするような楽しみには至らず、羊頭狗肉のようになっていたのは残念。

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んな感じで、おもろかったのか、おもろなかったのか、今一つ判断に苦しむ作品だった。まあ、徐克は楽しんでいたんだろうなとは思う。それで良しとしておこうか。ね。今年最初の睇戲。甘目の評価も利是(お年玉)代わりと思ってもらえれば(笑) 。

そう言えば、客入りは比較的良かったかな。良かったと言っても、30人くらいだがw。それでも、普段、小生がここで華語片を観るときに比べると、格段の入りだった。みんな、何を期待し或いは求めて観ていたんっだろうか? 満足しただろうか? ちなみに小生は、カリーナさえ観ることができれば、もうそれで大満足ではある。

《狄仁傑之四大天王》前導預告

<第55回金馬奬「最優秀映像効果賞」ノミネート作>

(平成31年節分 シネマート心斎橋)



 


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