【睇戲】『百日告別』(台題=百日告別)

『百日告別』
(台題=百日告別)

前稿で台湾映画の良作に、日本の配給会社は総じて冷たいってな感じでボヤいたわけだが、「台湾初のヒーリング・シネマ」との呼び声高いこの作品は、きちんと買い付けて、公開してくれたので嬉しい。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること


1444883927-990515335_n台題 『百日告別』
英題 『Zinnia Flower』

邦題 『百日告別』
現地公開年 2015年
製作地 台湾
言語 標準中国語

評価 ★★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):林書宇(トム・リン)

領銜主演(主演):林嘉欣(カリーナ・ラム)、石錦航(石頭/Stone)、張書豪(チャン・シュー・ハオ)、李千娜(ナナ・リー)、蔡亘晏(サイ・ハナ)
特別演出(特別出演):柯佳嬿(アリス・コー)、馬志翔(マー・ジーシアン)

複数台の車が関与した大事故から救出された心敏(演:林嘉欣)は、結婚間近の婚約者を、育偉(石頭)は妊娠中の妻、それぞれが最愛の人を失う。心敏は結婚間近の婚約者を、育偉は。あまりにも深い悲しみの前になすすべのない2人を置き去りに、周囲の時間は進んでゆく…。最愛の人との忘れられない愛の記憶を抱えた男女が辿る心の再生の旅を描く。台湾のトップ女優、林嘉欣(カリーナ・ラム)と、今年2月に武道館2日連続公演を成功させたばかりの人気ロックバンド、五月天(Mayday)のギタリスト・石頭の共演も話題を呼んだ。
林嘉欣(カリーナ・ラム)が第52回 金馬奬「主演女優賞」を受賞。

【甘口評】
2008年の『九降風(邦題=九月に降る風)』で長編デビューした林書宇(トム・リン)監督、12年のヒット作『星空』から3年、満を持しての最新作にして渾身の作品。監督の実体験をベースに制作されたとあって、画面の隅々まで主役二人の繊細な息づかいが伝わってくる。

葬儀から、初七日、三十五日、四十九日、百か日と法要が進んでいく筋書は、同じ風習を持つ日本人にはわかりやすい展開だった。林嘉欣(カリーナ・ラム)と石頭が、時に感情を昂ぶらせながらも、深い悲しみを抱えた心の断片を丁寧に演じて紡いでいたのが、何よりも印象深く、観る者の心をその悲しみに誘い込んでくれる。

傷心の心敏(演:林嘉欣)が一人旅に出かけた沖縄の冬の灰色の海が、心象風景のように映り、効果的だった。育偉(石頭)の心象風景も、ショパンの「エチュード」が効果抜群だった。チラチラと出演場面がある馬志翔(マー・ジーシアン)は、台湾映画ファンには結構なご馳走(笑)。終わり方にも無理が無く、昨今の台湾映画の底力を感じさせるに十分な作品だった。

【辛口評】
なんかあら探ししてやろうと、意地悪な目でも観たつもりだが、これと言ってなかった…。

この作品が、日本の配給会社の目に留まったのは、恐らくは五月天の石頭の観客動員力を見込んでのこと、ロケ地の沖縄県などが制作をバックアップしていることなどが、理由だと思うが、それによって、台湾映画界がこういう作品を作る力量を持っているということが、一人でも多くの日本人が知るきっかけとなれば、それはそれでいいことだとは思う。

【百日告別】Zinnia Flower 正式預告

(平成29年4月25日 シネ・ヌーヴォX)



 


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