第15回大阪アジアン映画祭
やるのかな…?やっぱり中止やよな…?と、あれこれ思っていたら、とうとうオープニングの日となった。
結局、「上映は行われる」。ただし、舞台挨拶やサイン会は中止。関連イベントも中止や大幅な規模縮小となった。致し方なし。この状況下にあっては、「感染しない、感染を広げない」ことが最大の社会貢献。この日々を粛々と過ごしてゆくしかない。
そこはもう、映画を観られるだけでも儲けもんというもんだ。まあね、15回もやれば、いろんなことがあるわな。まずは、来場者で感染者が出ないことを祈るしかない。実際のところ、落ち着いて映画に集中できるかな?ただでさえ集中力の欠如している小生、う~ん、自信ないなぁ(笑)。
今年のオープニングセレモニーおよびオープニング上映は、梅田ブルク7での『夕霧花園』。マレーシア作品である。主演俳優の一人が阿部寛。なんと言っても小生の大好きな張艾嘉(シルヴィア・チャン)も特別出演。張艾嘉と聞けば、飛んで行くしかないだろう。「余人に代えがたい特殊な技能を要する委託業務」が、先週から「時差出勤」となり原則<11:00~19:30>の拘束時間となってしまった。「ヤバい!夜の上映分はパーとなるのか?」と思ったが、本来の時間<9:15~17:45>にしたい日があれば、事前に相談してくれればええよ、ってことで、一安心。なもんで、17時45分に「ほな、どなたさんも、お先ぃ失礼しまっさ」と、委託業務が大佳境に入っているにもかかわらず、ホイホイとブルクへ向かう。
今回は「もしや、シルヴィアと13年ぶりに再会か!」と楽しみにしていたのだが(来ると誰も言ってないのにww)、上述のような次第だ。シルヴィアには13年前に仕事上で無理を聞いてもらい、2時間ほどじっくり話を聞かせてもらったことがある。大女優にして大監督。これは小生の香港生活の中でも、非常に意義のある2時間だった。
オープニングでは、大阪映像文化振興事業実行委員会の上倉庸敬委員長が、舞台ではなく平場から挨拶した。ただでさえトーンの低い人なのに、この日はひときわ低いトーンで、計画していたことがほとんどできなくなったことを、しきりに詫びてはったけど、この人がお詫びする必要はまったくないだろう。この時世に、上映だけでも開催してくれたことに、映画ファンは感謝しているんだから。
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
第15回アジアン映画祭オープニング
夕霧花園 馬題=夕霧花園 <日本プレミア上映>
馬題『夕霧花園』
英題『The Garden of Evening Mists』
邦題『夕霧花園』 公開年:2019年
製作地:マレーシア
言語:マレー語、広東語、日本語、英語
評価:★
原作:陳團英(タン・トゥアンエン)
『The Garden of Evening Mists』
監督:林書宇(トム・リン)
出演:李心潔(リー・シンジエ)、阿部寛、張艾嘉(シルヴィア・チャン)、デヴィッド・オークス、ジュリアン・サンズ、ジョン・ハナー、林宣妤(セレナ・リム)
これは…。はっきり言って、小生の苦手とするジャンル。もっと言うなら「わからん」のである(笑)。というわけで、堂々の「星ひとつ」でありまする(笑)。
上映前に、多分、コロナ騒ぎがなけりゃ来阪していたであろう、林書宇(トム・リン)監督からのビデオメッセージが流れ、「行けなくて残念」「感想をお聞かせいただきたい」とか言ってたけど、気の毒なんで、直接言わないでおく。ま、直接言う術はないねんけどな(笑)。
【あらすじ】
第二次世界大戦後、再びイギリスの植民地となったマラヤ(現マレーシア)では、独立をめぐり不穏な情勢が続いていた。ユンリン(演:李心潔)は、今は亡き妹の夢である日本庭園を造るため、有名な日本人庭師の中村有朋(演:阿部寛)を訪れる。有朋は依頼を断るが、現在造っている庭園“夕霧花園”で自分の見習いをしながら庭造りを学ぶことを提案する。仕方なく見習いを始めたユンリンだったが、深い信念を持って庭造りに打ち込む、どこかミステリアスで孤独な有朋に惹かれていき…。<引用:第15回大阪アジアン映画祭「夕霧花園」作品解説>
日本軍占領時代から現代に至る物語で、なかなか退屈な時が流れる。日本軍による残虐シーンも英領復帰後の共産ゲリラの非道も、まあ、これが戦争というもので、どっちがどうというものでもない。一方で、いまだにこういう描き方をするのねと、ちょいとうんざり。
「借景」がどうだのと、阿部ちゃん演じる庭師の中村有朋が説明するシーンも、「あ、きっと欧米人や日本が好きな東南アジアの人は、こういうのをありがたがるんだろうな」というところで、小生には何も響かなかった。「弟子入り」したユンリンの背中に入れ墨を彫る有朋というのも、非常に奇妙な展開で、「うわ、その日に風呂入ってるし!」と、そんなことに驚いてしまったり(笑)。それと「山下財宝」の在りかを共産ゲリラが必死のパッチで探していたのだが、山下財宝って埋められたの、フィリピンでなかったっけ?
そのユンリンを演じた李心潔(リー・シンジエ)は、いい女優。そういえば、張艾嘉(シルヴィア・チャン)が監督、主演した香港映画『20 30 40』に出演していた。今回は、若き日のユンリンを李心潔が演じ、現在のユンリンを張艾嘉が演じている。このキャスティングはよかった。シルヴィアの若き日を演じるに、ぴったりの女優と感じた。
で、シルヴィアさまだが、寄る年波には勝てないか…。手のアップを観て「ああああ…」と唸ってしまいそうになった。彼女からも「老い」を感じるようになってきたんだなと…。
ユンリンの妹役の林宣妤(セレナ・リム)は、第13回アジアン映画祭で観た、やはりマレーシア映画の『大大ダイエット(簡体=大大哒)』で、肥満女性がダイエットの末、50キロまで体重を落とした時の役で出演していた。今回がそれに続く映画第2作目。
緑豊かなマレーシアの熱帯ジャングルの空撮が、印象深い。キャメロンハイランドとのことだが、ここは一度行ってみたいな。以前、台湾映画で観た『天空からの招待状(台題=看見台灣)』のようなドキュメントを観てみたいと思った。
『百日告別』がすごくよかったんで、林書宇(トム・リン)監督には期待していたんだが、かなり期待外れだった…。これはまあ、原作の問題でもあるんやけどね…。
ところが、小生の観る目がないのか、昨年の金馬獎がすごいことになっていて…。
■第56屆金馬獎
「最優秀メークアップ、衣装デザイン賞」受賞
最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞など9部門ノミネート
なんですって!こうなると、小生の映画鑑賞力、一体、なんなのかって話になってくる(笑)。
【夕霧花園】正式預告
(令和2年3月6日 梅田ブルク7)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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