【睇戲】『七月と安生』(港題=七月與安生) <日本プレミア上映>

第12回大阪アジアン映画祭
コンペティション部門|Special Focus on Hong Kong 2017

『七月と安生』(港題=七月與安生)

postericom大阪アジアン映画祭も大詰め。小生的には、この作品を含めてあと2本で予定終了となる。この前の上映回で観た『姉妹関係』がダブルヒロインで、今作もまた同様。ここまで観た香港作品、『一念無明』以外は全部女性が主人公。偶然そうなったのか、はたまた、実行委員会があえてそうしたのか…。天邪鬼だから、こうなると「おい!警察もの見せろよ!」とか「おい!功夫片とか武侠片見せろよ!」とか言いたくなる。素直に提供された作品を楽しめばいいのにね(笑)。

第12回大阪アジアン映画祭「ABC賞」受賞。ABC(朝日放送)での放映の権利獲得。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

SoulMate+2016-1-b港題 『七月與安生
英題
 『SOUL MATE』

邦題 『七月と安生』
公開年 中・米・加:2016年9月、香港:2016年10月、星:2016年11月
製作地 中国
言語 標準中国語
評価 ★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):曾國祥(デレク・ツァン)
監制(プロデューサー):陳可辛(ピーター・チャン)、許月珍(ジョジョ・ホイ)
配音(音楽):金培達(ピーター・カム)、波多野裕介
主題歌:竇靖童(リア・ドゥ)『(It‘s not a crime) It’s just what we do』

領銜主演主演):周冬雨(チョウ・ドンユィ)、馬思純(マー・スーチュン)、李程彬(トビー・リー)

まあ、香港映画というよりも、完全に大陸映画だな。で、なんでこの映画が香港映画にカテゴライズされているのか、いまひとつピンとこない。監督(曾國祥)とプロデューサー(陳可辛)が香港人だからか? よくわからんねえ。

観ていて「しまった!」と思ったのは、最初に記したように、15分ほど前に見終えた『姉妹関係』がダブルヒロインだったこと。もちろんこの作品もそうで、見ているうちに段々と話が頭の中でごちゃまぜになってしまったのが悔やまれる。別の日に観ていいたら、もっと評価は高かったかもしれないが、結局、この作品も、女性のお客さんは心打たれたようだが、男性客、少なくとも小生の心にはそれほど響くものではなかった。

中国の人気作家、安妮寶貝(アニー・ベイビー)の同名のネット小説をプロデューサーの陳可辛が脚色した作品。

映画の始まりも、安生に映画会社から「ネット小説『七月と安生』を映画化したい。ついては作者の七月を紹介してほしい」との連絡が届くところから。安生は「ネット小説なんて読んだこともないわ」と答えたものの、家に帰るとさっそくパソコンを開いて、その小説を読み始める。

13歳。七月と安生の出会い。お互いの性格に惹かれあいながら成長してゆく二人。この友情が永遠に続くかといえば、そうなっては映画は面白くなく、二人の関係を揺さぶる人物、すなわち「男」が出現する…。

最初は安生という女の子が「なんかイヤな子やな~」って感じで観ていたが、次第に七月の方がもっとイヤな子に思えてしまい、逆に「安生、ちょっとかいわいそうやん、それでは…」なんて思ってしまう。二人の間で揺れ動く男朋友の蘇家明クン(李程彬)の心持で映画を観ているような感じ。このあたりは、男観客の共感を得たんじゃないだろうか?

構成が巧みすぎたのか、はたまた、観る側の小生に整理能力が欠如しているのか、最後の最後まで「え~と、え~と、それで…、え~と」って言ってるうちに、「ひょ~、こんな風に終わるわけなん?」って終わり方で、なんともすっきりしないものがあった。席を立つとき、女性客はあちこちで「号泣ものやね~」とか「やられたわ~、泣くしかないやん」などとおしゃべりされていたのが印象的。そうなのか!?

映画そのものよりも、ここでまた波多野裕介が音楽を担当していることに注目。彼は香港映画界で地位を確立したなと感心。2年前の大阪アジアン映画祭、『全力スマッシュ』の監督、出演者の舞台あいさつに彼も出てきて、その日、同作品出演の邵音音の愛娘と挙式を終えたとの報告があったのを思い出す。彼は今年の香港電影金像奨で、『七月と安生』、『一念無明』で「最佳原創電影音樂=Best Original Film Music」、『幸運是我』で「最佳原創電影歌曲=Best Original Film Music(作詞、作曲、歌唱)」にそれぞれノミネートされている。

もうひとつ音楽で語れば、『七月と安生』の主題歌『(It‘s not a crime) It’s just what we do』を歌う竇靖童(リア・ドゥ)は、王菲(フェイ・ウォン)と竇唯(ドウ・ウェイ=99年離婚)の娘である。どことなく、藤圭子と宇多田ヒカルの関係を思い出してしまう。小生的には、「あのときに生まれた女の子がこんなに成長して、日本でもメジャーデビューを果たしていた(ユニバーサルミュージック・ジャパン)のか!」という驚きがある。そりゃもう、王菲が結婚して子供が生まれた!なんて、どんだけ連日新聞紙面をにぎわせていたか…。


おっかさんにそっくりじゃないか~~~!!

映画そのものの話よりも、枝葉の部分が記憶に残ってしまったのが残念だけど、ABCで放映されるから、もう一度じっくり観てみようと思う。放映日は未定。

ちなみに、主演の周冬雨(チョウ・ドンユィ)、馬思純(マー・スーチュン)は先ごろ、台湾の金馬奨で主演女優賞をダブルで受賞している。またこの作品は、来る第53回香港電影金像奨では、なんと12部門でノミネートという快挙で、結果を待つ。なんでここまで評価が高いのか、理由を知りたい!俺にはわからん!

七月與安生 

(平成29年3月11日 ABCホール)



  


7件のコメント

  1. ピンバック: 【睇戲】『恋するシェフの最強レシピ』(中題=喜欢·你) | どがちゃがHONG KONG、OSAKA
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