【香港!HONG KONG!2017 ホ】食べることについて<2>   

滞在中の晩御飯を一挙ご紹介。

「打包」の習慣

基本、シナ料理の類はまっとうなものから、日本の「中華料理」のような「ナンチャッテ」に至るまで、テーブルに「これでもか!」と料理を並べて、大人数で食すことが多い。これについて、在住中に非常に親しくさせていただき、実際に食事にも何度も招待してもらった香港地場企業の社長さんは、「面子というものだ」と解説宣う。しかし、一方で人間の胃袋にはリミットがあって、豪華に料理がずらっと並んでも、すべて平らげることはなかなか至難の業である。実際、一口だけいただいて残りは下げてもらうしかないという、まことにもったいない場面にも、しょっちゅう遭遇してきた。その状況でさえ、「それくらい裕福だということを周りのテーブルに見せつける」ためなんだそうである。いやはやまったく。とは言え、まあそこはよくしたもんで、「打包(だーばお)」と申して、余った料理を持ち帰るという習慣もある。主婦なんぞは喜んで「打包」してもらっており、翌日の弁当のおかずにしたりしている。

潮州打冷

さて、2月11日の夕食は九龍半島側は最大の商業集積地にて、一説ではアジアで、いや世界で最も人口密度が高いとされる旺角(Mong Kok)で、「潮州料理」を食す。日本人二人での食事だから、テーブルに隙間ないほど大量にオーダーすることもなく、ビールのあて程度にという感じなので、質素である。

img_4439namae-001
2月11日、旺角の潮州打冷(店名忘れたw)(iPhone 6S Plusで。画像補正あり)

五月雨式に出てくるもんだから、どれも食べかけになってしまい、写真としては汚い限りで申し訳ない。この中でちゃんと名前が言えるのは、右下の「蝦仁炒蛋」(小エビの煎り玉子)くらいで、あとはメニュー見て「ああ、これエエやん」とか、「これきっと旨いで」って感じでオーダーするから、いちいち名称は覚えていない。左上はイカを豆豉醤で炒めたもの、その右はゆでレタスの腐乳あえ、左下は落花生と漬物二種。二人でビール3本くらい空けて、これくらいあてがあれば十分である。

潮州料理は薄味の広東料理よりもさらに薄味なので、日本人の口にもよく合うし、気取った店もある一方で、大衆的な店も多く、その手の店は深夜営業していることも多いから、宵っ張りな香港人にはうってつけでもある。潮州料理は「潮州打冷」とも呼ばれている。滷水という漢方薬臭い煮出し汁に鴨肉や臓物なんぞを漬け込んだものを「打冷」と呼び、まあそういう料理が主力メニューなのが潮州料理だから、「潮州打冷」と呼ばれてるんだろう。はっきりした金額忘れたが、こんだけ飲み食いして、前稿で紹介した昼間の雲呑麺セットよりもお得感満載だった。

火鍋

翌日は、1995年にあちらでの生活を始めたころからのお友達とその息子との3人で、火鍋を囲む。場所は香港島側はMTRの天后(Tin Hau)駅近く。ここ、駅前通りにずらっと飲食店が並んでいて、茶餐廰あればタイ料理、すし屋、ラーメン屋、今回のような火鍋屋などなど、バリエーションに富んでいて、絶対に素通りできない街並みである。元々、飲食店は多かったが、今回、久々に来てみて、その充実ぶりに驚いた。

ちなみにこの駅前通り、その名を「電氣道(Electric Road)」と称す。在住始めたばかりの日本人がよくやっちゃうのが、ここを日本橋や秋葉原のような電気店の並ぶ街と思い、行ってびっくり、食い物屋ばかりだったというやつ。小生もその一人だが(笑)、当時は食い物屋なんてほとんどなかったのだよ…。

img_4630namae
2月12日、ご覧のとおり、路面店は飲食店オンリーの「電氣道」(iPhone 6S Plusで。画像補正あり)
img_4631namae
2月12日、天后・電氣道「滾得棧」(iPhone 6S Plusで。画像切り抜き、補正あり)

この日の火鍋底料(鍋のだし汁)は、四川と潮州の2種で。普通は「清湯」なんだけど、「潮州ってのもめずらしいね」ということでトライ。小生以上の在住歴を持つ彼女でさえ「これ、今まで経験あったかな?」ってくらいで、小生は初めてである。まあ、潮州だしだから、要は「食べることについて<1>」で紹介した「墨魚丸河粉」で使うだしと同じなんで不味くはないはず。で、これが実際にけっこういけた。練り物類は当然のこと、肉にも野菜にも豆腐にもばっちり。もちろん、四川だしも重慶火鍋ほどの激烈さはないけど、それなりに刺激があってすべておいしく食すことができた。この店は「当たり」だった。ってことで、店の名前は「滾得棧(Hot in A Pot)」。お値段は…。御馳走になったので不知道!(笑) ごちになりました!

澳門茶餐廰

現地行動日3日目は、お一人様ディナーと相成る。仕方ない。毎晩だれかが遊んでくれるわけではない。みなさんお忙しい。こっちは暇人。

一人晩飯のチョイスは難しい。日本のように「やよい軒」だの「宮本むなし」など定食屋があるわけでなく、あっても茶餐廰もしくはローカルのファミレス「大家樂」とか「大快活」である。「大家樂」「大快活」なんてのは変な色のソースのかかった、変な料理を食べさせられるので、小生のような偏食の輩には全く向いていないし、きっと体に悪い。在住時代は、ほとんど自炊していたから、こういうときに知恵が回らない。わざわざ香港に旅行に来て、日本料理屋でちょいと一杯というのもありえんし。

この日は、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)で夜景撮影に没頭してしまい、気が付けば午後9時半。「さあ飯はどうするべ」と悩んでいたら、目の前に懐かしい、丁稚時代によくさぼっていた「澳門茶餐廰(Macau Restaurant)」が。今夜はここで決まり。

マカオと看板に謳っているので、まあなんとなくマカオな料理が用意されている。では「マカオな料理」って何だ?と聞かれれば、ポルトガル料理を広東風にアレンジしたもので、つまりは日本で日本料理的にアレンジされて「中華料理」と名乗るメニューの数々のようなものだ。

img_4745namae
2月13日、尖沙咀・樂道(Lock Road)「澳門茶餐廰」(iPhone 6S Plusで。画像切り抜き、補正あり)

一人だから焼き飯だけでOKと気軽にオーダーしたものの、いくら茶餐廰と言えどそこはシナ料理屋のディナータイム。焼き飯も決してお気軽な量ではなく、軽く二人前のボリュームで登場する。だが、これが旨ければ従来が大メシ食らいの小生のこと、ぺろっと平らげたところだろうが、これが不幸にも激不味かったのだから、半分残すという結果に。小生は決して聖人君子のような素晴らしい人格者ではないが、極悪人でもない。そんな奴なのになんでこんな責め苦のような不味い焼き飯食わされるのか、情けないったらありゃしない。

そんな煮えくり返るような腸(はらわた)を冷やしてくれたのが、久々に飲む「マカオ式冷コー」。と言って、マカオでこれが普通なのかどうかは今一つ疑問ではあるけど。

2月13日(iPhone 6S Plusで)
2月13日(iPhone 6S Plusで)

基本的に、「ブラックで」と念を押さない限り、コーヒーは熱い冷たいにかかわらず、ミルクも蜜もたっぷりで供される。マカオ式は何が違うかと言えば、インスタントコーヒーの顆粒がどっさりふりかけられているのである。ミルクや蜜で甘ったるいうえに氷が解けて水臭くなったところで、このインスタントコーヒーが効力を発揮して、インスタントとは言えども、コーヒーの風味を保つ役割を果たしている。これ発明した人えらいね。
焼き飯と冷コーで〆て約1200円。とんだ出費であった。

煲仔飯

img_4842namae
2月14日(iPhone 6S Plusで。補正あり)

最後の夜は、お友達夫婦と九龍側の油麻地(Yau Ma Tei)で待ち合わせして、廟街(Temple Street=男人街)へ赴く。

煲仔飯の旨い店に行こう」ということで訪れたのは…。店名忘れた(笑)。香港の冬の風物詩である煲仔飯(ぼーぢゃいふぁん=土鍋メシ)はどの店も行列ができる。人気店ともなると、角を曲がってさらに行列が続くなんてことも。で、絶対欠かせないかやくは臘腸という広東式のソーセージ。こいつは食べても不味くはないけど、見た目がよくないので小生はあまり箸が進まない。が、全体の風味を出す為にははずせない。この日オーダーしたのは「臘腸排骨煲仔飯」。排骨とはスペアリブのこと。排骨自体は、写真のように細切れになっているので食べやすいし、味付けもあっさりしていて脂っこさは感じない。

「通」ってか、普通の香港人は蓋をあける前に、蓋の上からあるいは蓋と器の隙間から、煲仔飯用のタレ醤油をかける。行列の長短は、このたれの味が決め手だと思う。きっとそう。

06fb17p煲仔飯はこんな感じで、店の表に並べた「かんてき(七輪)」を使って炊き込まれる。こうして視覚と嗅覚に訴えることで、おのずと煲仔飯を求める客の行列ができてゆく。(写真は『蘋果日報』)

img_4839namae
2月14日(iPhone 6S Plusで。補正あり)

炸蠔仔餅」は、ベビーオイスターのお好み焼きみたいなん「蠔仔餅」をさらにかき揚げ風にしたもので、屋台メニューに欠かせない一品。

img_4841namae
蝦仁炒蛋、また食ってるし(笑)。2月14日(iPhone 6S Plusで。補正あり)

写真の3品にあと、茄子とミンチの土鍋煮込みの計4品を3人でシェアすれば、ビールも飲んでるので十分満腹。

ちなみにこの夫婦の御主人がオーダーするビールは決まって「サンミゲル」。香港には「地ビール」がないかわりに各国の銘柄が揃っているのが酒飲みには楽しい。「青島ビール」を香港のビールと思っている人も多いが、あれは字のごとく、中国は青島の原産。小生は「カールスバーグ」を好む。味うんぬんより「嘉士伯(がーしーば)」という広東語が言いやすいという理由(笑)。もちろん、日本料理屋に行けば、「ヱビス」や「スーパードライ」になってしまう。やはり料理の味に合う。
ここも安かった。3人で〆てHK$280くらいだったか。

多忙にもかかわらず、夕食にお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!



 


1件のコメント

コメントを残す