香港の楽しみは街歩きにあり
香港の旅の楽しみの一つは、街歩き。今回も、まさに足が棒になるほど歩き回った。ただ、「しまった!」と思うのは、行く前に「あそことあそこと…」と思い描いていた計画とは裏腹に、実際には歩きなれた場所しかうろついていなかったという悲しい事実。そこはもう久々の「里帰り」にはしゃいでしまった結果だから仕方ないと言えばそうだが、実にもったいないことをしてしまったと、後悔先に立たず…。
銅鑼灣から西へトラムに乗って
滞在2日目、実質行動初日、件の「え~ちゃん」を食した後にまずは銅鑼灣(Causeway Bay)へ。道すがら、こういう危なっかしい看板発見。店名「人民公社」なれども、「禁書、粉ミルク、コーヒー」。禁書って謳うのが堂々としているなあと感心。ここから目と鼻の先の「銅鑼灣書店」の経営者をはじめとする関係者が、香港からこっそりと中国公安に「拉致」された事件は記憶に新しいが、その「銅鑼灣書店」とは目と鼻の先で看板に禁書とはなあ。どういうものを売ってるのか探ってみたいと思ったが、幸いにも(笑)、まだ開店時間には早かったので探検は叶わず…。
まだ看板が出ている「銅鑼灣書店」。もちろん営業はしてないんだろうけど。別に禁書云々ではなく、普通に立ち読みの感覚で、会社帰りに何度か立ち寄ったことがあるが、まさかあの人たちが香港から公安に連れ去られるとはねぇ。事件を聞いたとき、驚きとともにやっぱり恐怖を感じたなぁ。と言うか、とうとうそんな時代になったかという、わかっちゃいても…っていう変な気分…。
まずはトラム(二階建電車)で西を目指す。しかしまあ、トラムもいつの間にか大陸観光客のアトラクションみたいなことになってるね。特に上層席は。まさしくお上りさん。小生もその一人だからやいやい言えたもんではないけどね(笑)。
MTR開通で様変わりしてゆく西營盤の町並
行きついたのは、昔の風情を色濃く残す(残しているはずだった)西營盤(Sai Ying Pun)エリア。乾物店が軒を連ね、独特のにおいが漂うメーンストリートの徳輔道西(Des Voeux Road West)、一つ裏通りに入ればジモティーひしめく商店街ってのが、このエリアの楽しいところ。が、昨今は風景は変わらずも、MTRの延長で駅ができたことで家賃は急騰。長年このエリアに住んできた小生の友人も、転居せざるを得なくなったと新居探しに奔走の日々。住民の顔ぶれも、MTR開通で欧米人が一気に増えて街並みに似つかわしくないバーなんぞが一気に増えてたって言うから、鉄路の力恐るべしというところだな。街を変えてしまうんだからね。
徳輔道西から南へ一本入った通り、皇后大道西(Queens’ Road West)からさらに南は急激な坂道になっている。写真で見るとたいした傾斜には見えないが、実はとんでもない上り坂で、ここでタクシーを止めるのをためらうほどである。古き良き香港風情を色濃く残すエリアで小生も大好きな場所なんだが、上述のように鉄路が街の風景を、人を変えていきつつあるのは歳月の流れと割り切ってしまっていいものかどうか…。
スリル満点の高架道はインスタ映えのメッカ
さらに西へ歩を進めると、これまた小生の好きな景色が待っている。今や「インスタ映え」のメッカとなっている場所だ。
ビルの6階、7階の高さをすり抜けてくる高架道。香港島の南部からビクトリアハーバー海底を抜けて九龍半島へとつながる道路。小生がかつて居住していた香港仔(Aberdeen)から旺角(Mong Kok)へは、ここを通るミニバスが最も便利で速いので、よく利用していたが、ここを走るときの爽快感は素晴らしい。香港大学前を抜けたあたりから一気にビクトリアハーバーが目前に広がったかと思えば、今度はジェットコースター感覚でビルの間をすり抜けていく。このスリルは狭い土地に半ば強引にやむなく道を通している香港ならではの体験だと思う。
さて、このスリル満点の高架の直下に、西進したMTRの「香港大学駅」への出入り口がある。いずれここにもMTRは伸びるという計画話はずいぶん前から耳にしていたが、こうして実際にその駅を目にすると、「ああ、こういう時代になったのね」と感激するやら混乱するやらで変な感じである。ここらへはバスかミニバスかトラムで来るものと思っていたものが、今やMTRでひょいっと来れるのだから、90年代を知る、いや一介の香港好きの旅行者だった80年代から知る身にしたら、隔世の感とはまさにこのことである。
長くなると、お客さん方御退屈。とりあえず、ここらでひとまず留め置きまして、続きは近日公開。乞うご期待!(期待するほどではございませんよw)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。