【睇戲】『単身男女2』(港題=單身男女2)<日本初上映>

「大阪アジアン映画祭」”Special Focus on Hong Kong 2015″

『単身男女2』
(港題=單身男女2)<日本初上映>

都心のオフィス街の男女を描いたラブコメって、香港では最近珍しいような…。かと言って、「これでもか」の大量生産されたりするのも、困りものではあるんだが。

前作『単身男女』のヒット受けて、満を持して登場した『単身男女2』。監督は安心と信頼の杜琪峰(ジョニー・トー)だから、どんなジャンルの映画であろうと、始まったら後は身も心も委ねておけば、それでよし。と、なるかどうかは観終わってからのお楽しみではあるけど、大きく期待を裏切ることは、まずないだろう。出演陣も、前作のメンバーに加えて、周渝民(ヴィック・チョウ)、楊千嬅(ミリアム・ヨン)が参入してオシャレ度さらにアップ。って、前作も観たようなこと言ってるが、実は観てない俺(笑)。

5618港題 『單身男女2』
英題 
『Don’t Go Breaking My Heart 2』

邦題 『単身男女2』
製作年 2014年
製作地 香港
言語 広東語

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督): 杜琪峰(ジョニー・トー)

領銜主演(主演):古天樂(ルイス・クー)、周渝民(ヴィック・チョウ)、楊千嬅(ミリアム・ヨン)、高圓圓(カオ・ユエンユエン)

主演(出演):林雪(ラム・シュー)

特別演出(特別出演):呉彦祖(ダニエル・ウー)

 なんと言っても、周渝民(ヴィック・チョウ)が加わったことが、この2作目の大きな話題かなと。周渝民は、台湾のアイドルグループ「F4」のメンバーで、「仔仔(じゃいじゃい)」の愛称で親しまれている。F4人気を不動のものにしたのは、と言うより、F4結成のきっかけになったのが台湾ドラマ『流星花園』~花より男子~だったわけだが、ドラマの中では花沢類を演じていた。ファンからは怒られるかもしれないが、小生、とあるお方のブログにコメントする時には「仔仔」を名乗っていた(笑)。中華圏はもちろん、日本にはすごくたくさんのファンがいるから、怖い、怖い(笑)。

そして古天樂と楊千嬅。二日前に観た『香港仔』にもこの二人は主役級で出ていたが、二人ともまあ色んな映画に出ていて、超売れっ子である。今一番ノッてる俳優の男女筆頭格である。小生自身、ここ5年間ほどでこの二人が出演する作品をどれだけ観たことか…。ほんまに。あと忘れてはならないのは、林雪。このおっさんもまあ、よく見るね。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

早い時点でチケット完売の今宵のABCホール。これは仔仔人気か、はたまた、古天樂人気か。どちらにせよ、超満員なのはいいことだ。

昨年夏ごろからの香港は、政治的風波に大揺れだ。学生たちが開いた雨傘は一旦閉じられたが、今度は旧正月あたりから、大陸から大挙押し寄せて来る「爆買い旅団」、その実態は「大量密輸団」への「激進民主派」による反発が激化し、警察との衝突が多発している。こんな殺伐とした日々の中で、ごく普通の香港市民の心もずいぶん荒んではいないかと心配もするのだが、この『単身男女2』がヒットしたという点においては、当方の心配などは香港人からすれば「余計なお世話」であり、「大丈夫、テキトーにやってますよ」というものなんだろうなというのもうかがわれる。ま、それほどに愉快な映画だったというわけで。

◆「ネタバレ」御免。知りたくない人は、以下スルーを!◆

「安心と信頼の杜琪峰(ジョニー・トー)」なんて言ったが、まさにそのもので、なんか久々に楽しい香港映画を観たという気分。返す返すも、一作目を観ていないのが悔やまれるところだが、そこは親切な杜琪峰、観客に優しい香港映画だから、一作目を見逃した観客がパニックにならないような配慮が見え隠れしており、ここらへんの作り方が心憎い限り。

なるほど。新しく加わった仔仔と楊千嬅は、こういう役どころに持って来るんだな。若い仔仔が体当たり演技するのは当然のところだが、もはや古株の部類になった古天樂や楊千嬅、呉彦祖が体当たりでラブコメを楽しんで演じているのが伝わってきて、それがいっそう観客をひきつけている。お客さん、実によく笑っていたもんね。登場人物を善悪に分けず、悪人は出てこない、罪のないストーリー。休憩出来る場面(笑)を一切設定しないのが、うれしい。

で、久々に楽しい香港映画ってのは、この作品において突き詰めれば、そこは「なるほど、これはやっぱり杜琪峰の映画だわ」ということ。かつて「ノワール」の世界を極めていたころの杜琪峰作品の展開と同じなのである。もちろん、撃ち合い殺し合いと、罪のないラブコメディの違いはあるのだけど、やっぱり展開が杜琪峰で、あのころと変わりないのである。これは杜琪峰をけなしているんじゃなくって、逆に「杜琪峰はこうこなければね!」という意味である。大向こうから「よっ!」と声を掛けたくなる。

杜琪峰作品と言うことで、この作品を80年代末に主役を周潤發(チョウ・ユンファ)で撮るなら、後のメンバーは誰がいいのかな、などと想像をめぐらせていたら…。次回作『華麗上班族』では、周潤發と張艾嘉(シルビア・チャン)が久々に共演だとか!これはもう涙がちょちょぎ出て来ますな!

*「映画祭」出品作品につき、【甘口評】、【辛口評】は割愛。

『単身男女2』予告編

(平成27年3月11日 ABCホール)


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