【初場所総括】平成27年初場所

気が向いたらやってる「場所総括」。
ま、今回は 白鵬 が大鵬の記録を抜く33回目の優勝を成し遂げたってわけで、やらなあかんわな(笑)。

ひと頃のような、たとえば双葉山の連勝記録更新に向かって邁進していたような頃の内容に比べ、「絶対横綱」とでも呼ぶべき強さは感じないけど、終わってみれば全勝優勝。

これはもうねえ、ほかの力士を責めるというよりも親方衆、何を指導してるんですか? と…。そりゃもう、指導しまくりだとは思うけど…。

かつて綱を張ったり三役を何場所も勤めたような経歴を持つ親方衆が多いと思うので、たとえばこの人たちが現役だとしても歯が立たないというわけかな。

小生らの年代では、相撲を覚えたときに最初に知った力士の名前が間違いなく「大鵬」であって、そのほかの力士は大鵬の対戦相手として名前を覚えて行くって感じだった。柏戸も玉の海も北の富士も長谷川も高見山も清國も…。すべては大鵬が軸だった。歯医者や散髪屋でよく見た『少年マガジン』などの漫画本の表紙は、大鵬、長嶋、王、ジャイアント馬場の繰り返しみたいなもんで、大鵬の出る回数が群を抜いていたような記憶がある。そんな、それこそ昭和40年代初頭の「絶対横綱」にして、引退後もなお「絶対横綱」だった大鵬の優勝記録を塗り替えるんだから、白鵬は大したもんだと思う。

と、思うんだけど…。

それに続く言葉については、相撲好きの方なら一つや二つ「思うんだけど、XXXXXだ」っていうのがあるはず。小生なんて、五つ六つはある。優勝記録を塗り替えた以降の白鵬は、そのモノ申したい事柄について、真摯に受け止めて、改善すべきは改善して名実ともに「絶対横綱」を目指さねばならないだろう。これ、きついよ、しんどいよ、きっと。勝つだけじゃダメなんだから。

これからは「後の先」の立ち合いを極めて行きたいと言う。ならば、立ち合いの張り差しは極力控えるべきかと思う。いや、封印すべきだろう。張り差しこそ、白鵬に一矢報いたい下位の力士が対戦する時の「策」のひとつではないか。豪栄道なんかは張り差し一閃、差し身先攻で白鵬を翻弄するような相撲取らなきゃ。自分がやるべきことを横綱に先にされて後は足揃ってしまって、一巻の終わりとは情けない。

立ち合いしかり、あれもこれもと挙げだしたらキリがないので一々言わないけど、一言で言えば「横綱、ちゃんとやって!」ということだ。

白鵬については以上のような次第だが、その他のメンツに関して言うと。

日馬富士*11勝4敗
大体予想がつくんだな、彼の星勘定は。序盤、鋭い立ち合いからの一気の速攻相撲で「お、これは優勝するかな」と期待を持たせる。ところが中盤に平幕にころっと負けてしまう。そして大関、横綱との対戦では五分の星が精一杯。終わってみれば10勝5敗とか11勝4敗。終盤に足踏みしている内に白鵬はささっと優勝…。多分、これからもこんな場所が続くだろうと思う。さらっと左に動いて上手取って悪い意味での「速攻相撲」で出し投げとかで勝っちゃう相撲が、毎場所二番か三番ある。あれだけお客をシラケさせてるのに、懲りないねぇ…。見苦しいな、まったく。

鶴竜*10勝5敗
彼もまた日馬富士同様の展開が多い。というか昇進後はずっとそうじゃないか? まったく存在感の薄い横綱である。取り口があまりに地味なもんで一部で「ジミー」と揶揄されている のもわかる。要するに二人とも取りこぼしが多すぎるのだ。二人でせっせと金星配給にいそしんで、結果的に白鵬を「援護射撃」しているのだから世話ない。横綱が3人いるんだから、3人で千秋楽まで優勝争うようでないと、たまたま今場所15日間満員御礼出たけど、一過性に終わってしまうよ。とりあえず白鵬が大鵬抜いたことで、ファンの興味も一段落したんだから…。

稀勢の里*11勝4敗
俺はもう彼はこのままで力士生活を終えてしまうような気がする。恐らく相撲好きの多くが心中そう思っているはず。口では「日本人最強」とか言ってても「ま、今場所も『善戦マン』で終わるんだろうな」と。びしっと左おっつけ入れば怖いもの無し なのにねえ。逸材であるには違いないが、このまま終わってしまうのは勿体ない。とにかく1回でも優勝しないと!

琴奨菊*9勝6敗
カド番脱出おめでとう! って喜ばれてるようじゃなあ…。でもあの取り口では、この成績が精一杯かな…。「とにかく勝ち越して大関を死守」するだけの大関なのが悲しい。

豪栄道*8勝7敗
これまたカド番脱出おめでとう! それも千秋楽でねえ。いよいよ後がなくなってからの相撲の素晴らしいこと(笑)。「稽古場最強」の大関 は次の地元・大阪場所では、余程奮起しないと、これまた琴奨菊同様地位を死守するだけの大関になってしまう。

三役
関脇、小結全員負け越し。総崩れだ。注目の 逸ノ城 は大きく期待を裏切っての6勝9敗だが、まあこんなもんだろう。どこまでの「巧者」なのかはまだ判断できかねるが、もし大関あるいはそれ以上を目指すのであれば、もう少し緻密さがほしいところ。稽古不足の場所が続くのも不満。

平幕注目力士を見てみようか。

照ノ富士*8勝7敗
ギリギリ勝ち越しだったけど、腰の重さ、粘りは相当なもの。他のやつならあっさり土俵を割るような場面でも、驚異の粘りを見せる。課題は粘った後の展開。逸ノ城との一戦は、水入りを挟むトータル5分の大熱戦だったが、負けてしまった。この一番が象徴するように、粘るのはいいがそこからの攻めがない。これができれば大関昇進も夢でない。三役が総崩れだったので、来場所は東二枚目からいきなり関脇昇進は間違いないかと。

隠岐の海・9勝6敗
二桁いくかと思うような前半の好調さだったが、持続できず。後半に黒星を重ねてしまったので9勝どまりはもったいない。そのため「なんとか勝ち越した」の印象。頑張ったんだけどね…。これまた上位陣に負け越しが殺到したから、関脇昇進間違いなし。ラッキーですな(笑)。

玉鷲(10勝5敗)、德勝龍(11勝4敗)が大勝ち。玉鷲は来場所の小結が確実。横綱、大関相手になるが、白鵬以外ならそれほど力の差を感じさせない相撲が取れるんじゃないか? 言いかえれば、白鵬以外の横綱、大関はそれほどまでに低レベルということだ。德勝龍は6年目。いよいよこれから本領発揮といきたい。

・期待外れ
(1勝14敗)、常幸龍(5勝7敗3休)。どちらもケガをおしての出場だったが、無理をして出場する必要があったかどうか。とくに勢は白鵬戦、遠藤戦以外は力が出せていなかったという印象。常幸龍は休場明けてから日馬富士から金星取ったが、それまでだった。

気になる点

・今場所に限ったことではないが、力士の大型化と関係があるのだろうか、勝ち力士が負け力士と一緒に土俵から転落する場面が多すぎる。これはケガの大きな原因。勝敗微妙な場面でなんとか残ろうと食らいつく気持ちは理解できるが、自分の体重を考えた場合、それが賢明なのかどうか…。そこに考えを巡らせるような「頭脳」がほしいところ。

塩、まきすぎてないか? いまや塩をまいた後に回しでパンパンと塩をはたくのが当たり前になったが、あれは嫌い。昔は北の湖の専売特許みたいな行為だったけど、今ではほぼ全員がやる。琴奨菊なんて、時間いっぱいの塩まきの時には土俵でなく、溜まり席めがけてまいているだろう? 白鵬も日馬富士も肩の高さからほとんど「放り投げる」ようなまき方してる。あれも格好悪い。塩まきは、ちょいとつまんで、下から上へ土俵中央へまくのが美しい

言い出したらキリがないので、ここらでやめて、春場所へと楽しみをつなぎたい。


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