【上方芸能な日々 文楽】十色会&文楽の夕べ

人形浄瑠璃文楽
第13回文楽若手自主公演 十色会

tumblr_n8wwyciTKs1tzsxbvo1_1280太夫による「ソロライブ」とでも言うべき「素浄瑠璃」を披露する会は、そう珍しくもなく、小生も年に数回は聴きに行っている。その際には三味線さんも一緒に出て来るわけだから、太夫&三味線の単独ライブと言った方が正しいか。

いっぽうで、人形チームとなると、どうしても一体を3人で動かすことになるから「ソロ」というわけにはいかない。素浄瑠璃が極端な話、落語みたいに座布団と見台があればどこでも開催できるのとは違い、三人遣いの問題以外にも舞台設定などなど、「ほなやりましょうか」と簡単にはいかないだろう。そんなわけか、人形チームが主体となる「単独ライブ」ってのは、なかなかない。今回の「十色会」だって、5年振りの開催である。

当初は2日目の11月28日だけ行くつもりだった。その段取りで他の予定も立てていたし、そうなるはずだった。が、23日の文楽劇場での幕間、若手たちがロビーで十色会のチケット売りをしていたのだが、どうも売れ行きはもうちょっとな様子。「ボクは2日目に行きますけどね」「そうなんですね!、ありがとうございます!」。座席表を見ると、初日分であと1席埋まればその列がびしっと埋まる列が…。

そこで、男気の人、俺登場!

「う~ん、ここなあ…。埋まらんかあ、そうかあ…。よし!ほな、俺そこ買うわ!」と、男気のお買い求め。2500円です。安いです(笑)。「よし!」なんて大見得切るような額じゃない。逆に恥ずかしくないか、お前?(笑)。

「予定は未定」とばかりに、その日の本来の予定をわーわー言いながら変更して、結局は2日連続でお邪魔したという次第。「男気」ではなく「お人よし」なわけだ(笑)。そこはあなた、「人間やっぱり情でっせ」(ってだれかの本のタイトルやったか?)。

重鎮クラス、師匠、ベテランクラスは出演しない。若手、中堅のための勉強会みたいな感じ。普段は頭巾をかぶって舞台に出て、足遣いや左遣いで師匠や先輩の動きを体感しながら修業している若手も、この日は主遣いとして頭巾を脱いで修業の場を拡大する、チャレンジの場。それだけに「まさにいま、そのベールを脱いだ若手イケメン人形遣いたち!」という趣もあったりして、女性ファンのなんと多いこと!

演目は、
『傾城阿波の鳴門』
「順礼歌の段」
『仮名手本忠臣蔵』
「二ッ玉の段」、「身売りの段」、「勘平腹切の段」

「ととさんの名は~、かかさんの名は~」でおなじみの『傾城阿波の鳴門』。これは泣くね…。何べん聴いても泣くねぇ…。あんな泣く話作るの、反則やわ~、勘忍してほしいわ。2日間ともボロボロだった。その泣かせるおつるちゃんは2日とも簑之くんで。彼は最近では珍しく、研修生ではなく師匠に直接入門した若手。簑助師匠の指導のもと、昼夜奮闘の日々。表情も動きも初日はえらい堅かったけど、2日目はややリラックスした模様。定期公演で主を遣う日はまだまだ先だろうけど、彼もその「いま、ベールを脱いだ!」の一人。

ほんの一瞬の出番だったが、「勘平腹切」で与市兵衛の遺体を戸板にのせて運んでくる、めっぽう弥八と種ヶ子島の六を、玉峻(たまとし)と玉延(たまのぶ)の二人が日替わりで。まさに一瞬の出番だったけど、この二人もまた「ベールを脱いだ!」の超若手。彼らは研修生から玉女さんに入門。この二人、研修生発表会、研修終了発表会と研修の段階を見て来ているので、思い入れもある。やはりまだ、主遣いで出て来る日は先だけど、気長に待っておこう。

評価と言うよりも、遣いようの好みなんかでいくと、お弓・紋臣、斧定九郎・簑次、勘平・玉勢、おかる・紋吉が「ほほ~!」と思った。

大阪、東京の本公演、地方公演の合間を縫っての開催ということで、そう簡単に事は運ばないと思うけど、やっぱりこれは5年も間を開けちゃいけませぬ。少なくとも年1回。欲を言えば春秋2回開催するべきだろうと感じた。

以下余談だが…。玉佳さん、舞台の外でもナイスキャラですな。好きよ(笑)。

(平成26年11月27日、28日 ドーンセンター7階ホール)

第11回「文楽の夕べ」

「十色会」初日の後は、最寄りの天満橋駅から「京阪乗る人おけいはん」で、ささっと淀屋橋まで。18時からは日経新聞の「文楽の夕べ」。大人気のこのイベント、数えること今年で11回目。昨年に続き幸運にも抽選に当たった。外れた人ゴメンなさいねえ。

中之島の中央公会堂。開場時間の5時半に到着したが、その時点で長蛇の列。見ただけでうんざりする。並ぶの嫌い。余談ながら、並んでまでラーメン食べる人の気が知れんわ…。

3部構成。最初は住さんと女優の壇ふみの対談。昨年の対談相手、阿川佐和子の親友が登場ということもあって、その続編という感じがしないでもない。話の内容もまさにそんな感じだし、先ごろ発売された『人間やっぱり情でんな』に沿った話も多かったようだし。でもまあ、そこはそれ。たとえ去年と内容に変化が無くても、たとえ本に書いてある事でも、住さん自身の「生の声」でそれらが聞けるというのは、文楽好きにとってはこの上ない幸せなのだ、もうそれで充分なのだ。

それにしても住さんは、去年のこの催しではまだバリバリの現役で、その数日前まで『伊賀越道中双六』の「千本松原」を聴かせてくれていたのが、1年後にはもう引退した身というのが、なんともはやな…。それでも相変わらずで、安心した。

ミニ公演ということで、『鬼一法眼三略巻』から「五条橋」。文字久大夫、藤蔵が床を勤め、牛若丸を勘十郎、弁慶を幸助が遣う。その後、文字久、藤蔵、勘十郎で「見どころ、聴きどころ」という座談会。この会場の音響の問題か、しゃべる人間の声質の問題か、はたまた小生の聴力の問題か…。昨年もそうだったけど、ほんと、何言うてるのか聞えんかったわ…。

でも、「新春公演にお客さん、いっぱい来てもらいたい。そうなれば大阪市の補助金満額の動員数を達成できるから」とは、言うてはった。そこはよう聞えた。もちろん行きますが、すでに大阪市は来年度の補助金全廃を打ち出しているからなあ。どうなるんかな…。まあ、補助金目当てに公演やってるわけではないはずだし、そう見られるのもけったくそ悪いから、こういう話題を芸人側からはあまりしてほしくはないんやよな…。

文楽とはそれほど縁がなく、壇ふみ目当てのお客も多かったみたいだから、文楽そのもののPRの場にはなったと思う。そんな人たちが一人でも多く、新春公演に足を運んでくれれば、このイベントも大成功というものだろう。

(平成26年11月27日 大阪市中央公会堂)


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