第9回大阪アジアン映画祭
HONG KONG NIGHT
「第9回大阪アジアン映画祭」出品作品の鑑賞も、この日の「ある複雑なお話」をもって、最後。
「Special Focus on Hong Kong 2014」と銘打った3作品と台湾作品一本を見たので、かなり満腹。欲を言えば、他の台湾作品や東南アジア各国の作品も押さえておきたかったところだけど、いかに暇人と言えども、そこまで時間配分はできませぬ。いずれ出会う機会もあるでしょう。一方で、残念ながら「KANO」を観れなかったという悔いも残ってはおりまする。
この日のABCホールでは、上映の前に”HONG KONG NIGHT”として、「ある複雑なお話」、「越境」、「狂舞派」の関係者が一堂に揃って、舞台挨拶アリという映画祭ならではのスペシャルイベントが開催され、映画ファンや香港おたくな皆さん方、さらには多くの報道陣もつめかけて、盛大に。
まずは、主催者代表として、大阪映像文化振興事業実行委員会から、大阪大学の古川裕教授(大学院言語文化研究科)の挨拶。
続いて香港側代表として、香港特区政府駐東京経済貿易代表部の黄碧兒(サリー・ウォン)首席代表が挨拶。「現在の中日関係は芳しくはないが、香港は日本の皆さんのお越しをお待ちしています!安全な都市、友好的な都市、香港へ!」とのPRが涙ぐましい。
このお二人が触れていたのが、1月に106歳で他界した邵逸夫(ランラン・ショウ)の功績。香港映画の黄金期を築いた映画会社ショウ・ブラザーズを興し、その後はテレビ局TVBの総帥として、長きにわたり香港映像文化のリーダーシップを執ってきた大物。今回の映画祭ではそんな邵逸夫の功績をたたえて「追悼 ランラン・ショウ」として、ショウ・ブラザーズの懐かしの3作品も上映された。アタシは香港の深夜放送で飽きるほど観たので、行かなかったけどね、この上映も大盛況だった模様。
小生の場合、邵逸夫と言えば、「香港映画界の父」と言うよりも、TVB(無綫電視)の老人という印象が圧倒的だ。
たとえばTVBが音頭を取っている「香港小姐(ミス香港)」の表彰式なんぞに現れて、両腕を綺麗どころに支えられて辛うじて起立してるなんてのは、おなじみの光景。
また、旧暦大晦日のTVBの特番に、これまた綺麗どころに両腕をしっかり支えてもらいながら登場し、出演者、それすなわちTVB専属芸能人に「紅包(お年玉)」を配っているという光景。それに対して芸能人たちが恭しく紅包を押し戴き、「多謝、六叔!(六叔は邵逸夫のニックネーム。邵家八兄弟姉妹の6番目だから)」と涙を流さんばかりの表情になっているという光景。そんなのばかり。
口の悪い人たちは、香港小姐の放映を観ながら「ああ、この綺麗なねーちゃんらも、順番に六叔に食われるんやな~」「あのジジイいの長寿の源は香港小姐やね~!」なんて言っていたもんだ(笑)。
まあ、偉い人には違いなかったけどね。
そしてそして。
「ある複雑なお話」、「越境」、「狂舞派」の関係者が舞台に登場。
このあと上映の「ある複雑なお話」から、監督の周冠威(キウィ・チョウ)、出演の車婉婉(ステファニー・チェ)。車婉婉は前日に観た「越境」の出演者でもあり。
前日に観た「狂舞派」からは、監督の黃修平(アダム・ウォン)、製作の陳心遙(サヴィル・チャン)、出演者では、あの驚異のダンスを見せてくれたTommy “Guns” Ly(トミー“ガンズ”リー)、劉敬雯(リディア・ラウ)。
奇しくも、三作品の主人公は全員女性。今年の香港からの出品作は、女優陣の活躍が素晴らしかったということか。香港映画というと、どうしても李小龍(ブルース・リー)に始まり、「ミスターBoo!」の許三兄弟、成龍(ジャッキー・チェン)、周潤發(チョウ・ユンファ)、李連杰(ジェット・リー)……と「男優の映画」という印象が強いけど、こうして女優陣が主役を張る作品がもっと増えると、新たな展開が期待できると言うもんだ。
これはなかなかなメンバーだ。昨日は、「まだまだやることが若いね、黃修平カントクさん!」とか「ベタな青春演技をする劉敬雯はイイね!」なんて言ってましたが、アハハ、目の前にすると「尋晚 、我好好睇!!(昨夜はイイ映画を観たョ!)」なんて心で叫んでいるんだから、アタシも随分な野郎ですわな(笑)。
トミー“ガンズ”リーは、カッコいいね、たしかに!
で、周冠威監督と最近とみに女っぷりを上げている車婉婉が舞台に残り、「ある複雑なお話」について語るわけだけど、周さん曰く「ここで、何か言うと映画が『複雑』でなくなるから、終わってからね」と。そないに複雑なんかい!
それにしても車婉婉は、イイね~。90年代半ばごろまで香港では、新人歌手たちに強引にユニットを組ませて、ちょいとノリのよい曲を歌わせるというのがよくあり、車婉婉もその「One of them」だったわけだけど、彼女が存在感を増し始めたのは、小生が思うには、TVBの連続ドラマ「皆大歓喜」(2001~2002:時代劇編、2003~2005:現代劇編)あたりからじゃないかと思う。映画にはコンスタントに出演しているけど、テレビドラマや歌の方はそれほどでもない昨今。これからも映画に軸足を置いて、そう遠くない将来には女優専任でやっていってほしいな…。
で、本題となる映画「ある複雑なお話」については次回にて。
(平成26年3月14日 ABCホールにて)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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