ドラッグ・ウォー 毒戦
(港題=毒戰)
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
<ネタバレ御免!(勘弁してほしい人はスルー願いたし!)>
毎月一日は「1000円」で映画が観られる!(というのは、行って初めて知ったw)
そんなわけで、小生の「近頃のお気に入りスポット」の仲間入りを果たしたシネマート心斎橋へ。
杜琪峯(ジョニー・トー)が監督ということで、大いに期待。そういえば、前回ここで観た『盲探』も杜作品だったけど、明らかに今回の方が面白かった。
「おお、そんなお涙頂戴&ちょっぴり喜劇だったんですね!」
ってワケないでしょう、「やっぱり香港映画はこう来ないと!」みたいな、かつての「ノワールもの」を彷彿とさせる作品だったのだ。そして、何かとうるさい公安を舞台に、これだけの内容の映画を中国国内で撮影したというのが、「さすが杜琪峯!」なのだ。
杜琪峯はパンフのインタビューで、その公安の検閲に関して語っている。
「絶対に文句をつけられることは『ストーリーの中でたくさん死んではいけない』」。実際には劇中で相当な人数が死んだが、「これでもかなり減らしたんだ」。公安は公安で仕事が危険なものと思われると、公安への志願者が減るのを嫌っているのだと言う。なんだか公安も臆病になったもんだね(笑)。
さらには「『あまり銃を撃つな』」。いやいや、もう数え切れないくらい銃が乱発されていたが、それでも相当カットしたらしい。
「公安の要求に応えているうちに、本来私の考えていたものとはぜんぜん違う作品になってしまった」と言う。
そして「いままでの杜琪峯作品とは違う、”大陸で撮った杜琪峯映画”だと思って観てほしい。申し訳ない」と言うのだが、「不要對不起!」だ。観客は「大陸で撮った杜琪峯映画」だからこその面白みを味わいたいのだ。
港題 『毒戰』
邦題 『ドラッグ・ウォー 毒戦』
製作年 2013年
製作地 香港
言語 普通話
評価 ★★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督): 杜琪峯(ジョニー・トー)
領銜主演(主演): 古天樂(ルイス・クー)、孫紅雷(スン・ホイレイ)
演員(出演): 黃奕(クリスタル・ホアン)、 葉璇(ミシェル・イエ)、林雪(ラム・シュー)、鍾漢良(ウォレス・チョン)、林家棟(ラム・ガートン)、盧海鵬(ロー・ホイパン)、高雲翔(ガオ・ユンシャン)、李光潔 (リー・グアンジェ) 他
「甘口評」
やはり役者がいいと画面が引き締まると言うことだ。
主役の古天樂を初めて観たのは、1994年のTVBの連続ドラマ『阿Sir 早晨』だった。今とはまったくイメージが違い、ツーブロックの髪型に色白の無口な特に目立つことも無い役柄だったと記憶している。「古天樂=こてんらく」という日本人に覚えやすい名前ではあったが、ま、せいぜいその程度の位置付けだった。が、あるとき、えらく日焼けして短髪になっていて、「あれ?、これは日サロでも通ったのか?」と思ったんだが、以来、そのまんまなのである。これは個人的に「香港芸能界七不思議」の一つだ(笑)。
ま、そんなルイスもこうして天下の杜琪峯の作品で主役を張るのだから、立派に香港を代表する俳優になったというわけだろう。
対するもう一方の主役、孫紅雷はハルビン出身の大陸の俳優。07年の『鐵三角(邦題=強奪のトライアングル)』で、ルイスと初共演。当時もいい演技をしていたので、顔を覚えている。
黃奕はしゃきしゃきとした女性刑事役がぴたっとはまったようで好演。これからも「男勝り」する役にどんどん挑んでいってほしいし、そういう役どころをもっと観たい。鍾漢良、林雪、林家棟、盧海鵬、 葉璇ら香港でおなじみの面々は、言わずもがなの演技。さらに『盲探』では香港警察の刑事役で登場していた郭濤(グオ・タオ)が、聾唖の兄弟の一人として出演。銃を撃つ姿が実にサマになっており、後半の撃ち合いを大いに盛り上げていた。
杜琪峯がインタビューで語るように、公安からの制約が多く、不本意な作品になってしまったと言うのは間違いないのだろうけど、それを埋めて余りある出演キャストの好演が、作品のクオリティーを極めて高いものにしている。観て損のない作品とは、こういうものだろう。
「辛口評」
作品そのもの、キャストに対する「辛口」は特にないが、辛口の対象はひとえに「中国公安」だの「国家広播電影電視総局電影事業管理局」だのといった、一連の「検閲機関」である。結局、これら機関との駆け引きや制約の前に、 杜琪峯は妥協せざるを得なかったわけだが、「つまんないことすんなよ!」と連中にガツンと申し上げたい! (どうせこのブログも大陸では見れないようだしな)
《毒戰》電視廣告 4月18日 全球掃毒 (公開日直前テレビCM)
さて、古天樂だが。今年5月封切り予定の『香港仔(Aberdeen)』に出演する。主役は楊千嬅(ミリアム・ヨン)のようだが、古天樂、楊千嬅のほか、梁詠琪、曾志偉、吳孟達、吳家麗と、これまた小生の好きな面々が出演する。何と言ってもだね、タイトルの香港仔は小生が96年~09年まで住んでいた土地なのだよ。これ、早く日本で公開してほしい!! よろしく、シネマート心斎橋さん!
ってか、香港まで観に行くわ!
(平成26年2月1日 シネマート心斎橋にて)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
しかしなんですねえ、大阪では盛んに香港映画が公開されているようですが、これは全国的にそうあんでせうか、それとも大阪だから・・?考えると眠れなくなりそう凹
しかしお住まいになっていた例の「鬼地方」の部屋は今でも誰か住んでいるのでせうか・・・・
これも考えると・・・・凹
いや、これはあくまで、主要都市のミニシアターの話で、韓流なんかも所詮はこの域までの人気ですね。
あ、あの鬼屋、その後も不可思議現象が起きてますかね? 私も気になります(笑)。