【上方芸能な日々 落語】繁昌亭deハナシをノベル!!  vol.7

落語
繁昌亭deハナシをノベル!!  vol.7

いやもう寒い寒い。
小学校生活6年間を制服の半ズボンで通学していた子とは思えぬほどに、寒がりになってしまったもんです。

寒風吹きすさぶ中、行ってきました繁昌亭。
今回で7回目となる繁昌亭における「ハナシをノベル」、通称「ハナノベ」。
舞台を通常の中央公会堂大会議室から、上方落語の定席・天満天神繁昌亭に変えての開催。さて今席はどうなりますやら。

athumbnail.image.shashinkan.rakuten.co.jpいやいや、サボりまくっていたもんだ。

記念すべき第1回の「ハナノベ」に参加したのが、2006年の5月20日のこと。その次が12回目のとき。以来、中央公会堂での通常開催の「ハナシをノベル」には一度も顔出ししていないことに気付いたのは、文都師匠から今回の開催案内のメールをいただいたときのこと!

「アカン、アカン」。なんとまあ暢気なこっちゃわな…。

ホンマ失礼こきました、というわけでもないけど、なにをさておき馳せ参じた次第。

そしておそらく、この会が小生にとっては今年の「笑い納め」になると思う。色々とあったけど、やっぱり笑って1年を締めくくりたいもんですわな、人間誰しもな。

<ネタ帳>
開口一番「宿屋町」  月亭天使
「襲名落語」(田中啓文・原作)  月亭文都
「ほうじの茶」  林家笑丸
「馬賊の清吉」(福田和代・原作)  文都
中入
トークでノベル  田中啓文、北野勇作、牧野修、我孫子武丸、田中哲弥
「虫女房」(牧野修・原作) 文都

■天使の「宿屋町」で幕開き。いわゆる「東の旅」の一節で、伊勢参りから帰途に就くおなじみの喜六、清八のコンビによるお笑い顛末。テンポよく頼みます、天使さん!

■人気シリーズ『笑梅亭梅壽謎解噺』の最終巻が文庫化された田中センセ作による『襲名落語』という名の落語w。まあこのハナシは、文都師の襲名披露公演の際に販売されていたCD付きパンフレット(なお、現在も絶賛発売中。お求めは各地の文都襲名披露公演で!)にも収められていたので、大筋はわかるけど、やっぱりナマで文都師の声でネタとして聴くと、その光景や登場人物の風貌などが脳内に描き出されるから、噺家ってのはえらいもんだ!などと感心しちゃうわけですな。マクラで文都師は、NGKでの襲名口上のあれこれを語っておりまして、アタクシそれ、前から3列目のど真ん中の席で見ておりましたので、「ああ、そいうわけでしたか、あれは!」と納得することも多々あって、これまた楽しく聴けたのであります。

■ゲストの笑丸は、得意の紙切り芸やウクレレ漫談をはさみながらの「ほうじの茶」。このネタなら、彼が得意とする諸芸を盛り込むことができるから、これはもううってつけですわな。そして、紙切り芸とウクレレ漫談と言うか小噺というか、すっかり自分のモノにしているなあ。これはやっぱり染丸師匠の影響も大きいんだろうなあ。

■近著『迎撃せよ』が人気の福田和代センセによる『馬賊の清吉』。ハードボイルドタッチの人情刑事もの、なんて言うと、2時間ドラマのサブタイトルみたいだけど、まあそんな感じのハナシ。老刑事と引退したやくざのやりとりには、客席はシーンと静まり返る。なんか『たち切れ線香』のような空気かな…。ちゃいますかね?「笑わせてなんぼ」というネタではなくして「静まり返らせてなんぼ」みたいな不思議なハナシ。もっと進化してしてゆくような気がする。ただ、この日のような「ハナノベ」の趣旨を理解している客でないと、まだまだ難しいでしょうね。

■作家のセンセ方が浴衣姿で並んでトーク…。ってかまあ、ウダウダと。どなたが言ったか忘れたけど、「通常の『ハナノベ』は基本は毎回新作をかける、まあ、ベンチャーみたいなもんですわ」と。そして年1回の繁昌亭での会がそれぞれで好評だったものをやるという感じだと。「いや、そうでもない」みたいなツッコミもあって、「どやねん!」みたいな、なごやかなトークでありました(笑)。

■トリは文都師で牧野修センセの『虫女房』。タイトルで想像できるように「異類婚姻譚」であります。どこかに『天神山』の雰囲気を漂わしつつ、登場する昆虫の説明にフリップを使うというまさに「ハナノベ」仕様のハナシ。本当はスクリーンなどで大きく映したかったようだが、かなり気色悪いものもあるようで、そこは気を遣いつつ。アタシなんぞはメガネ上げたり下げたりしながら、その気色悪い画をなんとか見ようと必死のパッチでしたがね(笑)。また見せてください(笑)。とにかく牧野センセらしさが溢れる作品であります。やっぱりこれも「ハナノベ」ならではのネタかも。でも、厳しいツウの客が多い会で、客の反応見てみたい気もする。次の「田辺寄席」で是非!

客入りがちょっと厳しかったなあ…。総じて繁昌亭の夜の部は動員が難しい様子。厳しい寒さが一層拍車をかける。さらには三連休前の忘年会シーズン佳境の夜。開催日が悪すぎた、というのは正直なところ。いい会だけに勿体ない。

(平成25年12月20日 天満天神繁昌亭夜席)


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