「私家版・青春プレイバック」と銘打った、思い出深いLP版(CDちゃいますョ!)アルバムのベスト5を数回に分けて紹介して来ましたが、今回が最終でござりまして、残すところ1枚、さあ、シリーズ(笑)のフィニッシュを飾るのは、誰のなんていうアルバムに相成りましたでしょうか?
■「意外」ですか? はたまた「ああ、なるほど、ここへ収まったか?」と御納得ですか?
■長渕を最初に知ったのは、中3のときだったなぁ。「受験勉強と言う名の、ラジオ深夜放送聴取タイム」を連夜にわたり、コンスタントにこなしていた小生。『南こうせつのオールナイトニッポン』の番組内で、「裸一貫ギターで勝負」なるコーナーがあり、そこで知ったのが長渕剛。そこで何が行われていたかは、すっかり失念しているし、同時進行のお勉強の内容もパーフェクトに失念しているが、長渕剛という名前だけは、なぜか深く心に刻まれたのである。
■相前後して長渕は、こうせつや庄野真代のライブで度々「前座」を勤め、知名度が上がって行く。そんな折にリリースされたのが、この『風は南から』。ジャケット写真を見ると、「なんと長渕にもこんな爽やかで可愛い時代があったのか!」と驚く人も少なくはないだろう。ちょっと時代遅れのフォーク少年という雰囲気が、新しい風を求めつつあった、当時のフォークファンに受け入れられるのに、そう時間はかからなかった。
■デビューアルバムながら、オリコン15位という、びっくりの売れ行きを記録し、件のラジオ番組で、名前だけは知ってたアタシも、これまたびっくり!
■風貌も歌も爽やかで可愛いかった、当時の長渕。A面1曲目『俺らの家まで』、2曲目『僕の猫』、B面1曲目『待ち合わせの交差点』などは、年齢的に当時の拓郎やこうせつに歌えというのも無理な歌詞だったかと思うので、このあたりのメンツを支持していた層は、割とすんなり受け入れたんだろうな…(拓郎ファンはそうでもなかったようだがw)。かく言う小生もすんなり受け入れ派だったしね。
■その後に長渕の定番曲のひとつとなる『巡恋歌』や、根強い人気の『いつものより道もどり道』、『長いのぼり坂』も収録されており、そういった点でも、充実のデビュー盤と言える。参加ミュージシャンも「昨日今日の新人」とは思えない豪華なメンバーが揃っていて、音の面でも妥協しない姿勢がなかなか芯のある若い奴、ってところ。
■さて、長渕も歳月の流れと共に、痩せっぽちでロン毛の「フォーク少年」から、どういうわけかマッチョな中年になってしまい、小生もせいぜい『Bye Bye』(S.56)までの「付き合い」で、ドラマ『家族ゲーム』(S.58)出演あたりから「方向性の不一致」ということで、「これからは、蔭ながら応援いたします」という「関係」になってしまった。
■ただ、今でもたまにギターを持てば、この頃の長渕の曲を弾くことが多いし、機嫌のよい日には♪天神あたりの交差点でぇ~、待ち合わせですかぁ~♪と口ずさんでいることもある。「蔭ながら応援」と言いながらも、出会えてよかったアルバム、そして出会えてよかった「フォークシンガー」なのだ。
【収録曲】<A面>俺らの家まで/僕の猫/いつものより道もどり道/訣別/カントリー・ワルツ <B面>待ち合わせの交差点/不快指数100%ノ部屋/今宵最後のブルース/君は雨の日に/巡恋歌/長いのぼり坂
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以上で、「私家版・青春プレイバック」として選出した5組のアルバム紹介を終わります。ただ、これもこの日に選んだから、この顔ぶれになっただけで、もし、1ヶ月後に選んでいたら、まったく別のラインナップになっていたかもしれませぬ。そこで、以下に、今回は惜しくも選に漏れた皆さま方を列記しておきます。例えば1年後に、どこかの旅先で5枚選ぶとなったら、この中から5枚選んでいたかもわからないし、さらに別のアルバムを挙げていたかもわからない…。とにもかくにも、アナログ時代のアルバムには、何とも言えない思い入れがあるという次第でありまする。
≪惜しくも選に漏れた皆さん≫
■『ねがい』南こうせつ(昭和51年3月)
■『ガラスの動物園』甲斐バンド(昭和51年10月)
■『今こころのままに』南こうせつ(昭和52年6月)
■『海風』風(昭和52年10月)
■『チューリップ・ガーデン』チューリップ(昭和52年11月)
■『This is the LAZY』レイジー(昭和53年3月)
■『龍雲ファースト』永井龍雲(昭和53年5月)
■『LIVE!! ACT TULIP Vol.3 鈴蘭&田園ライブ!!』チューリップ(昭和53年12月)
■『IN MY LIFE』大久保一久(昭和54年8月)
■『宇宙船地球号』レイジー(昭和55年4月)
■『Chef’s Special』須藤薫(昭和55年6月)
■『SURF & SNOW』松任谷由実(昭和55年12月)
■『THE LOVE MAP SHOP』チューリップ(昭和56年3月)
■『A LONG VACATION』大瀧詠一(昭和56年3月)
■『Bye Bye』長渕剛(昭和56年10月)
■『センチメンタルI・Y・O 』松本伊代(昭和56年10月)
■『つかさ』伊藤つかさ(昭和56年10月)
■『昨晩お会いしましょう』松任谷由実(昭和56年11月)
■『ポテトボーイズNo.1』イモ欽トリオ(昭和56年12月)
■『星くずの街で』石川セリ(昭和56年12月)
■『ひとりごと』南こうせつ(昭和57年2月)
■『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』ナイアガラ・トライアングル(大瀧詠一、佐野元春、杉真理)(昭和57年3月)
■『No Damage』佐野元春(昭和58年4月)
■『STARGAZER』杉真理(昭和58年4月)
■『デジャ・ヴー』マリーン(昭和58年4月)
■『AFTER 5 CLASH』角松敏生(昭和59年4月)
■『CONFUSION』大沢誉志幸(昭和59年7月)
■『MIDNIGHT FLIGHT』アースシェイカー(昭和59年10月)
■『NO SIDE』松任谷由実(昭和59年12月)
■『THUNDER IN THE EAST』LOUDNESS(昭和60年1月)
■『Be True』中村あゆみ(昭和60年5月)
■『HEART OF SUMMER』TUBE(昭和60年7月)
■『MAGICAL MYSTERY“MARI”』浜田麻里(昭和60年7月)
■『THE PANORAMA MEMORY』安部恭弘(昭和60年7月)
選に漏れた方たち、
多すぎるわっ!
いずれは洋楽もやってみようかな…。え?
「もういい、やめろ!」
って? まあ、そう言わずに(笑)。
どちらさんも、お付き合いありがとうござんした!
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。