あの年に生まれた子も、16歳かぁ…。と、しみじみ思う、2013年の7月1日。
あの日も土砂降りの大雨でした。五星紅旗が式典会場に翻った瞬間、「ああ、中国になっちゃったよ~」と、しみじみしたものでしたが…。
そんな頃、香港のあちこちに解放軍が進駐して来ました。それはもう、クローン人間の集団のようで、結構笑っちゃう光景でした。
7月1日の香港は、台風が接近して警報(8号シグナル)が出るとか出ないとかという悪天候。時折、大雨に見舞われたようだが、今年も、民主派各団体が垣根を越えて主催したデモは、主催者発表で43万人、警察発表で6万6千人を動員して挙行されたとのこと。このあまりにもかけ離れた二つの数字、本当はどっち?なんてのは、現場にいても多分把握できない。で、こういう場合、香港においては、小生は警察発表に近かったと感じてきたが、さすがに今回、6万6千人ということはないだろう。おそらく8万人から9万人程度だと思う。
例によって『蘋果日報』は、民主派デモを自社イベントのような扱いで、大はしゃぎであります。一方で、いまや中央に阿ることなく、「香港の民主」を訴えるメディアはこの新聞以外は皆無という有様でもあります
しかしながら、悪天候の中、43万だろうが6万だろうが、あるいは数千人だろうが、これだけの市民が、香港政府と中央政府に「NO!」の意思表示をするために、よりによって慶祝すべき記念日のはずの7月1日に、悪天候の中、街に繰り出すのだから、穏やかではない。
こういうときの香港人は、すごく整然としている。そして警察の誘導も優れている。「デモ慣れ」しているというか…。裏返せば、返還以降、いかにデモが多いかということにも…
市民の最大の要求は、行政長官選出と立法会議議員の完全普通選挙への早期移行であるのは、かなり以前から変わってはいない。そこに加えて、共産党「地下党員」と言われる、CYこと梁振英行政長官の施政や発言などに対する不満もかなりな様子。
さらには直前に、米政府機関の情報監視を暴露したエドワード・スノーデン容疑者の香港出境に見え隠れする中央政府の影に、「高度な自治」を認めた一国両制が揺らいでいると不安視する向きも多い。
まあ「高度な自治」と言っても、どの線を以て「高度」と位置づけるかは、香港市民に線引きをする余地はなく、あくまで中央政府が線を引くわけで、そこらあたりも、香港市民は非常に不満を抱いてる。以前から旧ブログでもずっと言って来たけど、「返還」とはそういうことであるというのは、1997年7月1日以前からわかっていたことであるはず。もし、「いや、それは話が違う!」と言うのであれば、返還以前の香港人は随分と暢気に「明るい未来」を想像していたんだなぁと…。そういうことにはならないのか?
1997年7月1日付の『蘋果日報』。「大時代が始まった 香港の明日を信じて」なんて仰々しい見出し。あの頃はまだ皆、純情だったね(笑)
さて、このたびのデモの声がどこまで中央政府に届くのかは、わからないけれど、ここまで不人気な行政長官は歴代ワーストではないかと思う。たしかに、初代の董建華氏もかなりの不人気だったけど、あの人の場合は、何もかもが初めてのことばかりだったし、SARSなんていう未曽有の危機もあったりして、ちょっとばかり気の毒な部分も無きにしも非ず…。
でもCYは、就任する前から不人気街道まっしぐら。しかしながら、相当致命的なスキャンダルでもない限りは、市民の要求通り「下台=辞任」には至らず、任期を全うするであろう。そのとき2017年に、市民の全面投票での行政長官選出が行われるか? 仮に行われたとして、候補者は中央の干渉なくだれもが立つことができるのか? その辺の筋書きが明確になるまで、この手のデモは継続される。まあ、中央としては「誰もがデモに自由に参加できる香港」の「言論の自由度」を世界に見せておきたいから、民主派のデモ自体を干渉することは、まずないと思うが、さあ、どうでしょうねぇ?
さて、小生はもう香港を離れて結構な歳月になるので、わりと暢気に昨今の香港を眺めているわけだけど、在住時は、こう見えても(笑)、民主派のデモは出席率9割程度の「優等生」ではあった。一説には単なる見物人という説もあるが(笑)。
デモ翌日の新聞には、かなりの頻度で小生の姿が写真に写り込んでいたし、当日のテレビでもよく映っていたようで、翌日に「昨日、デモの先頭歩いてたでしょ!」って電話をもらうこと度々。いやいや、「先頭を歩いていた」んじゃなく、先頭の主要メンバーをカメラに収めたく、先頭のさらにその前を、単なる一般人なのに地元紙の記者たちとともに歩いていたというわけである。物好きである、要するに…。
こんな風に「有名人」にひっついて歩いていたから「デモに参加してたでしょ!」と勘違いされたのだ(笑)
振り返ってみれば、実に様々な写真を撮っていたものである。「香港の想い出=デモ」みたいなことになってしまっている(笑)。それだけに、決して民主派に与することはないが、彼らが訴えてきたこともよく理解していると思っているし、自分もまた香港市民の一人であったからには、香港が香港であり続けるためには、こうした活動が継続されていかねばならないと強く思っている。いつの間にか、デモ参加者を「同志」のように思ってしまっている自分が居たのも事実。時折、ツッコミは入れるけど、活動に妥協はありえない。習近平という人が、香港をどう扱っていこうとしているのかも、いまひとつ見えてこない。胡錦濤がわりと香港に甘かっただけに、不安もある。
香港市民が対峙すべきは、やはり梁何某という小役人よりも、習近平なのだろう。そう思うと、民主派ではなく、あくまでも「香港市民」がとても頼もしく見えてくるのである。今日のところは、まずは「加油!香港市民!」と言っておきたい。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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