【上方芸能な日々 文楽】「大阪市主催文楽デー」

人形浄瑠璃文楽
大阪市主催 文楽デー

市民デーいつもとは、かなり趣の違う公演チラシ。

今回は、6月7日から20日まで、国立文楽劇場で開催中の「第30回文楽鑑賞教室」のひとコマにて開催された「大阪市主催文楽デー」のチラシ。「鑑賞教室」ということもあって、通常よりも廉価な観劇料金が、「市民デー」ではさらにお安くなって2,300円。その上、文楽とはなんぞやの解説もしてくれ、さらに終演後には、三業(太夫、三味線、人形遣い)の体験もさせてくれるというのだから、年に1回と言わず、あと2,3回開催すれば、もっといろんな人たちに接してもらえるのになあ~、などと思うわけであります。

あ、大阪市主催ではありますが、「あの市長」は来ませんし(笑)、市民以外の人もお気楽に観覧できますから、次回はぜひとも!

さて、「鑑賞教室」で多くのお子たちが、文楽鑑賞を初体験するわけでして、その後、興味を持って劇場通いを始める小生のような、「まんまとその手に乗ってしまう子」もおれば、もうそれっきり一生死ぬまで文楽を見ることのない人、そのまま入門してしまう子など様々です。

ところが、小生が初めて「鑑賞教室」らしき公演で文楽を見た昭和55年の5月か6月ですが、独立行政法人日本芸術文化振興会のサイトで調べても、その公演の記録がないのです…。当時は道頓堀の朝日座。たしか記憶が正しければ『菅原伝授手習鑑』の「車引き」を鑑賞したはずなんですがね…。まだ、朝日座当時は、高校生相手の「鑑賞教室」なんてのは、記録に残してなかったんでしょうか…。

いずれにしろ、その鑑賞教室のおかげで、文楽通いも30年を超えているわけです。えらいもんです「まんまとその手に乗せらて…」(笑)。

あくまでも「教室」ですから、個々の細かい芸評など控えましょう。基本的には、若手~中堅クラスが出演します。ただそうは言っても、文楽劇場の大舞台で初めて遣う役に当たることもあるようで、もちろん一切気を緩めることはできませんから、普段の本公演と同様のハイレベルな舞台を見聞きすることができます。

演目は、安珍清姫のエピソード『日高川入相花王(ひだかかがわいりあいざくら)』、文楽解説を挟んで、「太十」こと『絵本太功記(えほんたいこうき)』<尼崎の段>。

終演後、ロビーには太夫、三味線体験コーナーが設けられ、舞台では人形遣い体験と、いずれも行列ができてご盛況何より。
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太夫体験コーナーで、実際に肩衣、袴を着せてもらう方もおれば、三味線コーナーで弾き方を教えてもらったりなど、それぞれ皆さん、熱心に質問もされ、芸人たちと記念撮影したりと、お喜びのご様子。え? アタシですか? もうねえ、こういうのん、恥ずかしゅうて、あかんのです…(笑)。

お客入りは、ざっと見渡して8割程度でしょうか。まあまあじゃないでしょうかね。日曜日なので、親子連れもちらほらと。このお子たちが、いきなり劇場通いを始めたり、弟子入りするなんてことはありえませんが、いずれ大人になって、万が一、外国人に「文楽って何?」なんて聞かれたら、日本語でも英語でも何でもいいですから、最低限のことは説明できるようになっていてほしい。それもまた「国際化」であります。何某がエキセントリックなまでに唱える英語教育だけが国際化ではありませんからね。いずれ気づく日が来ます。

来週は、「若手会」に参りまする。ここでも「太十」がかかりますが…。さて若手の腕前やいかに。こちらも楽しみであります。

(平成25年6月16日 日本橋国立文楽劇場)


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