すでに報じられている通り、香港特別行政区次期行政長官は梁振英氏で決定。
今回は行政長官選挙初の「親中派対決」となったことで、久々に香港が海外メディアの注目を浴びたが、結局のところは、「団派vs太子党」という派閥抗争を香港特区行政長官選挙に投影させたものであり、もし、この派閥抗争が国内で本格化していなければ、例のお決まり文句「香港の一層の中国化を懸念」てな一言で片づけられていたのでありましょう。
そんな香港の「中国化」を心配する前に、日本のそして日本人の「中国化」を心配しなけりゃいけないと思うのだけどねえ…。
それはさておき。
まず、お断りしておくと、小生は親中派ではないけれど、徹頭徹尾の「反民主派」だということ。民主派こそ返還後の香港をミスリードしていると思っている人間ですので、そういう視点で語りますのでご承知おきを。
国内の派閥抗争をうまいこと投影された形の今回の選挙結果だけど、何がどう転んでも、梁氏の次期長官はほとんど動かないところだったと思われます。もはや香港を離れて2年以上が過ぎた身の上で、あれこれ言うのも憚られるところではあるけれど、返還を挟んで15年間住んで、それなりに香港の政局に注目してきたわけでして、すでに前回2007年に現職の曾蔭権氏が再選された時にも、何人かの人たちと「次は誰かな?」という話題になった時、大抵は「梁振英で間違いないでしょう」ということに落ち着いていたという次第。
何ゆえか? これはもう「総合的なマネジメント力」に尽きるでしょう。別に梁さんと会ったことがあるわけでも何でもないので、断定してはいけませんが…。
今回の選挙前の対抗馬である唐さんへの「何がしかの筋」によると思われるネガティブキャンペーンの対応を見ていると、「醜聞=スキャンダル」そのものよりも、そういったことへの対峙の仕方がまったくヘロヘロで、こんな御仁には香港の行政を任せるわけにはいかんだろうというもの。
では、選挙権のない一般的な香港市民各位はもろ手を上げて梁さんを推すのかと言えば、そうでもなく、「模擬選挙」なるものの結果、約55%が「白票」を投じて、選挙自体の無効性を訴えております。
がしかし。こういったものは、だれが立候補しようと、現在のたった1200人で選出する行政長官選挙の制度の下では、同じような結果になるだろうから、そんなに参考になるような数字ではないように思う。ただ、この「模擬選挙」には20万人を超す人が投票したというのだから、香港市民の現行制度への不満はかなりのものであるのは確か。これは20数万人が「デモ」をやって、不満を示威したのと同じようなもんですな。
一応、次の行政長官選となる2017年には「直接選挙」が実現するとされているけれど、それがいわゆる「人気投票」や「流行票」にならぬことを切に願うものであります。きっとジョルダーノあたりが「普通選挙Tシャツ」なんかを大々的に売り出して、「これを着て投票に行こう」なんて商売をやるだろうなんてことは、容易に想像できる…(笑)。
で、民主派に梁さんみたいに「マネジメント力」に長けた人材があると思えず、また、親中派人士以外に中央との関係を上手にコントロールできる人材があるとも思えず。
「人気」や「流行」に乗ったがため、民主派が台頭し、結果として「民意、民主のファシズム」が吹き荒れ、香港が「デモと怒号の都市」と化してしまったのは、これまでも何度か拙ブログでお伝えしてきたとおり。
梁何某が親中派だろうが共産党「地下」党員だろうが、現行制度が「中共管理下の選挙」であろうが、それは民主派が選挙制度を攻撃するためのネタに過ぎず、要するに、香港の長たるものは、中央との関係をうまく調整できて、香港の財布のやり繰りが上手ければよいのであります。
次期行政長官梁振英が試されるのは、何よりも、そこなのであるのは言うまでもないことでありましょう
まあ、それでは返還時に「香港を見守る!」と大見得を切った西側メディアはおもしろくないのでしょうけど(笑)。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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