毎年、夏場には少なくとも1冊は野球関連の本を読むことにしてたが、今年はゼロに終わった。まあ、本よりも、実際のホークスの試合を追っかけて、ある時はテレビの前に正座し、ある時は球場に出かけることが多かったためかと思う。強い!ということは、忙しい日々を送ることでもある(笑)。で、その甲斐あってか、チームはめでたく4年ぶりにリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズも無事に勝ち抜き、日本シリーズという名の「公式戦後の勝ち抜き王者決定戦」も目前というこの時期になって、ようやく「野球本」にたどり着いた次第。それもホークスの打撃投手、濱涯康司が、自身のことを語るというではないか! そしてなんと、柳田悠岐が推薦文を書いているではないか! 読むやろ、ホークスファンなら。
『職業・打撃投手』 濱涯康司
ワニブックスPLUS新書 ¥990
2024年10月25日 初版発行
令和6年10月21日読了
※価格は令和6年10月25日時点税込
クライマックスシリーズ、日本シリーズに向けて、ナイスなタイミングで出た本書。と言うか、そういうタイミングを狙ってたのかな(笑)。上述の通り、ギー君が帯の推薦文を書いているという点で、かなりレア度が高い(笑)。
最初にご本人も断ってる通り、口述をライター氏が文章にまとめたということで、本としては、何が何だかな内容になってしまっている。ライター氏の苦労の跡が滲む一冊でもある。その分、濱涯の人間性がよく表れているようで、打撃投手・濱涯康司を知ることができる。
裏方とは言え、ホークスファンなら、誰でも知ってる濱涯康司。知らないと言うなら、それはもう「モグリ」が「ニワカ」のファンだろう(笑)。
そもそも「打撃投手」とは何ぞやというハナシに始まり、元・プロ野球選手だった濱涯のほろ苦いプロ人生の回顧、打撃投手から見たホークスの歴代の主力打者の力量、これから打撃投手という職業はどうなっていくか等々、野球好きには興味の尽きない話が並ぶ。球団の経営陣の中には、「打撃投手はコストがかかる」と言う人も少なからず存在するという現実には、驚く。また「なり手」の少なさというのもうなづける。そこには、打撃投手につきもののイップスの問題もある。これが原因で辞めていく打撃投手も少なくはないのだ。
最後に、濱涯自身、これからどうするのか…、という著者(口述者)の将来展望も。彼にはこれからもホークスの打者たちを支えてほしい気持ちでいっぱいだが、年齢を思うと、そういうことに思いを巡らせても不思議じゃない…。彼の現役時代を知る小生、つくづく「濱涯もそういうこと考える年になったんやな」と…。
新書ということで、専門的に掘り下げた内容ではないものの、打撃投手について、ざっくりと知りたい人や、「もう、ホークス関連の本なら何でもOK!」な人にはうってつけの一冊。ただ本音を言えば、本人自身は無縁だったというイップスについて、もう少し知りたいなぁというのはあったが、彼自身がなったことが無いというのだから、語りようがないわな。
念のため、刊行時点での著者のプロフィールを記しておく。
濱涯泰司(はまぎわ やすじ)
1970年10月3日生まれ。鹿児島県出身。鹿児島商工高等学校(現・樟南高等学校)、九州国際大学を経て1992年ドラフト3位で福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団。1999年に引退後、打撃投手へ転身。以後、25年間にわたり投げ続け、裏方からチームを支える。
優勝記念本はいくつか出てるけど、まあやっぱり、ベースボールマガジン社版が一番しっかりしてますよ。 |
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。