こうせつと歌おう!
年末コンサート2021~夜明けの風~
2年ぶりにコンサートに。
実は昨年もこのフェスティバルホールでの2020年ラストライブのチケットは取っていた。ところが世の中とはままならい。のっぴきならない事情が発生し、泣く泣くコンサート行きは見送った。「のっぴきならない事情」の主よ、チケット代、補償してくれよ!今年は日曜日ということもあって、「のっぴきならない事情」は発生しにくいので、その点は安心。とは言えだ。COVID-19は一向に沈静化しない。それどころか、オミクロン変異株がじわじわと広がりを見せていて不穏な空気。ま、早晩、何度目か忘れたけど緊急事態宣言か蔓延防止等重点措置になるだろうよ。そのとき、コンサートはじめ、舞台公演はまた公演中止やら順延やらの憂き目に遭うのか…。先行き不透明な年の瀬である。
この日のライブは、そんな「2年ぶりの」以上に、小生にとってはどうしても行かねばならないライブだった。
作詞家の喜多條忠が11月22日、あっちの世界へと旅立った。享年74。
喜多條さんには、ほんとうにお世話になったし可愛がっていただいた。出会いは割と最近のことで、2007年の春の日のとある宴席でのことだった。席上、小生が香港住まいだと知った喜多條さんから近づいてきて「へ~、香港に住んではんねんや」とおっしゃる。聞けば、ご自身も香港が好きで年に何回かは行っているんだと。「ほな。今度来られるときにはぜひ連絡ください!美味しい店にご案内しますよ!」と。そこがお付き合いの始まりだった。
その年の夏。風が一瞬だけ復活した「伊勢正三 LIVE in べるが2007」。喜多條さんはスペシャルゲストとして、正やんが『星空』を歌う際にステージに。ライブ終了後、会場でばったり喜多條さんに再会。それも向こうから「お~い、レスリー君!」と。恐縮である。天下の喜多條忠にこうして声をかけてもらうなんて。
そして冬。小生はあるエッセーコンテスト審査員の人選に悩んでいた。「ダメもとで頼んでみるか!」と、喜多條さんに電話(この方、ネットつかわなかったんで、すべて電話かFAXでやり取り)してみた。「おお、ちょうど香港行きたいなと思ってたとこやねん!」。二つ返事でOKもらった。喜多條さん夫妻と弟さん夫妻で来港された。「まず香港へ着いたら西多士(さいどーしー=香港式フレンチトースト)や!」と、ホテル近くの茶餐廳へ向かう。さすがリピーター。審査もうまくいき、企画はきちんとフィニッシュできた。お礼をどれだけ言っても足らない。
年明けて2004年。こうせつの武道館ライブ翌日。今度は正やんの国際フォーラムでのライブ。ライブ終演後、ロビーでばったり。「打ち上げに行こう」と、強制連行(笑)。なんかもう、喜多條さんにえらい気に行ってもらえてますます恐縮したものである。
その後、病気をされたのだが、いつぞやのこうせつの「GREEN PARADISE」の打ち上げで、久々に再会。「もう元気になられたんですね、よかったわ~」と言うと、パンパンに筋肉の張ったふくらはぎを見せてくれた。距離か歩数か時間かは失念したが、毎日相当な距離を歩くことですっかり元気になったと言われ、安心した。「今、僕も大阪に帰ったんで、今度は一緒に香港行きましょう!」と…。本格的に作詞家活動を再開されたのもこの頃だったか。歌番組で度々、「作詞 喜多條忠」というテロップを見て嬉しくなっていたもんだ。
思えば、このこうせつのライブの「打ち上げ」が喜多條さんとは最後となってしまった。もっと色々なお話を聞いて、こっちの話も聞いてほしかった…。逝ってしもたらあきませんて…。出会いからお別れまで、短い年月だったけど、色んなことを学ばせてもらい、ありがとうございました。またいつの日か!
さて、ライブだが。
タイトルが「年末コンサート」となっているが、特に「年末感」もなく、普段のライブと変わりない感じで進んでゆく。二階の端っこの方だったからか、はたまた小生の難聴がしんこうしたからかはなんとも区別のつかないところだが、とにかくこの日はこうせつの話がよく聞き取れなかった。喜多條さんのことも触れていたが、さて何を言ったのか…。ほとんどわからないまま終わった。それでも、喜多條さん作詞の『神田川』(歌わないはずはないよねw)、『妹』、『恋 はるか』を歌ってた。ほかの曲も聴きたかったなぁ…。大阪は喜多條さんの地元なんやし…。まあ、そいうのはお構いなしに、あくまで通常のライブの年内最後のステージ、って感じで進んでいくのも、ここ数年のこうせつのライブらしいと言えば、そうなんだけど…。なんかちょっとねぇ、代わり映えなさすぎて…。いや…。代わり映え、あったあった!あの全員でキラキラやってどこかの少数民族の儀式みたいな状態になる歌、なかった(笑)。
と、いつもいつも行ったはいいが、文句ばっかり垂れてるどうしようもないこうせつファンだけど、こんなご時世にフェスティバルホールでコンサートやってくれて、元気に歌っているところを見せてくれるこうせつが、やっぱ素敵だ。これからもCOVID-19に振り回される日々は続くんだろう。本当に「夜明けの風」が吹くのはいつになるのやら…。
マスク無しで、大きな声でこうせつコールがしたい。
(令和3年12月26日 フェスティバルホール)
『女房逃ゲレバ猫マデモ 』単行本 – 2008/10/1
喜多條 忠 (著) ¥1,980 (amazon.com)
数々の名曲を書いた「伝説の作詞家」が初めて書き下ろした「実感」長編小説。
(「へー、そうやったんですか」なことも多く書かれていて、びっくりしたり、ホロっときたり…。ちょっと古い本だけど、文庫も出ているのでぜひ!)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。