【支連会の黄昏】幹部逮捕、資産凍結…。もうアカンな…。

<アイキャッチ画像:警察の家宅捜査が入り、押収された「六四紀念館」のパネル。解散へまっしぐらの支連会を象徴するような一コマである。(香港01)>


実質、ファイナルカウントダウンに入った香港市民支援愛國民主運動聯合會(支連会)を取り巻く状況は、悪化の一途を辿っている。はっきり言って「こりゃ、もうアカンわ」という状況。もはや死に体である。国安法、恐るべしである。まあ、支連会側にも大いに問題はあるんだが。

香港警察は9月8日、支連会の代表4人を逮捕した。前回の【支連会の黄昏】でも記したように、香港警察國安處は8月25日に支連会常務委員らに書簡を送っていた。書簡では「支連会は『外国代理人』に属している」と指摘し、9月7日までに過去8年の財政、会議、活動記録などの資料を提出するよう要求。しかし支連会は7日、警察に「資料提供しない」と表明する書簡を送った。なんかもうねえ、「無駄な抵抗はよせ!」って言ってやりたい気分だわな…。もっとも、正直に提出すると、色んなところに迷惑かかるんだろうってことは、推察できるし、警察も素直に「ハイ、わかりました」と言わないのは想定内だろう。ってことで、警察は次の一手に。

警察に提出する「書簡」を手に、会見する支連会幹部4人。そして連中は翌朝、逮捕される by “明報”

8日朝、副主席の鄒幸彤(トニー・チョウ)と常務委員3人を逮捕するという行動に移る。あくまで警察の発表は「逮捕したのは36歳から57歳の3男1女」ということだが、誰と誰かはすぐわかる。要は、前日、警察に「警察から要求された資料は提出しません」旨の書簡を持って行ったメンバーである。鄒幸彤以外に逮捕された常務委員3人は、梁錦威鄧岳君陳多偉。さらにもう1人の常務委員で國安處に訴訟を提示した徐漢光の行方も追い、大嶼山(Lantau Island)で逮捕された。特区政府保安局の鄧炳強(クリス・タン)は「支連会は法に基づく資料提出を断固拒絶したからには、法執行の行動を取らねばならない」と説明。李家超(ジョン・リー)政務長官も「いかなる人も組織も、ひとたび法に違反すれば法に基づき処理せねばならない」と。

8日早朝、連行される鄒幸彤(左端、メガネちゃん)

翌9日、支連会は主席の李卓人らが起訴されたと発表。警務處から支連会への通知には「律政司(法務省みたいなもん)が支連会の李主席、副主席の何俊仁(アルバート・ホー)、鄒幸彤、そして支連会そのもを『煽動顛覆國家政權罪=国家政権転覆扇動罪』で正式に起訴した」との旨が記されていたとのこと。さらには、前日逮捕した鄒副主席、常務委員の梁錦威、徐漢光、鄧岳君、陳多偉を「沒有遵從通知規定提供資料罪(國安處の要求する資料を提供していない罪)で起訴。翌10日に西九龍裁判法院で公判。

こちら支連会のトップ、李卓人。小生の中では「ウザい民主派人士」のナンバーワンである(笑)。返還後の香港をミスリードした罪深き人士である、と小生は思っている by ”香港01”

またこの日、警察は午前10時から前日逮捕した支連会常務委員の梁錦威を同行させ、旺角(Mong Kok)の六四紀念館、午後は鄧岳君を同行させて、葵涌(Kwai Chung)の事務所と倉庫で家宅捜査を実行し、ドキュメント類やパソコン、パネルや宣伝物などを押収した。小生としては、次々と運び出され、まるで「粗大ごみ」のように六四関連のパネルなどがトラックに積み込まれてゆく光景に、「終わったなぁ…」という思いだった。別に支連会が終わっても、小生の日々に何の影響もないし、それは大方の香港市民とて同様なんだが、なんか、小生の香港での日々の記憶の一部も粗大ごみ扱いされているみたいで、なんともなぁ…って感じ。

華叔と趙紫陽も仲良く回収されちゃった…。

そして支連会の資産HK$220万も凍結されしまうに至り、「ハイ、それまでよ」というところだ。しかし、資産HK$220万、日本円にしてざっと3500万程度。いやいや、これは少ないやろ?いや多い?毎年、まるで「夏フェス」のような規模の六四追悼集会を開催していた団体としては、なんかしらん微妙な金額…。「多くは市民からの寄付で…」と言うんだろうけど、支連会はデモの沿道でよく募金を呼び掛けていたが、そんなに募金して行く人は見かけなかったしなぁ。透明の募金箱にわんさかと入っている金ってのは、あれは「見せ金」だろう(笑)。ま、しっかり調べてほしい点ではあるな。

さらにカウントダウンに拍車がかかる。9月13日、設立当初からのメンバーの一人、副主席の何俊仁(アルバート・ホー)が、支連会を含む3組織から脱退すると声明を発表した。

支連会、華人民主書院維権律師関注組における、すべての職務を即日辞任し、脱退するとのこと。この人物も返還後の香港をミスリードした罪深き人間の一人。民主党の顔であり、民主派系のデモでは必ず先頭グループを歩いていた。と思ったら、尖閣問題で香港中に反日・抗日の嵐が吹いた1996年秋には、反日デモの先頭グループを歩き、日本国総領事館に突撃し、領事館を一時的に占拠した筋金入りの反日人士でもある。ま、そんな人物だからだろう、2019年の「反送中デモ」に関連する多くの案件にも関与、現在は2019年10月1日の違法集結事件で服役中。15日は昨年6月4日、COVID-19感染拡大防止のため許可の出ていなかった天安門事件追悼集会を行い、多くの民主派人士とともに「參與及煽惑他人參與未經批准集結罪=違法集結の開催、参加、他人の参加扇動罪」で起訴された。何は同罪を認め、15日には、服役期間がさらに10か月延長される判決が下っている。

護送される何俊仁

9月16日には、警務處處長からの要求により、午後10時に支連会公式サイト、Facebook、Twitter、YouTube、Instagramなど電子プラットフォームなどの情報を削除した。刷新されたFacebookには、支連会の「五大綱領」(釋放民運人士、平反八九民運、追究屠城責任、結束一黨專政、建設民主中國)の文字は見当たらず。トップのバナー画像が追悼集会、アイコンに「真相」という二文字が見えるのが、ギリギリの抵抗というところか。消失した支連会の公式サイトには、32年間の「抗戦」の足跡をたどることができる様々な画像や資料がの記録されていたのだが、実に惜しいサイトを失ってしまったもんだ。ま、あくまで支連会の視点で残された資料なんで、公平性には欠けるけど、とは言え、ってもんだわな。

消失直前の支連会公式サイト。すでに五大綱領は見当たらず

すごいスピードで解散へと突き進む、今日この頃の支連会である。ま、中央が一番消し去りたかったのが『蘋果日報』とここだからな。そのための国安法でもあるんだろうし。改めて、返還とは、一国両制度とは、こういうことやよなと、実感するのである。


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