【睇戲】チョンバル・ソシアル・クラブ(英題:Tiong Bahru Social Club)<日本プレミア上映>

第16回大阪アジアン映画祭

「最低でも18:30上映開始でないと、無理だ」と嘆いていたら、あったあった、18:30のが。職場からよく見えるのになぜだか「近くて遠き」シネ・リーブル梅田と違い、地下街をフフーンって歩いているうちに到着する梅田ブルク7での上映。これなら余裕だ。それも1本は観ておきたいシンガポール映画。「わたし、定時で帰ります。」と、さっさと仕事を終えて梅田ブルク7へと向かった。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

コンペティション部門
チョンバル・ソシアル・クラブ
英題:Tiong Bahru Social Club 
<日本プレミア上映>

英題『Tiong Bahru Social Club』
中題『中峇鲁俱乐部』
邦題『チョンバル・ソシアル・クラブ』
公開年 2020年 製作地 シンガポール
言語 英語、標準中国語、福建語、広東語、マレー語、タミル語
評価 ★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

監督:陳美添(タン・ビーティアム)

出演:彭祖耀(トーマス・パン)、吳悦娟(ウー・ユエジュエン)、韓雪卿(ジャリン・ハン)、Noorlinah Mohamed(ヌーリーナ・モハマド)、陳思敏(ジョー・チェン)

【作品概要】

常に笑顔を絶やさない寡黙な男アビーは、30歳になったのを機に母と住むアパートを離れ、世界で最も幸せなご近所コミュニティを作ると謳うチョンバル・ソシアル・クラブの住み込み従業員になる。クラブでは独自のアルゴリズムで従業員の幸福度が数値化され、その向上を推奨されていた。アビーは人工知能のBravo60から様々な提案を受けるが、猫好きのシニア客ニーに振り回され、値が落ちるばかり。幸福度が最下位になると失職することを知り落ち込むアビーだったが、ニーと打ち解け、幸福度トップの女性従業員ギョークと交流するうちに、幸福度が上がり始める。<引用:大阪アジアン映画祭作品紹介ページ

う~ん、小生はこの作品から何を感じ取ればよかったのだろうか…。そこがわからないままに1時間半の上映時間は終わりを迎えた。多言語が飛び交うシンガポールらしい作品ではあったけど…。

人公のお兄ちゃん、30歳になったのを契機に、転職。同時に、母親の もとを離れて一本立ち。住み込み先というのが、摩訶不思議な会社というか集合住宅というか…。ちょっと怪しく胡散臭いカルト教団のような雰囲気の場所が住み込み先、「チョンバル・ソシアル・クラブ」での日々が描かれているんだが、近未来的なシステムの数々が、なんかシンガポールそのものって感じがしないでもない。仕事で遊びで何度も行っているが、どうにもなじまない街。ただ、メシが旨いので少し救われた気分にもなるんだけど(笑)。

AIが人間の働き具合を評価するという、もうすぐそこまで来てそうな世界が、面白くもあり、結構イヤな感じがする。特に、管理者?みたいなおねーさん、ミス・ウィーの血が通ってなさそうな言葉の一つ一つがちょいと怖い。ま、実際にはミス・ウィーが評価してるんだけど。この人自身がAIみたいで、もうねぇ…。

何が怖いかって、眉毛と前髪パッツンよ(笑) by ”Tiong Bahru Social Club Facebook”

そもそもAIが労務管理したり人を評価したりしていいのかなと。そういう時代が来るんだろうけど、そこに果たして「情」というものは通い合うのかなと…。まあしかし、あのお兄ちゃんはいわゆるマザコンだな(笑)。男子の多くはマザコンとまではいかなくとも、大体がお母ちゃん子だな。結局、この彼もお母ちゃんのもとに戻るわけだけど…。「何を感じ取ればいいのか?」などとほざきながら、こんだけ感じりゃ十分だろ(笑)。

幸福度トップの女性従業員ギョークと、管理者のおねーさんの指示で結婚したのだが…

小生が「おお!懐かしい!」と喜んだのは、2020年に取り壊された名建築「パールバンク・アパートメント」の場面があったこと。お兄ちゃんの親子が住まうアパートメントである。1970年代の建築だったのだが、あの建物はシンガポールの象徴だったなあと思う。チョンバル・ソシアル・クラブとしてロケに使われた、アールデコ風の集合住宅もまた、大戦前に建てられたものだとのこと。映像に残してくれてありがとう!監督自身にもそういう思いはあったようで、そこらへんは作品制作の意図なども含め、インタビューで語っている。いやいや、このインタビューを先に観ておけば、この映画の評価はもっと高かったと思うと、残念(笑)。

パールバンク・アパートメント by ”Tiong Bahru Social Club Facebook”

さて、チョンバル・ソシアル・クラブを「退社」して、再び母親の待つ実家に戻ったお兄ちゃん。家の中で聞き覚えのある声が…。え?ギョーク、電気工事職人になってたの?ってわけで、思わぬ形で再会した「元・夫婦」。多分、この先うまくやっていくんだろうなと、ちょっとばかり観ているこちらの「幸福度」がアップするようなエンディングだった。

TIONG BAHRU SOCIAL CLUB (Trailer)

(令和3年3月12日 梅田ブルク7)



 


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