短かった2020年のシーズンは、日本シリーズでホークス4戦全勝という圧勝で幕を閉じた。それぞれの勝因、敗因については、「専門家」の方々が語りつくしたので、ここで小生ごとき末端の一ファンがどうのこうの言うことは何もない。ただ一言「ジャイアンツ、予想以上に弱かったね」だ。今シーズンのホークスの戦いを見てきて、決して「強い!」という印象は持っていなかっただけに、余計にその思いは強い。
今回のシリーズは小生にとって、そして古くからの南海ホークスファンの皆さんにとっては、実に昭和48年(1973)以来の大阪でのホークスの日本シリーズである。小生は当時は小学校4年生であるから、どんだけ長い歳月が流れたか…。まあ、ホークスが福岡へ旅立ち、大阪市内に本拠を置くセ・リーグの球団もなく、その状態で大阪でホークスの日本シリーズなど本来はあり得ないのだが、そこは「コロナのいたずら」で、東京ドームが当初より社会人野球の日程が組み込まれていたことで、移動距離も考慮しての屋根付き大阪球場でのジャイアンツ主催試合が実現。果たして、73年同様にホークスとジャイアンツが初戦、第2戦を大阪で戦うこととなったのだ。
そんな塩梅なもんで当然、チケット争奪戦は熾烈を極めた。小生も何をどうやってもチケットが取れず、あきらめていた時、とある観戦仲間氏より「初戦、1枚余りました、誰ぞ行きたい方おりますか?」とSNSで呼びかけ。多分、一番で手を挙げたのが小生だったんだろう、すんなり決まった。なにせ「1人2枚」などという謎の販売方法なんで、相方が行けないなんて場合、どうしても余りが出る。きっとそんな事情で取れたはいいが…、と困った人もそれなりにいたんじゃないかな?
こういうご時世なんもんで、万が一感染者が出た場合に備え、入場ゲートに行く前に検温があり、検温済みの紙切れをもらってから所定の入場口へ行くことになる。さらにチケットには住所、氏名、連絡先電話を記入する用紙が付いており、これに記入することも求められる。なかなか徹底した対策である。大概面倒臭いが、これくらいやってくれると安心ではある。
さて、入場して着いた座席はレフト側のビジターエリア。チケット争奪戦では一番熾烈を極めたビジター外野席に隣接。公式戦観戦時と同じレフトの席なんだが、柵一つ違うと見える風景も格段に変化する。特にこの日は日本シリーズということもあって、このエリアにも普段とは違い、カメラマン席が設置される。我々の座席はちょうどその塊の真後ろ。
お連れが南海ホークス最終版のビジターユニ、小生が昭和48年優勝時のホームユニをそれぞれ着用しており、ちょうど「NANKAI Hawks」と言う具合に並ぶことから、カメラマンさんたちに何度も射貫かれる(笑)。案の定翌日にスポーツ紙には「得点に大喜びのファン」のP説入りでご機嫌な我々の写真が(笑)。まあ、在阪の新聞はこぞってホークスの47年ぶりの「地元」での日本シリーズと報じたから、我々は恰好の被写体ではありますわな。当の我々は、それを狙ったわけではないのに(笑)。
ジャイアンツの試合など、生で観ることはまずない。多分、これも30数年ぶりくらいのことだと思う。「へぇ~、これが坂本か~」とか色々と物珍しい。
「ほ~、ジャイアンツでも試合前に円陣組むんか!」とか、これまた珍しいもんを見るかのような目つきで眺めてしまう(笑)。しかし、それこそ、その昭和48年日本シリーズの頃なんて、ファンでもないのにジャイアンツナインの背番号なんて、「子供の常識」みたいな感じで覚えていたし、顔と名前もばっちしだったのだが、今や、ほとんど知らない。
こちら努力の子、甲斐くん。小生なんぞは、この日本シリーズ、MVPは彼でもよいと思ったくらい、リードは冴えていたし、4試合36イニングをきっちり守り抜いたことを大いに評価したい。さすが、19番!シーズン当初、なかなか思うに任せない試合が続いた時期、小生もSNSで甲斐を随分と辛辣な言葉で叩いていたもんだが、そんなファンの罵声を糧に代えて、ここまで本塁を守り切り、投手をリードしたんだから雲の上の先代19番も喜んでいることだろう。
こちらは我が軍の円陣。この日の声出しは松田だったのかな?シーズン終盤から一軍に合流した控え捕手の海野の声出しが結構評判がいいが、来季はプレーでも甲斐を脅かす存在になってほしいな。
これまた「へぇ~、讀賣さんはこんな出し物やるんか~」と思った光景。もしかしたら日本シリーズ特別ヴァージョンだったのかもしれないが。考えてみたら、オリも試合前におねーちゃんらが歌ってるわな。あれはあまり好きではない(笑)。しかし因果な話である。我が軍が泥沼時代だったころ、当時のバファローズは、大阪球場で日本シリーズを開催していた。「江夏の21球」なんてドラマも大阪球場だ。苦々しく悔しい思いで観ていたもんだが、今のバファローズファンも同じ思いだろう…。めぐる因果は糸車である。
いよいよ、両軍の監督、コーチ、ベンチ入り選手がコールされ、三塁線、一塁線に居並び、日本シリーズの幕が切って落とされる。やっぱ、こういうのはワクワクスするね。小生自身、6年前の甲子園でのタイガーズ戦以来の日本シリーズ。そう言えば、あの時もこういうのあったかな?忘れてしまった(笑)。
両軍の先発メンバー。CSではさっぱりわやだった栗原がデスパイネを差し置いて5番とはこれいかに?と思いきや…(笑)。もちろん、先発投手は早くからの予想通り、菅野と千賀。投手戦の予感。もしくは千賀、四球連発で自滅か?(笑)
日本シリーズ第1戦(H・1勝)
勝:千賀(1勝0敗1S) 負:菅野(0勝1敗S) 本塁打:栗原1号2ラン(2回・菅野)
観衆:16,489人
こちらは、我が軍先発の千賀。「安心と信頼の大エース」とはとても言い難く、毎シーズン、相当ストレスのたまる試合が多い。この日の投球を大絶賛する解説諸氏も多かったが、小生らにすれば「あんた、シーズン中に千賀の試合をほとんど見てないやろ」と言いたい(笑)。ジャイアンツは低目の球、勝負球のフォークを徹底的に手を出さずに粘ろうとしたが、甲斐がそれを察知し、フォークを決め球にあまり使わなかったのが奏功した模様。ま、外野から見てる分には、そこまではわからなかったけどね(笑)。
そんな千賀大絶賛の大きな理由の一つが、初回に敵軍主砲の岡本のバットをへし折る内角攻めがあったのは確か。衝撃的だったんだろうな、普段、ジャイアンツ戦中心にセの野球ばかり見ている人たちには。でもねぇ、パにはあんな投手、ゴロゴロおりますからね。結局、今シリーズも岡本はパッとした打席はなかったね。
今シリーズ、「栗原に始まって栗原で終わった」ようなもんだ。2回表、先頭のグラシアル、安打で出塁。ここで「5番」栗原。「あいつ、打ちよるで~」とお連れと話してたら、ホンマに打ちよった(笑)。右翼席へ先制の二点本塁打。大声は出せないけど、そのギリギリの歓声で大いに盛り上がるホークスファン。いやいや、恐れ入りました。
ブレブレになってしまったけど、ベンチ横のテレビカメラに向かっておなじみのポーズ。この日、栗原は3打数3安打1四球4打点の大活躍。翌日も5打数4安打。これでもうMVPを90%手中に入れたようなもんだ。CSは散々だっただけに、ここまでの活躍は誰も予想はしなかったけど、「何かをやらかす子」。今シーズン、開幕戦でサヨナラ安打を放ってヒーローになった栗原、日本シリーズもMVPに輝き「元気100倍アンパンマン!」で締めた。いやもう、痛快、痛快。キャンプ中から「今年は、栗原よ、栗原!」と言ってきた小生(と言うか、多くのファンがそう感じていたw)も、一緒になって「アンパンマン!」と叫びたい気分だった(笑)。ただ、来季は各球団のマークきついよ~。パ・リーグは怖いところよ~(笑)。
世界の福本に「見るのが楽しくてしかない」と言わしめる、新世代の盗塁王、周東。出塁したらがらっと球場の空気が変わる。すべての観客の目が、その足に注目する。この空気感、福本以上よ。この日は8回表に四球で出塁。そしてもはや余裕の盗塁。捕手も投げる気なかったような…。次の打者、中村晃の適時打5点目のホームを踏む。足が速いっていいなぁ…。栗原が絶好調だったのとは裏腹に、周東はいいところなし。盗塁もこれ一つに終わった。ただ、シーズン中はミスが重なりベンチで悔し涙を流していた課題の守備は、手堅くこなしていたので、それはそれでよいではないか。
千賀は7回を無失点でマウンドをモイネロに託す。こちらさんはそれこそ「安心と信頼」の投球。打者4人に対し、奪ったアウトがすべて三振の快投。そして9回は森が登板といういつものパターン。
どうもシーズン終盤からCSにかけてスイスイとはいかない森。満塁のピンチにたまらず甲斐がマウンドに駆け寄る。ウィーラーに犠飛を放たれ、1失点するもなんとか乗り切って試合終了。結局、森はシリーズ通してスキッとしなかった。減量あるのみやな(笑)。
ホークス、実に47年ぶりに大阪で日本シリーズ勝利。あの時も初戦は大阪で勝ったのよ。でも、そこから4連敗…。戦力が全然違うから、それはないとは思っていたが、2年連続でジャイアンツに一つも勝たせなかったってのは、逆に相手のことを心配してしまう…。ま、どでもええけど(笑)。
工藤監督君に続き、ヒーローインタビューの栗原。もちろんこの日は「アンパンマン」はなく、いたってまじめな受け答え。ほんと好青年ですよ、彼は。
ま、そんなこんなの日本シリーズだった。とにかく1試合でも行けてよかった!まじめに暮らしておれば、なにかいいことにも巡り合うもんだ!(笑)
(令和2年11月21日 大阪夜間)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。