【睇戲】『ゴールデンジョブ』(港題=黄金兄弟)

チラシに「ヤツらが帰って来た!」ってデカデカとキャッチコピーが載って、その「ヤツら」が思わず「おおおお!」と叫びたくなるメンバーなもんだから、てっきり「あのシリーズ」の最新版かと思っていたんだが…。

「あのシリーズ」、そう、1990年代に小生が魅了された『古惑仔』シリーズ。あれはよかったねぇー。小生も若かったこともあるけど、灣仔(Wan Chai)の映画館で思いっきりその世界に浸った直後、ネオンの洪水の果てに広がる夜空を見上げ、何のまじないか知らんが「よっしゃ!」と拳を握りしめたりして(笑)。

ずっと頑なにIVYやプレッピーで通していたのに、あのシリーズの影響をモロに受けてしまい、テロテロの生地の襟のでかいシャツのボタンを3つ、4つ開けて着るとかしちゃって、主人公のマークを気取ってみたりして、もう、今思い出すと、小生も随分可愛らしいとこあったんやな、って感じだわな(笑)。

そんな懐かしいメンツが揃って、さてどんな作品に仕上がったのか…。

ゴールデンジョブ 港題『黄金兄弟』

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

港題『黄金兄弟』 英題『Golden Job』
邦題『ゴールデンジョブ』

公開年:2018年 製作地:香港
言語:広東語 評価:★★★★★
出品人(製作総指揮):成龍(ジャッキー・チェン)、曾志偉(エリック・ツァン)
監製(プロデューサー):曾志偉
導演(監督):錢嘉樂(チン・ガーロッ)
領銜主演(主演):鄭伊健(イーキン・チェン)、陳小春(ジョーダン・チャン)、錢嘉樂、林曉峰(ジェリー・ラム)、謝天華(マイケル・ツェー)、曾志偉、倉田保昭、張雅玫(チャン・ヤーメイ)、紀焕博(ロック・ジー)、魏允熙、蔣中煒
友情演(友情出演):張宇(フィル・チャン)、劉偉強(アンドリュー・ラウ)
特別演出(特別出演):佘詩曼(カーメイン・シェー)
主演(出演):周比利(ビリー・チョー)、吳永倫(アラン・ン)、セルゲイ・オノプコ(Sergej Onopko)

思い出は『古惑仔』とともに…

う~ん…。ただただ、懐かしいねー。 巢皮役の朱永棠(ジェイソン・チュー)は最近見かけないけど、他の4人と錢嘉樂(チン・ガーロッ)は結構いろんな作品で見ているので、個々にどうこうはないけど、当時のポスター見れば、思い入れが変わってくる。

でも、よくよく90年代の『古惑仔』のメンバー見ると、当時の「アイドル映画」でもあったんだなと。アイドルユニットの風火海(朱永棠、陳小春(ジョーダン・チャン)、謝天華(マイケル・ツェー))の3人と鄭伊健(イーキン・チェン)、そしてDJに司会に活躍していた林曉峰(ジェリー・ラム)が人気漫画の映画化で主演するってので、やる前からヒットは約束されていたようなもんだけど、シリーズ化して世紀をまたぐまで続いたのだから、大したもんだと思う。最後の方は、物語が壮大化しすぎて、つまんなくなってしまったのが残念だけど。

そう言えば、『古惑仔』の監督、劉偉強(アンドリュー・ラウ)も今回出演している(笑)。なんか強引に割って入った感じがしたけど(笑)。

『古惑仔』の思い出話はそろそろやめて、この作品についてあれやこれやと…。

甘口評 「能同苦 能同甘 做兄弟 有今生 有来世」

主役5人がそれぞれに個性を活かしている。これは監督の錢嘉樂(チン・ガーロッ)の手腕によること大だろう。普段から仲の良い5人なので、チームワークの良さが、随所に見られた。ストーリー展開も、妙にこじくりまわしたという感じはなく、ストレートに伝わってきた。「ああ、昔の香港のアクション映画ってこうだったよな」という感じ。小生は、香港映画はそれでいいと思っているので、ストレス発散にはちょうど良かったが、映画に色々なものを求める人には、「なんだよ~」って感じだったかも。

福岡でのカーアクションシーンは圧巻。が、「これ、絶対に福岡とちゃうで…」と思って観ていたら、エンドロールを見るに、どうやら台湾の桃園だった模様。また、舞台が熊本の山村に移ってからは、我らが倉田保昭が登場し、ちょっとだけだが、アクションシーンを見せてくれる。ちょっとだけとは言え、72歳であの動きは「さすが!」の一言。

『古惑仔』とは、5人の背景もほかの出演陣も全く異なるけど、「能同苦 能同甘 做兄弟 有今生 有来世」という、仲間を愛する精神は『古惑仔』シリーズが受け継がれ、今も生きているという感じで、当時に思いを馳せてしまう。そこが狙いなんだろうけど。でも、5人いたら1人はそこからはみ出てしまう奴がいるんだわな、これが…。そんな役どころを謝天華(マイケル・ツェー)が好演。

とにかく、小生の好きな俳優が出ているのがいい(笑)。主役5人からしてそう。特に陳小春(ジョーダン・チャン)は、映画デビュー作『晩9朝5(日本未公開)』から注目している。役としてのこの5人の中でも、彼の役どころがクールと激しさが表裏一体となって、かっこよかった。林曉峰(ジェリー・ラム)もいい。俳優というよりは、商業電台のDJであり、TVBのバラエティー番組の顔というべき存在だったので、在住中は、彼の顔をテレビで見かけない日が無いといっていいほどだった。5人の中では一番楽し気に演じていたように感じたのは、これまでに確立したキャラの印象によるところも大きいだろう。兄の林海峰(ジャン・ラム)共々好きだな。

青年時代の火山(演・陳小春)として小生イチ押しの岑珈琪(カキ・シャム)が出演しているのも、イチ押しだから見逃せない(笑)。彼はもっと日本でクローズアップされていいと思うけどな…。小生の観た作品には結構出ているんだし…。

主要メンバー以外では、台湾の人気歌手、張宇(フィル・チャン)が渋い演技を見せていた。結構、この人のCD持ってるんだわ(笑)。

ま、何がいいって、「香港の監督が、香港の俳優を主役にして、広東語で香港人に向けて作った」映画ってところ。その割には、ロケ地はほとんど香港以外だったけど…(笑)。とにかく、キャスト、スタッフの「香港映画を撮りたい、観てほしい」という思いにあふれた作品だった。

《黃金兄弟》主題曲 「一起衝一起闖」

これはいい歌。5人で唄う主題歌「一起衝一起闖」。結構耳に残る。

本編ではカットされたようだけど、エンドロールで見事なヌンチャクさばきを、日本のブルース・リーキッズこと今井竜惺くんが披露していた。やっぱり、エンドロールはちゃんと見ておかなきゃいかんね(笑)。

辛口評 やっぱり、イーキンは「マーク」、小春は「山雞」でないと…

言うまでもなく「羊頭狗肉」だ。日本語チラシの「ヤツらが帰ってきた!」のキャッチコピーは、なんだったんだと。やはり鄭伊健は獅王でなく「陳浩南=マーク」じゃないとダメだし、小春は火山ではなく「山雞」でないとダメだ。「ヤツらが帰ってきた!」と言う以上は…。牧師さんもいない、任達華(サイモン・ヤム)も黃秋生(アンソニー・ウォン)も出てこない…。どの口が「ヤツらが帰ってきた!」と言うんだ。ま、「久々に5人で映画やって楽しかったね」「ホンマやな」っていう、普段からの5人の友情を確かめ合った、そこにお付き合いさせられたってところだな。

◆◆◆

ま、「香港映画らしい香港映画ではあったな。王道とでも言うか。「義兄弟の絆」「アクション」「爆発」「裏切り」「日本の鄙びた温泉宿」…。香港人が映画に求める要素がてんこ盛り。そこは嘉樂仔、よくわきまえている。

しかし、鄭伊健って変わらないねぇ…(笑)。

第2屆最港電影大獎
「最も愛された作品賞」ノミネート
第38屆香港電影金像獎
「最優秀アクション設計賞」ノミネート: 錢嘉樂、吳永倫(アラン・ン)、鄧瑞華(ジョニー・タン)
「最優秀音楽賞」ノミネート:陳光榮(チャン・クォッイン)
「最優秀歌曲賞」ノミネート:『一起衝一起闖』作詞/馮曦妤(フィオナ・フォン)、作曲/陳光榮、朱雋言(チュー・チュン・イン)、歌/鄭伊健、陳小春、錢嘉樂、林曉峰、謝天華

【終極預告】《黃金兄弟》9月20日 江湖重聚 Golden Job

(2月16日 シネマート心斎橋)


ゴールデン・ジョブ [DVD] ¥2,982

製作総指揮ジャッキー・チェンが放つ、本国興収ランキングNo.1メガヒット・アクション超大作!!
男たちの新たなる挽歌がはじまる――

(Amazon.com)


1件のコメント

コメントを残す