『アイスマン 宇宙最速の戦士』
港題=冰封俠:時空行者
シネマート心斎橋で開催中の「2019中華最強映画まつり」。いつまでやるのか知らないけれど、2作目を観に行ってきた。
これまでも拙ブログで何度も記してきたが、小生とはまったく生年月日が同じ、世界的功夫アクション俳優、甄子丹(ドニー・イェン)が主演である以上、観ないわけにはいかんだろ?
ただ、この作品、前作を観て非常に落胆したわけで、今回もあまり期待はしていない。というか、もう観る前からなんとなく今回もがっかりするのは、わかっていたのだ。それでも、まあそこは、生年月日が同じというよしみで、観たわけだが、もうこれがねぇ…。
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
港題 『冰封俠:時空行者』
英題 『The Frozen Hero II、Bing Feng Xia II』
邦題 『アイスマン 宇宙最速の戦士』
製作年 2018年
製作地 中・港合作
言語 広東語
評価 ★(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督):葉偉民(イップ・ワイマン)
動作導演(アクション監督):喻亢(ユー・カン)
領銜主演(主演):甄子丹(ドニー・イェン)、王寶強(ワン・バオチャン)、倉田保昭、任達華(サイモン・ヤム)、黃聖依(ホァン・シェンイー)
+++以下、そこそこネタバレありにつきご注意!+++
いきなりだが、「超辛口評」からいこう。
【超辛口評】
前作を観て、散々こき下ろしたときに「残念だ」を連発した稿がこちら。
という次第だった。で、続編となる今回だが。
とにかく筋立が雑すぎて、笑っちゃうほどだった。特に前半は、前作のシーンがやたら多く、それが落ち着いたと思ったら、今度はつぎはぎみたいなシーンの連続で、「おい、場面飛ばしすぎやろ!」みたいなね。
ドニーを筆頭に、いい俳優が揃っているのに、これはあんまりだ。葉偉民(イップ・ワイマン)監督も大したことないよな、思わざるを得ない出来だ。それでも個々には見せていた。大御所の倉田保昭も徳川幕府転覆を企てる倭寇の北条将軍なる役どころで、終盤にはドニーと大立ち回りを見せていたし、小生イチオシの正真正銘の嵩山少林寺出身者、王寶強(ワン・バオチャン)なんて、切ない最期を迎えながらも、冴えわたるアクションを見せてくれた。彼なんぞはあそこで終わりにしないで、もうひと頑張りする展開が観たかった。
で、当のドニーだが、「あんた、これでいいの?」ってくらい、ほとんどアクションシーンが無いし、ホンマに出演していたのか? ってくらい、主役としての存在感が希薄だったのだ。妙に存在感を感じたのが、故郷の村人たちとの「WAになっておどろう」シーンくらいなんだから、こりゃもう、なんともはやな状況である。
それにしても気の毒なのが、現代から明の時代へ連れ来てしまったがために、命を落としてしまった黃聖依(ホァン・シェンイー)演ずるミンである。あの死に方は納得いかんのだ。と言いつつ、最初から最後まで「納得いかん」の連続なのだがね(笑)。
そしてそして…。あの終わり方はなんじゃらほい? ってハナシだ。ホンマ、堪忍してくださいな…(笑)。それこそ「続きあるよ!乞うご期待!」って残尿感満載の切れ方やったけど、もうこれで結構です、この先、要りませんから! マジで!
【ちょっと甘口評】
21世紀の香港からタイムスリップしてきたミンが、ドニー演ずるホーインの故郷の村娘たちと並んで、21世紀から持って来た顔パックをしているシーンは、「ああ、香港映画だな~」と思った。あえて言えば、そこは甘く評しておく(笑)。そこくらいしかないね、まったくもって…。
【余談】
ドニーが公開を承服していないにもかかわらず、プロモーション活動なんぞもないままに、製作サイドが一方的に公開した本作。結局、前宣伝しなかったから、当たり前のように不入りとなるのだが、大陸での公開後、製作サイドは「不入りの責任は主演のドニーにあり」との声明を出したというから、ドニーにすれば穏やかなはずがない。この声明に対し、ドニーは自身の微博(大陸のSNS)で、実に20項目にわたって反論。法的措置をとるよと。
その後、このゴタゴタがどうなったのかは知らないけど、「宇宙最強の男」が、こんな侮辱を受けたら、黙ってはおれんわな、そりゃ。ホンマにもうねぇ、やっつけてしまえ、あいつらを! 微力ながら、いやまったく役に立たないけど、応援してますよ!(笑)
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三連休中日ということもあってか、それなりにお客は入っていた。やっぱりドニー人気だな。でも、前席の二人連れから苦笑が漏れ聞こえてきたことからもわかるように、ドニーの値打ちを下げてしまうような一作だった。ドニー君、もうこんな製作会社とはかかわらないように、頼みますわなぁ…。
冰封侠:时空行者 – Official Trailer
(平成31年2月10日 シネマート心斎橋)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。