『恋するシェフの最強レシピ』
(中題=喜欢·你)
怒涛の大阪アジアン映画祭も終了し、「当分、映画はご勘弁」といきたいところだが、なかなかそうもいかない(笑)。久々に金城武をスクリーンで観る機会が訪れた。原題が繁体字で『喜歡·你』。決してBEYONDのヒット曲じゃない(笑)。歡と你の間に「・」が入っているだろ? ま、それはさておき、それほど期待もせずに、ホント、ぶらっと映画観に行ったという感じで、鑑賞した。
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
中題 繁『喜歡·你』 簡『喜欢·你』
英題 『This Is Not What I Expected』
邦題 『恋するシェフの最強レシピ』
製作年 2017年
製作地 中国、香港
言語 標準中国語
評価 ★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)
導演(監督):許宏宇(デレク・ホイ)
監制(プロデューサー):陳可辛(ピーター・チャン)
領銜主演(主演):金城武、周冬雨(チョウ・ドンユィ)
主演(出演):孫藝洲(ソン・イーチョウ)、奚夢瑤(ミン・シー)、楊祐寧(トニー・ヤン)、張國柱(チャン・クオチュー)、高暁松(ガオ・シャンソン)、林志玲(リン・チーリン)
香港の俳優が出ていないのに、製作が中国と香港とはこれいかに(笑)。監督とプロデューサーが香港人だからのか? 舐めてんのか?と言いたい気持ちをぐっと抑えて…(笑)。にしても、中国俳優と台湾俳優がこんなにもコラボする時代になっているんやなと、改めて時の流れを実感する顔ぶれ。
許宏宇(デレク・ホイ)にとっては、初めての監督作品。師匠とも言うべき陳可辛(ピーター・チャン)のプロデュースの下、どんな映画を撮ったのかというのも見どころ。
【甘口評】 次々と並ぶ創作料理の数々はシズル感満載、筋書は安定路線で、ゆっくりと映画を楽しめる。娯楽作品としては、上出来。
周冬雨(チョウ・ドンユィ)は、昨年の大阪アジアン映画祭で観た『七月と安生』以来。「ちょっと苦手な子」という印象だったが、今回は作品自体が明るくて楽しいし、彼女もトラブルメーカーな料理人女子を楽しむように演じていたので、「ちょっといいかも」と認識改めた次第(笑)。金城武とのコンビもテンポよく歯切れよく、さすが「中国13億人の妹」(すごい表現だなww)のことはある。
一方の金城武は、ぴったりはまった役どころ。世界の味を知り尽くした「絶対味覚」を持つ実業家で、ビジネスにも食事にも常にパーフェクトを求める高慢な男ってのが、実によく似合っていたが、変質者扱いされてブタ箱に入れられるなど、ドジな一面とのギャップで笑わせてくれたりも。
「シズル感満載」と記したが、小生のような貧乏人には「出前一丁」の美味い作り方が、非常に参考になった(笑)。パンフによれは、あれは陳可辛(ピーター・チャン)の事実上のヨメはんである呉君如(サンドラ・ン)のレシピやそうな。
ラストあたり、上海の旧フランス租界地の老朽化したアパートの一室からの夕陽は最高。ここに限らず「画になる」場所をロケ地に選んでおり、この辺は許宏宇(デレク・ホイ)の手腕なのか陳可辛の趣味なのか…。どうも後者っぽいね(笑)。
【辛口評】 許宏宇(デレク・ホイ)は初監督作品で、かなり頑張ったんだろうけど、どこからどう観ても、小生には「陳可辛(ピーター・チャン)の映画」に見えた。それだけに陳可辛の手を離れた許宏宇の次回作に期待したいところ。
【甘口評】で誉めた周冬雨(チョウ・ドンユィ)は、確かに良かったけど、エキセントリックさがいささか鼻につく役が板についてしまいそうな感じがする。そういう役だから彼女を選んだとすれば、重大なキャスティングミスだろう。台湾のスター、楊祐寧(トニー・ヤン)、林志玲(リン・チーリン)の使い方にも不満アリ。この程度の役回りなら、別に他の人でもいい。
金城武演じる路晋の父親役に、『牯嶺街少年殺人事件』で小四の父親を演じていた張國柱(チャン・クオチュー)。実に懐かしい顔。映画にはコンスタントに出演している模様。息子の張震(チャン・チェン)共々、もっともっと日本で出演作が公開されることを期待したい。
ま、とりあえずは「ぶらっと映画観に行く」には、ほどよく楽しめる作品だった。
【最新電影預告】《喜歡你》(This Is Not What I Expected) 5月4日 食住你
(平成30年3月23日 シネマート心斎橋)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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