【睇戲】『インターチェンジ』(英題=INTERCHANGE) <日本プレミア上映>

第12回大阪アジアン映画祭
コンペティション部門

『インターチェンジ』(英題=INTERCHANGE)

postericomマレーシア、インドネシア合作作品、今映画祭で2本目の鑑賞である。つい数年前まで、この方面の映画には全く興味がなかったのだけど、昨年のこの映画祭でマレー作品(と言っても監督・主演は香港人で広東語だから100%香港映画w)とベトナム作品、シンガポール作品を観て「これは見過ごしては勿体ない」と思い、今年は一気にエリア拡大となった次第。同じマレーシア、インドネシア合作作品と言っても『うちのおバカ社長』とは全くテーストの違う作品で、この方面の作品への興味は増す一方である。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

interchange英題 『INTERCHANGE』
邦題 『インターチェンジ』
公開年 2016
製作地 マレーシア、インドネシア
言語 マレー語、英語

評価 ★★(★5つで満点 ☆は0.5点)

監督: Dain Iskandar Said(デイン・イスカンダル・サイード)

主要キャスト:Shaheizy Sam(シャヒジー・サム)、Nicholas Saputra(ニコラス・サプトラ)、
Prisia Nasution(プリシア・ナスティオン)、
Iedil Putra(イーディル・プトラ)、Alvin Wong(アルヴィン・ウォン)

なんとも悩ましい一作であった。ジャンルで分類すれば「クライムサスペンス」ってことになるんだろうけど、いやそうとも言えないなと…。じゃ何がどうしてそう言わせないのか?と聞かれても、ただただ回答に窮するのみなのだが。一応、サイン会の時に監督さんには「朝から(11時の上映だった)とてもファンタジーな気分を味わいました!」と言っておいたが、監督さん「そいつはよかった!ありがとう!」って(笑)。

次々と発見される「猟奇殺人事件」の遺体が、なんかねえ、全身から血管が引っ張り出されているという、かなりエグいもので、その事件を追っているうちにボルネオの絶滅したティンガン族の神話世界が…って筋書なんだけど、この辺が、日本で生きる日本人には理解の範疇を超えているような話になる。が、もし日本人でも東南アジア島嶼諸国に在住歴があれば、なんとなく薄らぼんやりとでも「ふふ~ん、ああ、そうかそうか」ってことになるのかな?

笑顔が素敵な、お友達にいてほしい雰囲気の監督さんでした!

上映後の舞台挨拶で「これは一言で言えば『大人向けの困った人々の映画』というところ。西洋映画を取り入れつつ、私自身の文化的背景を含めながら作ったら、こうなった」と言う。絶滅したティンガン族なる部族は「神話も含めて創作。ボルネオなどで部族の取材や調査はしたが、特定すると問題もあるので、敬意をこめて作った」。「作品ではファンタジーとして古代の部族を描いたが、現代の我々にも昔ながらの部族的な考え方も残っている」。なるほどなるほど。上映後よりも上映前に聞きたかったこういう話は。ある程度の「予習」としての事前情報がほしいところだわな…。

主要キャストはインドネシアの俳優。「国境で分かれてはいても、インドネシア島嶼一帯は昔から『サンタラ』と呼ばれ、文化的一体感があり、伝説や物語、文化的背景を共有しているので、シンガポールやフィリピンの人とも今後一緒に仕事をしたい」。まさに多民族国家にして多言語国家せあるマレーシアの映画人ならでは発言。
何度も言うけど、世界は広いねぇ~、知らないことが多すぎるし、知っておくべきことを知らなさすぎるねぇ~、ホンマに。

「ファンタジーな気分」って監督さんにほとんど社交辞令みたいなこと言ってる小生だが、実際のところは、その血管引っ張り出されつくした殺人死体や、人間が怪鳥に変身していくシーンなどはもはや「気色悪い」以外の言葉は見当たらなかったわけだが、これがマレーシアの映画好きのネット書き込みなんぞを眺めていると、意外にも「こういうのを待ってたんだ!」とか「これこれ!いつも僕が言ってるようなことが映画になってるよ!」とか好評な模様。これは一度、マレーシアに行かねばならないね、行ってみたら「ああ、そういうことか!」って気づくことがいっぱいあると思う、小生がアホでなければね(笑)。
まあ、こういう作品に触れるのも、またこの映画祭ならではの楽しみでもあるわな。

Interchange Official Malaysia Trailer

(平成29年3月10日 ABCホール)



 


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