香港大學
トラムと徒歩で西を目指し、行きついた石塘咀(Shek Tong Tsui)のお気に入りポイントである山道(Hill Road)の高架道下に、「ようお越し」とばかりに口を開けて待っていたMTR「香港大學站」のB2出入り口に誘われるままに進入し、香港大学構内直通のエレベーターに乗り込む。総勢10人近く乗り込んだと記憶するが、まだまだ余裕の結構大きな籠であった。乗り込みメンバーは小生以外に、明らかに港大生が2人、あとは見るからに大陸観光客、港大ご近所住まいと思しき家族連れ、散歩中にふらりと立ち寄った風情の老カップルという感じだったか。
この大学の偉いなあと思うのは、かくのごとく万人に門戸を開放しているという点である。小生のような卑俗な輩が出入りしても、一向にかまわないのであるから実に寛大である。と言いながらも、門戸をあまりにも開けっぴろげにしすぎてか、昨今は大陸からの留学者や進学者の増加にともなって、学生会の意思統一もままならぬという困った現象もあるようだ。2014年の「雨傘行動」後、香港大学学生会は、雨傘の活動主体であった「香港專上學生聯會=學聯」からの脱退を学生会の投票で決定している。離脱の背景にはこうした大陸系の学生の動向が作用したと言われているほどである。
MTR直結のエレベーターは学内のMTR・C1出入り口に到着。
久々の香港大学である。言っとくけど、別に卒業生でも留学していたわけでもない。仕事でちょいちょいお邪魔したり、土曜の午後などにぶらっと散歩がてらに学内をうろちょろしていただけの話である(笑)。
アパート群の隙間からではあるけど、海も見えてなかなか景色もよいのである。ちなみに向こうに見えるストーンカッターズ斜張橋(昂船洲大橋)の主塔のほぼてっぺんまで上って工事を見学させてもらったことがある。あれは絶景だったなあ~。
土曜日と言うことで、あいにく生協は休みだったが「香港大學訪客中心(HKU Visitor Centre)」なる、要するにお土産コーナーに立ち寄ってHKUグッズをあれやこれやと購入。せいぜいマウスパッド程度にしておこうと思っていたのが、あれもこれもと目移りしてしまい、結局HK$850(約1万3600円)も買い物してしまった。エコの殿堂たる香港最高学府は、買い物客にも手提げ袋など一切用意してくれないから、リュックに詰め込んで持ち帰ったという次第。しかし、なんでこんなに買ってしまったのか…。ほんまに変なところに金を落としてゆく、香港観光局的には「う~ん」と唸りたくなるような客人であろうことよ(笑)。
ところで、ここの学生。香港最高学府にしてアジアでも有数のお賢い大学だけあって、非常に優秀なお子達揃いなんだろうが、それゆえか非常に政治色の濃い大学でもある。「意識が高い」と言えば聞こえはよいが、先述のように大陸からの学生との軋轢もあって、そこらへんは結構きな臭いものも感じてしまう。その象徴がこの「國殤之柱」の存在である。
学生食堂と学生自治会のある建物の中庭(黃克競樓平台)にあるこの「國殤之柱」は、デンマークの彫刻家・Jens Galschiøtの手による天安門事件のモニュメントである。これが港大に設置されるにはすったもんだの大騒動があったわけだが、しれっとした顔で今ここに聳えていることを思えば、この大学の政治色の濃さを思わずにはおれない。まあ、我が大学生時代を振り返るに、そのあまりにものノー天気さにはひたすら恥じ入る他はないのだけど(笑)。
折しも、学生会では2017年度の中央幹事会の選挙戦真っ最中。候補者のポスターは統一デザインなのね、そしてネクタイの色も決まってるのね! もしかしたら、この顔ぶれの中に未来の香港特区行政長官が生まれるかもよ、って思わせてくれるあたりが、やっぱりそこは香港大学、お賢いお子達が集う学び舎である。
荷物が一気に増えたのと、昼も過ぎて腹が大概減ってしまったので、一旦、宿泊エリアに戻りまひょかということで、再びエレベーターで地面の下に下りて、MTRで一気に銅鑼灣(Causeway Bay)に戻るとした。繰り返すが、あっという間に銅鑼灣にたどり着くことに、「はぁ~、えらい時代になったもんでんな~」と感動するやら感心するやら…。って、「街歩き」などとタイトルつけながら、実際には大半を電車に乗っているという、この事実(笑)。
雲呑麵
お昼に選んだのは、雲呑で有名な「池記(Chee Kei)」。いつ行っても大入り満員のこの店、そないに旨いかと聞かれれば、「う~ん、そうやなぁ」と前置きした上で「嘛嘛D啦~」(ま、こんなもんかな)ってところ。探せばもっと旨くて安くて親切で空いている店はいくらでもあろう。
しかし高い。高すぎる。もうこれは客を舐めてるレベルの料金だ。雲呑麺とゆで菜っ葉(この日は油菜/やうちょいを選択)の組み合わせで、なんと日本円でほとんど1000円である! 良心的な店ならおそらくコーラの1本でもついて、せいぜい500円くらいだろう。おまけにこのセットの雲呑、「鮮蝦雲呑」ではないから、ガイドブックなんぞで紹介されるような「プリプリの蝦」が入っているわけでなく、「ああ、そう言えば蝦入ってるかな?」と記憶に残らないほどの蝦しか入っていないという曲者である。「プリプリの蝦」が入っているものを所望するなら、さらに300円程度のプラスが必要となる。奉公先のすぐそばにありながら、ここへ昼飯に来た記憶がないのは、その行列へのうんざり感は当然のこととして、なによりこのお代のすさまじさにある。
天星小輪
で、わーわー文句を言いながらも、汁一滴余さずに完食してホテルに戻り軽く昼寝の後、夜の約束に向けて九龍半島側の旺角(Mong Kok)目指して出発。
九龍側へ行くには、香港島との間に横たわるビクトリアハーバーを越えることになるわけで、中環(Central)もしくは灣仔(Wan Chai)から天星小(Star Ferry)、MTR、バス、泳ぐ、などの手段があるわけだが、時間に余裕があったので、灣仔から天星小輪にて船乗り込みすることとした。
無事に九龍半島は尖沙咀(Tsim Sha Tsui)にたどり着き、またもやMTRに乗って旺角に到着で目出度し目出度しと相成った次第。
(つづく)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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