アナタの知らないマカオ
澳門祖國回歸15周年
しかし薄情というか、あまりにも無関心が過ぎるというか。あれだけ香港返還については、まるで日本国の一大事のように大騒ぎしながら、その隣のマカオの返還については、「…ってなわけで、マカオも」みたいな扱いだった我が国の報道。そしてこの返還15周年も、香港のあの騒ぎの「後付け」みたいな扱いしかしてもらえず、とことん不憫なマカオである。ま、拙ブログもその誹りを免れないのだが。
「ってなわけで」、マカオがポルトガルから祖国回帰して12月20日でちょうど15年。あの日、香港もマカオもとびきり寒かった。拙ブログでも何度も触れてきたが、マカオへ飛んで行き、香港に続いてマカオの返還の瞬間もその地で迎えたかったのだが、数日前からたちの悪いインフルエンザに苦しんでおり、天井がグルグル回って見えているような状況では、マカオどころか、近所のコンビニへ水を買いに行くことすらままならず、テレビでぼ~っと眺めているしかなかった。
そんなマカオへ、習近平国家主席も到着。祝賀行事に列席したわけだが、その前には香港からマカオ入りしていた梁振英香港特区行政長官とも会談。CYは、「とりあえずは道路占拠という情況は脱しました!」との報告をした模様。でもせっかくだから、香港にも寄ればいいのに。また香港は大混乱するだろうけど…。フェリーで50分ほどの距離なのに、もったいないねぇ…。来いよ、習近平!
で、習主席は到着と同時に、「『一国二制度』と(マカオの憲法に当たる)『基本法』に導かれた正しい道を歩むことで、マカオが必ずますます安定し、良くなると信じている」と、開口一番。もちろん、香港の混乱を念頭にした発言でもあるわけだが、マカオも近頃は民主派が声を上げるようになって来て、返還当初のように『一国兩制度』が今後も順調に推移してゆくとは思えない。いまのところ香港ほど派手にはやってないけど、そう遠くない将来には、中央への不満が一気に爆発するような事態もあるんじゃないかなと思う。
5月には、行政長官(マカオのトップ)及び高級官僚の離職後の身分や収入を保証する「離職保障法」の立法化に反対する市民が約2万人、デモを行ったことだし。
今回の返還記念日に合わせて、学生ら若者中心の民主派政党「新澳門學社」(政治上の名義は「民主新澳門」)などの呼びかけで、香港同様に「行政長官選出の完全なる普通選挙実施」などの政治改革を求めるデモも行われた。5月に2万人もの市民が立法会議場を包囲しただけに、今回は習主席も来ていることだし、さぞや人が集まるだろうと思いきや、行列に参加したのは、主催者発表でさえもわずか300人。写真を見る限りでは100人もいないだろう。まだ、香港ほど「熟成」していないのかな…。5月のあの熱気は何だったのか…。
上の写真で、親書を警官に託す真ん中の兄ちゃんが、マカオの民主活動をリードしている蘇嘉豪(スル・ソー)。その背景については、『【続・アナタの知らないマカオ】デモのその後』で簡単にふれたが、これからのマカオの民主活動の顔になってゆく人物として、名前を覚えておいて損はないだろう。香港の學聯や學民思潮とは密接にコンタクトを取りあう仲だというが、見ている限り、彼の方がリーダーシップがあり押しの強さを感じる。それは恐らく台湾の「太陽花學運=ひまわり学生活動」を実地に体験したかしないかの違いによるところも大きいのではないかと思う。
マカオの民主活動で、住民が具体的な行動で自分たちの「民主」に声を上げ始めたのが、5月の「離補法反対デモ」。ようやく出発点に立ったばかりと言える。それだけにまだまだ香港のような大きな波を起こすことはないと思われるが、2019年には次の行政長官選挙が行われる。香港同様に完全なる直接選挙=真普選の実施を求めた活動が活発化するかもしれない。そのときマカオ返還20周年。香港返還22周年。さて、どちらがどうなっているか…。
そして「民主活動」で忘れてはならないのが、この連中。マカオで民主派がデモをやるなら、それに便乗して香港の普通選挙実施を直接、習主席に訴えてやろうと、香港から長毛こと梁国雄立法会議員ら過激な民主派諸氏が乗り込んできたが、またもや門前払いをくらい、入境は認められずに香港へ追い返された。いつものことであるし本人たちも充分想定しただろう。連中にとっては、追い返されることがそもそも狙いなのだから、一応、行動は成功したということだろう。追い返されることで、マカオの『一国兩制度』の危機を世界中に知らしめることができるわけだから。
そんなお騒がせかつ、要領のいい過激な民主派諸氏だが、香港中文大学の学生新聞『大學線』によれば、学生たちのウケはかなりいいようだ。それについては、次回に詳しくということで、本日これまで。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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