るろうに剣心 伝説の最期編
空前の大ヒット作も、さすがに封切りから2か月以上が経過した平日の夕方では、お客さんも一ケタでござるよ。
陽水みたいに「行かなくちゃ…、行かなくちゃ…」と心で叫んでいるうちに、なんと2か月以上も経過してしまった、それでもまだ絶賛上映中という『るろうに剣心 伝説の最期編』。ようやくたどりついた「近くて遠きは、あべのアポロシネマ」。
「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。
邦題:『るろうに剣心 伝説の最期編』
英題:『RUROUNI KENSHIN The Legend Ends』
公開年:2014年9月13日
制作:日本(ワーナー・ブラザース映画)
言語:日本語
評価:★★★(★5つで満点 ☆は0.5点)
監督:大友啓史
脚本: 藤井清美、大友啓史
原作: 和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』
アクション監督:谷垣健治
主な出演: 佐藤健、武井咲、伊勢谷友介、青木崇高、蒼井優、神木隆之介、小澤征悦、土屋太鳳、田中泯、宮沢和史、滝藤賢一、三浦涼介、丸山智己、高橋メアリージュン、福山雅治、江口洋介、藤原竜也
前編となる『京都大火編』も含め、「こんなのは時代劇じゃない!」とか「こんなチャンバラ映画、アカンやろ!」などと批判的な声も耳に入ってくるけど、「時代劇」「チャンバラ映画」として観るから、批判的になるのでござるよ。『京都~』のときに触れたけど、大友啓史監督は、「日本の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』を一緒に撮らないか」と谷垣健治アクション監督を誘ったことからも推察できるように、要するに『黄飛鴻』シリーズなのでござるよ。そう最初から思って観れば、娯楽大作として充分すぎるほど楽しめるってもんじゃないか。
前作のラストシーン、まるで『阿飛正傳(=欲望の翼)』のラストで、唐突に梁朝偉(トニー・レオン)が現れたように、その姿を見せた剣心(佐藤健)の師匠、比古清十郎(福山雅治)が、今作では前半の画面を独占する。このアクションシーンはなかなか見応えがあった。ただ、これを旧来の時代劇の殺陣、いわゆるチャンバラとして観てしまうと、「もうこんなことでは日本映画の未来は…」と暗澹たる気持ちになってしまうから、そういう観念は捨て去ることだな、こと『るろうに』に関しては。
アクションシーンでは、最後の志々雄(藤原竜也)との対決シーンも見せてくれたけど、志々雄一人に四人でかかって出るというのが、どうにもプロレスのハンディキャップマッチみたいで…。まあ、たしかに志々雄は強いとは思うけど、志々雄の強さってそこじゃないと思うんでござるよ…。総体的にはアクションシーンが『京都~』より控え目というか、減っていたとは思う。そのへんの意図にいちいち気をまわしていたら、映画なんて楽しめないから気にせず観たけど、帰宅してあらためてこうして「ブログ」なんかにすると、気にはなるところ…。
前作の感想をしたためたとき、「いい意味で完全に『香港映画』していた」って書いたけど、もしかしたら今作はそれが行き過ぎてしまったのか、はたまた、持って行きどころがちょっとずれてしまったしまった、あるいは演者を含め、現場がノリ過ぎてしまったか…。顕著なところでは、志々雄の「十本刀」の存在感が非常に薄かったこと。連中にはもっとアクションに絡んだほしかったなあ。
普通は、アクションシーンに心を釘づけにされるんだろうけど、拙者は剣心vs宗次郎の対決シーンで、宗次郎の心が破綻してしまう場面かな。「イライラするなー」って頭かきむしるのはちょっと苦笑したけど、「拙者はお主に前作からずっとイライラしていたでござるよ!」と言いたかったから、すっきりしたでござるよ。神木隆之介にはピッタリの役。自身でもすっとやりかった役というから、なりきっていたな、たいした役者だと思う。
とまあ、あれこれ言ったが、なかなか金のかかった娯楽超大作というのに巡り合えなくなってきたこの時代に、こうした映画を作った、そしてヒットさせたという大友監督はじめスタッフ、そしてキャストの作品にかける熱意は充分すぎるほど伝わった。邦画では当面、これほどまでのものには出会えないかもな…。
『るろうに剣心 伝説の最期編』予告編
(平成26年11月5日 あべのアポロシネマ)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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