キナ臭い「掃黄」が始まっていますね、東莞を中心に。
この一連の取り締まりを「旧正月のいつものアレか」と捉えるべきか、それとも「いよいよ東莞もこれで終わりか」と、観念するか…。
いずれにしろ、遠く離れた大阪からその成り行きを固唾をのんで見守るしかない。
なんて言うと、「一体どんな深刻なことが?」と思われるかもしれないが、ごく簡単に言えば「掃黄=売買春の一斉摘発」であります。(*黄色は性産業を指します)
「キミという人間は…」と思われるかもしれないが、まあ、そこはそれとして仕方ない。なんの言いわけにも説明にもなりませんが、そんな感じってことで、よろしくひとつ(笑)。
で、いよいよこの掃黄の波が、香港のお隣の深圳にも押し寄せて来たようですな。さて、どうする香港男子諸君!というところだ。
事の経緯をざっとまとめると下記の通り。
■発端は中国中央電視台(CCTV)で2月9日に放映された「性都・東莞」の実情を扱った「潜入ドキュメント番組」。天下に名を馳せる高級ホテルで、客がマジックミラー越しに踊る全裸のオンナのコを選んだり、番号をつけたオンナのコが1人ずつ料金とともに紹介される様子など、「東莞式服務(サービス)」を暴くという、実にセンセーショナルなもの。
■この番組に追随する形で、東莞の警察組織も動く。投入された公安警官の数はおよそ6000人、捜査対象となったホテルやサウナ、マッサージ店、カラオケバーなど娯楽施設の数は約2000カ所、売春および関連の容疑で連行された人数は香港人6人を含む162人 にも上るという。
「東莞式服務」で思い出すのは、「ビジネスの出来ない女事件」。
長年懇意にしていただいている、香港企業の社長さんからの「ご接待」でのこと。
東莞の某5つ星(自称)ホテルのカラオケスナックで、「おねーちゃんをチョイスして、部屋へ連れ帰って一夜のメークラブを楽しめ」という、夢のようなご接待。
「この娘だ!」って女人を連れ帰ったわけだが、これがどうしたことか、まったく波長が合わない。向こうは商売なんだし、そこはなんとか客に合わそうと努力するフリでもいいから、見せかけの誠意を示せば、こっちも客なりの見せかけの誠意を示す、それがこういうシチュエーションでの暗黙の了解だと思うのだけど、女の方にはまったくその気がない。
もうこっちはイライラしますわな。それに合わせて向こうはさらに機嫌悪うなりますわな。当然、会話すらなくなりますな。ついにアタシの怒りも頂点に達しますわな。なんで客の俺がおんどれの機嫌うかがわなあかんねん とね。
「もうなあ、お前、帰れや! おもんないんじゃ! いにさらせ!」
「はいはい、言われんでも帰るわさ! でもゼニはきっちりもらいまっせ、もちろんチップもな!」
「ゼニは決め事やから払うけど、何のサービスもないオノレになんでチップやらなあかんねん、あぁ~?」
しばらくアタシの広東語なまりの普通話と女の四川なまりの普通話という、意思疎通のしにくいすったもんだが続き、結局、女は部屋に来て煙草5本ほど吸っただけで帰ってしまったのですよ。
翌朝、社長さんの面子を損なってはいけないと思いつつも、「実は…」とその顛末を話すと、そばにいたママさんが顔面蒼白で…。社長さんは
「なんていうことだ!ビジネスの出来ない女は、このホテルには出入り禁止や!教育がなっとらん!」
と、ママさんに怒りをぶつけます。ひたすら謝り抜くママさんが気の毒ではありましたが…。
あの女、「いまごろはどこでどうしてござろうぞ」。
にしても「ビジネスの出来ない女」って、この表現がすごく気に入ってしまったアタシでした(笑)。
そうなのよ、ビジネスよ! 快楽の前にビジネスありきなのよ!
ま、それはさておき。
■逮捕された6人の香港人の中には、1人または複数の現役警察官がいた疑い も。香港警察は完全否定していない。一方で香港警察では、摘発を逃れた売春婦や風俗嬢が香港に潜入して「ビジネス」を始める可能性もあり、暴力団との共謀も念頭に警備を強化する方針。香港で「寸の間」を楽しむ諸君、気をつけたまへ!
■また新華社や『人民日報』などいわゆる「党の口舌」メディアは、国家公安部の劉紹武・治安管理局長が東莞入りし、性風俗一掃に向け直接指揮を執ると報道しており、ある意味「性都・東莞掃黄」が国家的プロジェクトになってきた観もあり。えらいことでっせ、香港男子諸君よ!
■そしてこの波は、深圳にも押し寄せる。
2月14日付香港各紙は、深圳警察が10日から市内各地に約2000人の警官を投入し、カラオケバー、マッサージ店、サウナなど娯楽施設1919店舗を捜査、売春関与の疑いで従業員など100人以上を連行 と報道。
香港男子諸君のナイトライフと言えば、上沙、下沙、沙嘴、水囲の「三沙一水」が超人気エリア。ここに「内地妻」を置いている香港男子もめっちゃ多い。アタシも全エリアを視察(笑)したけど、まあよくもこんだけ風俗店がひしめいているもんだと感心したもんだ。ただし、下沙のように「エイズ村」として有名な土地もあるので、聞きかじりの知識だけで近寄るのはお薦めしない。
ざっとまとめるつもりがえらく長くなったけど、気になるのは今回の掃黄の背景。
ちなみに香港、深圳、東莞、広州の位置関係を言えば、香港を大阪とするなら、深圳は距離的には京都、東莞は米原あたり、広州は名古屋という感じか。
深圳は言わずと知れた経済特区。「改革開放」のモデルでありショウルーム的存在。その近未来的な光景は、今や香港を上回る魅力さえ感じる。全土から労働者が深圳をめざす。工場勤務のリンゴほっぺの少女たちばかりでなく、性産業に従事する女性もしかり。狭苦しくて自由の利かない香港とは目と鼻の先だけに、深圳で性産業が大きく花開くのに時間はかからなかった。
東莞は香港、深圳と広東省省都の広州に挟まれ、こちらは「世界の工場」の代表的存在。世界各国企業の工場が集中し、世界中からビジネスマンがやってくる。であるからには、当然のように「ご接待」がつきもので、手ごわい商談相手を「ころっと落とす」には、性産業は欠かせない手段の一つ。摘発件数を見ても、その規模の大きさがわかる。
大規模な「掃黄」自体は、別に今に始まった話でなく、これまでも連休前や旧正月前後には、「見せしめ」の掃黄があり、以前は「売春婦、市中引き回しの上、公開銃殺刑」なんておぞましい場合もあった。が、またすぐに元通りにという具合に、公安も行政も「見て見ぬふり」をしてきたわけだけど。
今回は、CCTVがすっぱ抜きしたというのが、どうにもキナ臭い。
14日付の『夕刊フジ』は、これを「権力闘争」だとしている。
国営テレビが突然、同市の売春問題を取り上げたのは、習指導部の権力集中を暗に示しているとの見方も広がる。
広東省トップの胡春華・共産党委員会書記は、改革志向の共産主義青年団(共青団)出身。次期最高指導者の有力候補であるため、習氏が、共青団の影響力を排除しようとしているとの指摘もある。実際、膝元の東莞で売春が横行しているとのマイナスイメージを突きつけられ、胡氏が「試練に直面した」(香港紙)との観測も流れる。
どうなんだろうねえ。でもあま、広東省の煙たい政敵を失脚させたいなら、企業のビジネスで手ごわい商談相手を「ころっと落とす」手段としての性産業を、逆に使って「ころっと失脚させる」ってのもアリかもねえ。それにしても、おねーちゃんたちも、とんだとばっちりを受けたもんだな、そんな「政治闘争」が、まさか自分の身の上に降りかかってくるとは、思ってもいなかったろうに。そこは同情するわ…。おねーちゃんたちにも、個々には様々な身の上話があって、そのハナシには、涙無くして聞けないような場合もあるわけだしね…。アタシも色々聞きましたョ、彼女らの身の上話を…。
まあねえ、アタシたちのような、並みのスケベな香港男子からすれば、東莞や深圳から性風俗産業の火が消えてしまうのはなんとも残念で、「不便」なことなんですわな、実際問題が。「マカオへ行けよ」と言うかもしれないが、あそこはやっぱり高いわ~!(笑)
権力闘争なんてのは、いつの世にもつきもので、そんなのは勝手にしてくれればいいけど、結局はこういう形で人民にとばっちりが来るんだから、そこは勘弁願いたいというのが、本音ではありますが。
でもまあ、よくある地方高官の汚職を摘発(でっち上げも多かろう)して敵対勢力を失脚させるという手立てではなく、「売買春一斉摘発」なんて手を使うあたり、「太子党」の習近平には、庶民感覚がないのだろうな…。これでは人民の支持を得られないねえ。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
>ちなみに香港、深圳、東莞、広州の位置関係を言えば、香港を大阪とするなら、深圳は距離的には京都、東莞は米原あたり、広州は名古屋という感じか。
ご指摘の地理配置から京阪神・中京の距離感を推し量っている関東出の芋でありまする~凹凸
逆に、東京を起点にたとえてくれ、と言われても、チンプンカンプンですので(笑)