落語
吉坊ノ会 <22.Nov.2013>
「吉坊へ行こう!」
と、言われたので、行ってきた(笑)。
いや~今回は、危うく行きそびれるところでござんした。
と、申しますのはですな、アタシ、チケットを購入するのをうっかり忘れておりまして、思い出したのが1週間前のこと。人気の会ですわな、当然完売ですわな、あちゃ~!ですわな…。
「今回は見送るか、それとも数少ない当日券を目当てに、行くだけ行ってみるか…」
とにかく、忸怩たる思いで床に就いたという次第。
ところが、神は我を見捨てずでありやして、ま、ひょんなことから「2階席ですけど」ということでやんすが、チケットを入手できたんでありまする! もうねえ、2階だろうが屋根裏だろうが、ホッとしたのは言うまでも無いわけで、「ひゃひゃひゃっ!!」と、繁昌亭へ乗り込みまする。
ありがとう!「坊噺家さん!」(笑)。
<ネタ帳>
1.「平林」 林家染吉
2.「こぶ弁慶」 桂吉坊
中入り
3.「活動写真」 弁士・坂本頼光
4.「まめだ」 吉坊
今回は東西でネタが重ならないんで、とりあえず、「あーだ、こーだ」を書ける、って言うてもそないに「あーだ、こーだ」言わんけどね。
■染吉ですが、この子も初めて観ました。見てお分かりの通り、染丸一門であります。そういうこともあって、名前だけは早ようから知ってましたけど。染丸一門だけに、きっちりやる。まだまだ年数浅いと思ってたけど、6年目。高座姿もしゅっとしてるし、好印象。
■吉坊、本日1本目は、「こぶ弁慶」。いわゆる「東の旅」の中のひとつのエピソードですな。例によって(笑)、比較的長いマクラ。愉快だよ、吉坊のマクラは。この日は「こぶ弁慶」が旅ネタということで、旅関係の話題で。そうか、吉坊君、その年になってようやく九州の広さを認識したか~、ウンウン。吉坊らしく、芝居がかった場面も散りばめて、オチは「出汁」のやつで。いくつかオチのパターンがありますな、このハナシ。けど、現代人には「出汁」のオチが一番わかりやすいかな。
■ゲストに登場は、「イケメン弁士」こと坂本頼光。
いやいや、エエもん拝見した。この年まで、弁士が横で語る「活動写真」ちゅうか「無声映画」ちゅうのか、こういうもん、初めて観たもん。大変貴重な体験。
まず最初に、日本のアニメーションの最初と言われる「日の丸太郎~武者修行の巻」昭和11年(1936)。いや驚いた。小生のオカンが生まれた年に、こんなクオリティの高いアニメが制作されていたとは! 改めて、日本のアニメ製作技術の凄さを実感!
そしてもう1本。大相撲史上未曾有の最強力士、雷電爲右エ門が、なぜに横綱を張れなかったかという裏話を映画化した「雷電」昭和3年(1928)。マキノ雅広監督の父・マキノ省三が監督で、若き日のマキノ雅広が出演しているという珍品でもありまして、そのマキノ雅広は雷電と相対し、雷電に土をつけるひょろひょろなニセ力士を演じておりまする。
これらの無声作品に合わせ、弁士たる坂本頼光がスクリーンの横でしゃべるわけだけど、映像とイキピッタリで、これまた驚き。もっと見たいな、活動写真。
■トリは吉坊で「まめだ」。懐かしく、胸にジ~ンとくるあの出囃子で登場。「おお!」っと思うもつかの間、ちょっとウルウルしたのは、小生だけではあるまいて。
原作者は三田純一。なつかしいな、三田センセ…。昔のミナミの地理なんかが詳しく描かれているし、三田センセらしく人情味もあって、吉坊には良く似合う。こういう昔の大阪の街並みを描いたハナシ、やる人によって、色んな「色彩」がついて頭に想像の世界が広がる。決して鮮やかな再現VTRである必要はまったくない。噺家Aは濃い鉛筆で描いたスケッチ、噺家Bは水彩絵の具の淡い色彩、噺家Bは色鮮やかなカラー写真…。そこがおもしろいのである。
で、吉坊の場合は、セピア色のモノクロ写真、それも縁にちょっと破れ目のあるようなの。多分、この色彩がしっくりくる時代…。アタシも好きです、この展開。でもそこは、それこそ噺家の特色それぞれ。吉坊はこの色彩で、それがいい、似合っている。
まあ、そない長いハナシやない。どっちか言うと短いハナシ。でもねえ、これで締めくくるのは、まあ、憎いわな、吉坊も。オチが近づくにつれて、かなりしんみりする、ええ、アタシのような動物好きは特にね。
で、ああ、もうこれ以上言うたらアカンで、ってところで、舞い散る銀杏の葉のごとく、さらっとサゲてくれる。このサゲ方、秀逸でした。よかったよかった! なんか安心して家路につける、狸、成仏できてよかったなぁ…。
★
さて、こうして今年も春秋の「吉坊ノ会」に参じることができて何より。
で、早くも来年のスケジュールが出とりますな。
大阪は4月6日、復活なった「近鉄アート館」で! 懐かしいなあ、近鉄アート館。色々観たし、聴いたし、催したし。色んな思い出ありまする。そっか、「吉坊ノ会」を近鉄アート館でやるのか…。なんちゅうても、ウチから近いのがとてもよろしい(笑)。
てなわけで、吉坊君、来年も楽しませとくれやす!
(平成25年11月22日 天満天神繁昌亭)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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